EMGピックアップの中身と構造 | ESPギタークラフト・アカデミー東京校のブログ☆

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こんにちは。今回はあの有名なアクティブピックアップのEMGを分解してみようというブログです。

まずはアカデミックにピックアップの構造についてお話しておきますと

ピックアップというのは磁石とコイルで出来てます。

コイルというのは細い銅線をぐるぐる巻きにしたもので、そのコイルが中央にある磁石に巻きつけられることによって出来ているのがピックアップです。

そしてギターパーツの市場には「パッシブピックアップ」と「アクティブピックアップ」があります。

物理の法則上、パッシブピックアップは弦の振動だけで発電できるので、ギター本体内に電池等の電源は必要ありません。音を大きくしたりする仕事は、その先のアンプに頑張ってもらいます。

それに対してアクティブピックアップは中にアンプ的な電子回路が入っているので、音を出すために電池が必要になります。

そのアクティブピックアップの代表格といえば、やはりEMGというメーカーでしょう。





EMGのピックアップはアクティブ化によって非常にローノイズになっており、特徴的な出音ですがそのノイズの少なさから、多くのミュージシャンの支持を集める優秀なピックアップです。

そんなEMGピックアップですが、どういう構造をしているかを調べようとしてもカバーの中がエポキシ系樹脂の充填によってモールドされているので、中身が見えません。





しかし見たいじゃないですか、中身。

というわけでやりましょう。

分解。

しかし

そこでひとつ問題がありまして

モールドされている部分のエポキシ系樹脂は化学硬化しているので通常は溶剤では溶けません。

遺跡の発掘作業のように掘り出すのも大変だしキレイに出来る気がしなかったので

とりあえず謎の液体にインしてやりました。





このビンはなんでしょう・・・ネスカフェゴールドブレンドでしょうね、多分。このあたりがポイントです。ゴールドブレンドは香り高く美味しいですからね。

さぁ、するとどうでしょう。

いけるのか・・・?と期待をこめて見てみると、なんか変化してきました!





裏の黒いヤツが剥がれてきましたね。いけますよ、これは。

ということで一度取り出してみます。

ピンセットで取れるかな。





・・・あれ、意外とまだ固いな。くっついて取れないぞ?

えいや!

とう!

どうだ!

・・・

ダメなようなので再度謎の液体へドボン。





さあどうでしょう。

さて、取り出したら今度はほら、こう・・・カッターで脇をグリグリとね。





えい、えい!

と、とにかくなんやかんややって

パッカーン。





開きました!基板のパーツ実装部分が出てきました。

画像じゃ見づらいのですが、コイルの線がモールドの中からそのまま出ています。

それが基盤へ直接配線されていますね。なかなか思い切った組み込み方をしています。

パーツ実装部を見てみましょう。





写真では見え辛いですが、メインパーツにEMGと書いてありますね。ということはこれ・・・

EMGのオリジナルチップじゃないですか!これがEMGの音をつかさどる心臓部で、汎用のOPアンプではなさそうですね。どうりでパーツ点数が少ないわけです。やりますねEMG。

これが知れただけでも結構大きな収穫です。

何の役にも立ちませんが。

しかしいいんです。知りたいんです。僕たちは好奇心旺盛なんです。!

いやー、やりましたねー。しかしここではまだ終わりません。

僕は・・・

僕はピックアップのコイル自体も見たいんです!!

ということで掘り返しまーす。





てい!てい!

とうりゃ!

・・・うーん、少し固い。コイルが傷つきそうなので

カモン謎の液体!略して謎液。





この時点ではもはやこの不思議な光景に違和感を感じなくなってます。もうマリモみたいなものです。かわいいもんですよね。

さぁまたもや取り出して、「よし!」と意気込んで掘り起こそうとしたら

スルッと取れちゃいました。





うーん今回は謎の液体が大活躍ですね。好きです謎液。

ピックアップ単体はこんな感じ





今回バラしているのはEMG85なので、アルニコマグネットですね。バータイプのものが使われています。

コイル線の太さや絶縁の素材はともかくとして、とりあえず普通の構造の普通のピックアップですね。

さてさて、これで終わりだと思うじゃないですか。

違います。

さぁここで登場しますは我がクラスの誇るピックアップ巻き職人

研究科在籍のNGI(仮)君。

彼も実はこのピックアップの分解が気になって仕方がありませんでした。

そして皆さんも当然気になりますよね?

コイルのターン数。

知りたいですよね?

それではいきましょう。





ピックアップ巻き線機を使ってピックアップをほどいていきます。

NGI(仮)君が。

巻き線機はカウンターがついているので、ほどいた回転数がそのままカウントされていきます。

それを利用して、ターン数を数えていきます。

結構なめんどくさい作業なのですが、NGI(仮)君曰く

「この作業ならずっとやってられますよね。」とのこと。

・・・

いやいや、普通の人はずっと出来ませんから。5分で飽きます。なんで黙々と出来るのでしょうか。

ホントに素敵です、NGI(仮)君。謎の液体と同じくらい素敵です。

そしてほどき続けること数十分

全部ほどけました!





やりました。ターン数を見てみますと





カウンターには「5620」と表示されています。

多く見積もって数十ターンの誤差があったとしても、5500回転以上は巻かれています。

これは通常のハムバッカーと同じくらいです。ノイズが少ないので巻数を減らしているのかと思っていましたが、そんなことはないようです。

新しい発見です。やってみるものですね。

このブログを見た皆さんは真似しないようにお願いします。確実にピックアップが壊れますので(笑)

ちなみに今回の作業には故障したピックアップを使ってます。

というわけでいかがだったでしょうか、EMG85分解レポート。楽しんでいただけましたでしょうか。

また色々やりますので、良かったらESPギタークラフト・アカデミーのブログをブックマークしてみてください!



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