【かぶの中】 | 悲喜籠もりの童夢

悲喜籠もりの童夢

 ひ  き  こ

お爺さんが畑に種を撒くと

畑に大きなかぶが育った

お爺さんはかぶを抜こうとする

「うんとこしょ、どっこいしょ」

しかし、お爺さん一人の力では抜けない

そこに犬がやってきた

犬にも手伝ってもらい

一緒にかぶを抜く

「うんとこしょ、どっこいしょ」

しかし、まだかぶは抜けない

そこに猫がやってきた

猫にも手伝ってもらい

一緒にかぶを抜く

「うんとこしょ、どっこいしょ」

しかし、まだかぶは抜けない

そこにネズミがやってきた

ネズミにも手伝ってもらい

一緒にかぶを抜く

「うんとこしょ、どっこいしょ」

そしてやっとかぶは抜けた

お爺さん、犬、猫、ネズミの力を合わせ

大きなかぶは姿を表した

お爺さんがかぶを真っ二つに切った

すると中から

死んだ赤ん坊が出てきた



裁判が行われた

お爺さん、犬、猫、ネズミ

の全員がその日の事を話した

「私はかぶを抜いて。そしてかぶを切っただけです。赤ん坊には何もしていません」

「ワンワンワン。ワンワンワンワン」

「ニャーニャー。ニャォーン」

「チュー。チュー。チュー」

四人(一人と三匹)の話す内容は

バラバラだった

というかお爺さんの言葉しか分からない

真相は闇(かぶ)の中だ