■失敗したって「まっ、いいか」

 最近、「おむつなし育児」が注目を集めている。「おむつなし」といっても、おむつを全く使わないということではない。赤ちゃんが排泄(はいせつ)する気配を親が感じることで、親子のコミュニケーションを深めようというものだ。だが、おむつを汚さなかった成功回数を気にする「マニュアル世代」の母も…。「おむつなし」の推進者は口をそろえて言う。「お母さん、リラックス」。(津川綾子)

 ◆「気持ちいいね」

 先月18日、東京・代々木公園などで行われた環境イベント「アースデイ東京2010」。関連イベント会場の一角にある円錐(えんすい)型のテントの中で、赤ちゃんを抱いた母親10人が車座になった。

 NPO法人自然育児友の会(東京都国分寺市)が開いた「おむつなしお茶会」。しばらくして、東京都江東区の山ノ下佳美さん(27)が、娘の結貴ちゃん(8カ月)を座らせたホーロー製のおまるごとひざに乗せると、顔を赤らめた結貴ちゃんがうんちをした。「気持ちいいね、がんばったね」。他の母親からほめ言葉が飛ぶ。

 なぜ排泄のタイミングが分かったのか。「娘がイライラしたような声を出したから」と山ノ下さん。そのうえで、「ぐずる理由が分かることで以前より育児に自信が持てるようになった」と穏やかに言った。

 ◆「より密になった」

 「おむつなし育児」が注目され始めたのは昨年6月から。実践者の声をつづった『おむつなし育児』(クリスティン・グロスロー著、柏書房)の出版がきっかけだった。

 早期のトイレトレーニングを促すマニュアル法とは全く違う。同書の翻訳者、和田知代さんは「一日に1回か2回でも、おむつの中ではなく、自然に排泄させてあげるのが赤ちゃんにも気持ち良いのでは、という育児の提案」と説明する。

 おむつなし育児には「これ」という方法や決まりはない。排泄のタイミングやおまるかトイレかも、子供や家庭ごとに違う。

 例えば、生後5週間から凛ちゃん(1)とおむつなし育児に取り組む打越月見さん(33)の場合、夏はおむつを着けず、娘を観察したという。歩いているときは排泄しないし、もよおしたときには特有の表情をすることが分かった。たとえ漏らして失敗しても、「まっ、いいか」とフローリングの床をふく。

 「赤ちゃんが泣く理由には『おっぱいが欲しい』『眠い』と、あと1つ『おしっこやうんちしたい』がある。排泄も分かってあげたら、何で泣くのかなんてストレスは感じなくなる。子供とより密になった感じ」と打越さん。

 平成20年にこの育児の実践研究をした、津田塾大学の三砂ちづる教授は「今の母親はマニュアル本通りにいかないと自信をなくす。むしろマニュアルを見ず、赤ちゃんを見つめて気持ちが通じれば、子育てに自信が持てる」と話す。

 子育てに不安を覚える母親が増える中、「おむつなし」は育児に自信を持つきっかけともなりそうだ。

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 ■仲間が続々、通信講座も

 三砂ちづる教授らの研究では、(1)排泄のサインは目が合ったり甘えた声で泣く、乳首をくわえたり離したりする(2)朝や昼の寝起きの後や、おっぱいを飲んでいるときなどにうんちが出る-という報告が目立った。

 一方、おむつなし育児については母親間での情報交換の場が広がっている。「mixi(ミクシィ)」の「おむつなし育児」コミュニティの登録者は2千人以上に上る。「自然育児友の会」は月に1、2回情報交換のお茶会を開くほか、通信講座も開催。今日、明日の8、9の両日には子連れ合宿「ここからミーティング」も行う予定だ。

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