6/5の22時から放送された、ETV特集『続報 放射能汚染地図』を視聴しました。
その際のツイートを後半にまとめます。

その前に、もう今さらながら感はあり、皆さんもご存知のことばかりかもと思いますが、Twitterなどで3月から書いてきたことの繰り返しから記します。

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まず、この番組が放送される前に、「純粋に科学的な立場から見てプルトニウムが検出されたかどうかということで大騒ぎするのはいかがなものか」というような前評判?もずいぶんあったようですが、問題の本質はもちろんそこだけにあるのではありません。

ヨウ素とセシウム以外の、公式にはあまり明らかにされていない核種がいかなる状態にあるのか、また、番組にも語られたように、「そんなもの(沸点3000℃以上の、質量数の大きい核種)が遠くまで飛んだとするのはデマではないか」などとも一部でされてきた物質の中でも代表的なものがどういった実態にあるのかを知ることは、今後の復興・復旧にあたってきわめて大きな要因だから、その結果が重要だということになります。

(前回放送では、核種の比率は地点によらず、だいぶ似通ったものだった、とのことでした。これまでの事故・事象以上のことがなく、今も続く放出が低減しながら収束に向かうか否かにより、その傾向が維持されるかどうかは変わってくるかもしれません)

原子炉での核分裂反応は、物理学の授業で習うようなシンプルなものではなく、ましてや原子力発電所の事故という非定常状態においては、繰り返される「事象」は多岐にわたり、その結果、自然界に放出される物質の比率も複雑です。

それにもちろんのこと、様々な放射性同位体が人体にもたらす影響は、(あえて言うと)かすかにしか検証されていません。α線、β線、γ線の与えるエネルギーはDNAの結合エネルギーとは比べ物にならないばかりでなく、それぞれの核種が生化学的反応として人体にどう代謝され、発がんだけでなく、免疫機構や内分泌系にどう複合的に作用していくかは、今のところ、かなり限られたデータしか人類は持ちあわせていません。データが少ないがために統計的・疫学的に証明できないことを、「証明された例はないから安心しなさい」というすり替えも散見されますが、安心が証明されたわけでないのに安心と断定することそのものが、多大なる不実だと考えます。
※危険を煽るのと、安全が証明された事例はないのに、単純に安心と言い募ることを批判するのは別のことです。

今回の原発から1.7km地点1点での測定で、プルトニウムが甚大な濃度でなかったことは、現時点では、不幸中の幸いとたしかに言えるかもしれません。しかし、ホットスポットの存在は他の核種で認められて、それらはフラクタルのように大きな分散、局所での分散、様々な濃淡のまだらな状態にあります。

なのに、国の公式な着手と結果発表を待っていてはもう何十年かかるか分からないことも、残念ながら痛いほど分かってしまっています。

かたや、このETV特集に出演されている木村さんも、厚労省の研究所で上司から自発的調査を差止められ辞表を提出して臨んでいること、気象学会理事長が拡散予測の公開自粛を学会に通達したこと、など様々な「自粛通達」が厳然として存在していました。この日本でも、「官邸やお役所ですら情報量が多いから混乱する」「ましてや下々の者をや」という親心(愚民思想??)だとしたら大きなお世話です。

さらには、一部自治体で保護者などへの自主測定を控えるようにとしていることなど、正確でないデータの一人歩きを心配するこれも親心?はあるんかもしれませんが、少なくともデータの数が増えれば、定性的な増減傾向はある面では把握できてきます(簡易線量計なのでγ線だけになるとはいうものの)。

ともあれ、この番組で木村さんたちが取り組まれていることのように、地域でも、国レベルでも、調査においては、核種や地点数など、数(具体的な地点状況の把握)が重要なのは明らかです

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では、こちらが番組を見ながらのツイートです。
22:00:39 ETV特集、始まりました。 #nhk

22:09:27 金沢大山本さんが土壌サンプルのPu分析。化学的に抽出して電着させα線を検出。3種の質量数のPuを比較する。Pu238比率が0.032でなく0.059。Nb(ニオブ)も検出されているので原子炉から出た可能性が高い。 #nhk

22:11:17 炉心溶融と格納容器破壊によりPu放出。PuだけでなくTc,Ru,Znなど沸点3000℃異常のものはそうでなければ出てこない。エアロゾルとして外部に出る。 #nhk

22:11:53 誤変換訂正。炉心溶融と格納容器破壊によりPu放出。PuだけでなくTc,Ru,Znなど沸点3000℃以上のものはそうでなければ出てこない。エアロゾルとして外部に出る。 #nhk

22:12:58 エアロゾルによる放出は圧力容器が最初に破損した13日(3号機)。2号機だと15日。あとに最初の溶融炉心とコアコンクリートの反応が起こってもおかしくない。 #nhk

22:13:56 原発から50km離れたところからTc99検出。同じように沸点の高いPuも飛散している可能性。Puを含めて汚染を調べる必要がある。 #nhk

22:14:51 核科学者の古川さん。Puがあるということは多くの種類の物質が飛び出していることになる。他にも核燃料のU、Am、Cu、Npなど。中でPuがつかまったということになる。 #nhk

22:17:16 これまでのデータを見る限り福島ではPuの放出は少なかったのでは、と京大今中さん。今回不幸中の幸いでU、Puは比較的(チェルノブイリより)少ないなら相手はしやすい。汚染を直視して未来に向けて対策すべきである。被災地の人が向かい合うには1軒ずつデータを取り住めるかを。 #nhk

22:17:55 京大今中さん。続き。住んでいた人がどのくらい被爆するのか。情報、知恵を提供していく責任が本来は東京電力にある。 #nhk

22:20:06 わずか1ヶ所しかPuは見つかっていないが危険性はある。広範囲で調べていく必要性。他の物質が拡散していることも否定できない。チェルノブイリでも3カ国にわたるまばらな広がり。広範囲マップだけでなく町でのばらつき、1軒1軒でのばらつきがチェルノブイリでもあった。 #nhk

22:21:36 放射線レベル、広がり、どんな物質かが重要。今回はチェルノブイリに比べてセシウムが多い。Srなどは少ないというのが特徴だが事故への判断材料になる。核種を知ることが重要である。暮らしていくための基本。身体に取り込まれてどうなるかなどを知ること。 #nhk

22:22:56 いわき市からも木村さん、岡野さんへの調査依頼があった。28キロ地区。本当に影響がないのかという住民の方に木村さんが向かい、いわき市全域を岡野さん測定器を載せた車でで走った。 #nhk

22:24:47 いわき市内。最初に走ったあたり、1μSv/h以下が多かった。山あいに車を進めると志田名地区では2倍以上になってきた。3.1μSv/hの点も。これだと飯舘と変わらないと木村さん。北部山間部にホットスポットが点在していた。 #nhk

22:26:26 その地区で農業を営む方。ハウスで自家用野菜栽培。「どうかと思うがいいやと思って食べている」と。1.4μSv/hで外とあまり変わらない。その家の方、孫がこちらの学校に戻ってこられるようにと中国製測定器を購入し毎日測定。 #nhk

22:27:23 北部でホットスポットが見つかったことに対して市役所の方。2μSv/hはこれまでの測定でなかった。きめ細かい測定はないのでピンポイントでホットスポットを調査できていたのかと思う、と。 #nhk

22:28:04 いわき市。今回高い線量だった地域はほとんどの農家が作付けを控えている。この地域で生活を続けていくことは可能なのか、地区の土壌も細かく調査していく必要がある、と木村さん。 #nhk

22:29:20 まだこのデータは1軒。表層のデータを示している。Csは多い。ヨウ素は減っている。しかし、レベルとしてはチェルノブイリの第2ゾーンに該当する。点を広げていくことが必要。1点では何も言えないのできちんと評価していく。 #nhk

22:30:07 今後生活していくには、それぞれの核種が外部から、食べ物にどう入ってくるかを調べること。過去の教訓を参考にしていかなくてはならない、と岡野さん。 #nhk

こちらが番組の紹介です。
とても良い取り組みを伝えた良い番組なのであまり言いたくないことなのですが、ここまで分かっていたならなぜもっと早く報道しないのだろうという疑問は皆が持ったことだと思います。
まさか何らかの介入が入り放送できなくなる可能性があった、などということではないですよね。
NHK ETV特集 続報 放射能汚染地図
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0605_02.html

ETV特集 『ネットワークでつくる放射能汚染地図 ~福島原発事故から2か月~』(5月15日放送)では、福島第一原発正門から1キロ地点の住宅地の一画の土壌を科学者の木村真三氏が採取。サンプルは、プルトニウムの有無を調べるため放射線解析の第一人者、金沢大学の山本政儀教授のもとに送られた。

番組放送後、結果を知りたいという問い合わせが殺到したが、この度ようやく解析結果が出る見通しとなった。果たしてプルトニウムは検出されるのか?

さらに、木村氏のその後の調査で、計画的避難区域や緊急時避難準備区域から外れた福島県南部のいわき市で新たなホットスポットが発見され、その実態が序々に明らかになってきた。

新たにわかった汚染の実態を続報として伝える。


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液状化した豊洲新市場予定地。東京都が速攻でブルーシートをかける前。
石炭からガスを製造し、廃棄物を野積みにし埋めていた複合汚染地域にも関わらず、東京都の調査物質数は限られています。
液状化(噴砂だと言っていますが、同じ現象です)、により、汚染物質が移動したことからも、過去の調査に基づいた対策が取れない状態です。
Like a rolling bean (new) 出来事録-1103豊洲新市場液状化_1



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