【漫才】死にたい | 悲喜籠もりの童夢

悲喜籠もりの童夢

 ひ  き  こ

ボ=ボケ

ツ=ツッコミ





ボ:ちょっと悩みを聞いてもらっていい?

ツ:全然良いよ

ボ:俺ね、死にたいのよ

ツ:はい?

ボ:もう死にたいなぁと思って

ツ:いきなりそんな暗い事言われてもね

ボ:生きる意味が分からなくてさ

ツ:生きる意味はあるって

ボ:俺なんてこの世界には必要無いんだよ

ツ:そんなことないって

ボ:俺は二千円札だよ

ツ:どういうことだよ

ボ:存在する価値が無いんだよ

ツ:二千円札に謝れよ

ボ:万札になりたい

ツ:勝手になればいいだろ

ボ:俺は、たまにある物凄く短い階段だよ

ツ:確かに必要性を感じないけどね

ボ:普通の階段になりたいよ

ツ:お前は普通の人間でしか無いわ

ボ:俺は石田純一にとっての靴下だよ

ツ:確かに石田純一は靴下を必要としてないけどね

ボ:石田純一にとってのワインになりたいよ

ツ:お前は石田純一に好かれたいのか

ボ:あぁ、死にたいなぁ

ツ:もう勝手に死んでくれよ

ボ:でも死ぬ勇気が無いのよ

ツ:だったら生きろよ

ボ:でも死にたいのよ

ツ:だったら死になさいよ

ボ:でも死ぬ勇気が無いのよ

ツ:だったら生きなさいよ

ボ:でも死にたいのよ

ツ:だったら死になさいよ

ボ:おい、こんなのお湯掛け論だよ

ツ:水掛け論ね

お湯だと火傷するだろ

ボ:丁度良い温度だから平気だよ

ツ:どうでもいいわ

ボ:いっそのこと殺してよ

ツ:は?

ボ:死ぬ勇気が無いから殺してほしいのよ

ツ:なんで俺がお前を殺さなきゃいけないんだよ

ボ:いつもより強めにツッコんで殺してくれよ

ツ:そんくらいじゃ死なねえだろ

ボ:ツッコミの度を越して殺してくれよ

ツ:度を越えすぎだろ

ボ:お願いだよ

ツ:だったらそんくらいのボケをしてくれよ

ボ:どういうこと?

ツ:ボケの度を越したボケをしてみろってことだよ

ボ:ちょっと意味がわからない

ツ:なんでだよ

お前も同じようなことを言ってただろ

ボ:いや、お前の言ってることだけは意味がわからない

ツ:お前を殺したくなってきたわ

ボ:よし、殺せ

ツ:お断わりする

ボ:なんでだよ

ツ:俺が捕まるだろ

ボ:一人殺したって問題無いよ

ツ:問題大有りだわ

ボ:厳重注意くらいでしょ

ツ:法律を甘く見るな

ボ:まさかビンタ?

ツ:違うわ

そんなショボくないんだよ

ボ:ってことは往復ビンタか

ツ:それも違うわ

お前は法律を勉強しろ

ボ:死ぬんだから勉強なんて必要無いよ

ツ:死ぬ勇気無いんだから死ぬなんて諦めろよ

ボ:じゃあ一緒に死んでよ

ツ:なんでだよ

ボ:二人なら死ぬのも怖くないから

ツ:なんでお前と心中しなきゃいけないんだ

ボ:死ぬときは一緒って約束しただろ

ツ:してねえよ

ボ:卒業文集にも書いただろ

ツ:書いてねえよ

どんな暗い学生だよ

ボ:人生から卒業しよう

ツ:やかましいわ

ボ:一緒に森に行こう

ツ:絶対嫌だわ

ボ:ロープはそっちが持ってきてね

ツ:行かないっつうの

しかも俺が死ぬ道具を持参するのかよ

ボ:俺は肉と野菜を持ってくから

ツ:バーベキューするつもりだろ

ボ:火事には気を付けようね

ツ:うるせえよ

死にたいなら火事は望めよ

ボ:他人に迷惑をかけて死にたくは無いよ

ツ:だったらまず俺を巻き込むな

ボ:俺はお前と死ねて幸せだよ

ツ:俺は死にたくねえんだって

ボ:ちゃんと葬式は来てね

ツ:行けねえよ

いい加減にしろ

ボ:ツ:ありがとうございました