いよいよ、12日(水)の消印締切です!!

イシハラ都政の任期終了間際のあらゆり死の暴走に異議。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

「環境アセスメント問題都民連合会」が隔月で刊行している、「環境アセス」2010年12月、「豊洲新市場特集」は、1月12日消印提出締切の意見書提出に際してこれまでの問題をまとめています。

提出先:
〒163-8001
新宿区西新宿2-8-1 都庁第二本庁舎
東京都 環境局 都市地球環境部 環境都市づくり課
(電話: 03-5338-3443)

今年度の築地市場官製地上げ予算1281億円のうちでも、監査請求を出している深刻な汚染地域である移転予定地の土地の2/3の購入予算の強制的な実行のためのステップとして、環境アセスを行うことで住民(都民)の意見は振り払ってしまおうとするものです。

強行な移転は行わない、としている以上、汚染されているのが分かっているのにアセス、という行為そのものが強行です。
そのため、このアセス自体、実行してはならないものと言えます。しかし、イシハラ都政の暴走により。これまでにアセス資料の縦覧や、中央区と江東区だけでの説明会などの「行政上の手続き」は踏まれてしまっている以上、この意見提出の段階で黙っていたら、「大した反論もなかった」としてイシハラ都政に白紙委任をすることになります

また、メディアはもうこのことをあたかも賞味期限切れであるかのような印象を与え、移転(本当は築地市場廃止)を規定路線として扱い、さらには、移転(本当は廃止)の是非は、利権がどこにつくかの「関係者間」の問題であるかのように歪曲する動き(沖縄の基地をとりまく状況と同様!)すらも見えるようですが、冗談はたいていにしてほしいですね。
まさに全国の消費者・生産者が打撃を受け、脅威にさらされる話です。

 過去、数100の(たぶん)エントリーにわたり個別の問題について、また何回かのまとめエントリーもアップしてきましたが、この「環境アセス」の内容は、有識者の立場から、全容を示したもので、意見提出にあたり、一人でも多くの方にお読みいただきたいと思います。

ポイントは以下のとおりとなります(上掲「環境アセス」から)。
都民には、全国・全世界への責任があります。意見提出をぜひともお願いします。

(1)土壌汚染対策に100%安全はない。
(2)東京直下型地震ではポートアイランドの二の舞に。
(3)現在でも深刻な臨海部の大気汚染を助長する豊洲新市場計画。
(4)築地市場を中心にした2兆円に及ぶ経済効果を台なしにする豊洲新市場計画。
(5)首都圏の流通市場にも計り知れない影響を及ぼす中央拠点市場構想。


では、まず、資料の冒頭部と見出しを転記します。

豊洲新市場建設に係わる環境影響評価書案(再アセス)は、都民の不安に答えているか
 東京都は、豊洲新市場の建設をあくまで推進するために環境影響評価の再実施を行い11月29日から公示縦覧に入りました。この再実施によって豊洲の土壌の安全性は確かめられたのか?今でも臨海部の大気汚染は日常的に環境基準を越えているのに、一日3万7千台の交通量が増加すると大気汚染問題はどうなるのか課題は山積みです。多くの都民が評価書案を読んで意見を提出(2011年1月12日まで)することが大事になっています。

■土壌汚染と地盤・地質
 「都合の良い」データだけで積み上げた「安全宣言」のまやかし
 事実に基づく徹底した検証

■大気汚染(NO2・SPM・PM2.5)
 臨海部は現在でも環境基準を大幅に突破
 一日3万7千台の新交通量で豊洲や辰巳の環境悪化は必至

■築地市場の移転問題では、現在二つの裁判と一つの住民監査請求がなされている

■場外市場や築地ブランドへの影響
 中央区の調査では2兆円を超える経済効果
 豊洲への市場移転は壊滅的打撃は必至!

■築地市場の豊洲移転を強行する背景はなにか
 豊洲新市場は首都圏の「中央拠点市場」
 やがて仲卸の統合や中央卸売市場の整理も

■環状2号道路の上に森ビルを建設中
 築地市場はデベロッパーの”垂涎の的”

本当は全部お知らせしたいのですが、まずは、「環境アセスメント問題都民連合会代表幹事」でもいらっしゃる坂巻幸雄先生の記事を転載します。

原則、原文のままのつもりですが、誤記などについては大きなものは訂正をかけていきます。
また、強調は引用者によります。

~~~
「環境アセス」2010年12月 「豊洲新市場特集」
■土壌汚染と地盤・地質

 「都合の良い」データだけで積み上げた「安全宣言」のまやかし
 事実に基づく徹底した検証
環境アセスメント問題都民連合会代表幹事 坂巻幸雄

●なぜ、ガス工場跡地に汚染が?

 豊洲の市場移転「予定地」になぜ土壌汚染が?その原因はここで操業していた東京ガス(株)豊洲工場にあります。
 現在の都市ガスは輸入した液化天然ガスを気化させるだけの簡単な操作で得られますが、以前は石炭を蒸し焼きにしてコークスと都市ガスをつくっていました。そのときに出るタール分等の副産物の中に、ベンゼンやシアン等の有害物質が多量に含まれ、また、原料炭中にもともと含まれていたヒ素・鉛・水銀なども加わって、一大汚染スポットを作っていたわけです。そのため、東京ガス(株)でも一応の除去工事を行い、東京都からの買収申し出にも、当初は消極的な態度を取った経緯があります。しかし、都は汚染の事実を伏せたまま、移転候補地として豊洲を選んだのでした。
 2007年の都知事選では豊洲問題が争点となり、石原慎太郎候補は、「専門家の意見を求める」との公約を余儀なくされました。その結果発足した「専門家会議」の調査は、最初は安易な見通しの下に始まりましたが、その後深刻な実態が次々と発覚、最終的には10m間隔、4,122地点のボーリング(詳細調査)が実施されました。
 しかし、それで汚染の全体像が明らかになったわけではありません。「自然地層の最上部・有楽町層は、粘土質で水を通さないので、それより下には汚染が及んでいない(はずだ)」という甘い想定の下に、中層部以深の汚染調査は棚上げされました。盛土・埋土を主体とする上層部でも、分析値と採取深度は示したものの、「何を」分析したのか(例えば、砂がちなのか、泥がちなのか、有機物は含んでいるのか、貝殻はあるのか、色は、単層の厚さと連続性は、等々)は記載されて居らず、具体的な解析も全く行われていません。本来ならば、このようなことは事前に「専門家」がハッキリと指示すべきものなのですが、あえてそれをしなかったのは、大量の調査を短時間に仕上げなければならなかった以上、やっつけ仕事に走ったと見られても仕方がないことでしょう。
 特に問題なのは、最初の簡略なサンプリングで「異常なし」とされた地点は、以後の詳しい「絞込調査」の対象から全く除外されてしまったことです。汚染の時間的・空間的分布にムラがあることまで考えると、都のとっている対応が、安全サイドに立つものとは到底言えません。

●「一流の科学者(=技術会議メンバー?)」が容認したデータの墨塗り
 曲りなりにも「公開」され、傍聴者との意見交換も行われていた「専門家会議」は、2008年7月に解散、新たに「技術会議」が編成されましたが、メンバー・議事ともに長期間非公開のまま、対策技術の公募と選考が進められました。2010年1月から6月までの間には、選定された手法に基づき、現場での「適用実験」が行われ、都議会審議の前日にあたる3月10日には、実験結果の中間報告として、洗浄処理及び中温加熱処理により、汚染物質が環境基準以下になったことが確認され、確実に汚染物質を無害化できることが実証されました。なお、洗浄処理及び中温加熱処理を適用する汚染処理土量は、豊洲新市場予定地における全体の汚染土量の約8割に該当します。というコメントが発表されました。
 しかしこの「中間報告」の原本は、実験初期値が「墨塗り」にされていて、環境基準に比べて実質2.7倍のベンゼン濃度の試料を使ったのにその事実が伏せられ、あたかも43,000倍の高濃度汚染が処理出来たかのように「誤解」させかねない内容となっていました。しかも、都によれば、この「墨塗り」措置は「データがすべて出そろってから公表したら」との研究者側からの助言に基づくとのことなので、隠蔽には技術会議メンバーが一役買った疑いが極めて濃いものです。
 個々の実験の内容は、環境影響評価書(案)に記載されたものと同じですが、例えば「掘削微生物処理」実験では、菌類名・菌株密度・生物学的処理と自然蒸散効果との対比・活性炭吸着剤中に捕捉された汚染物質の総量などの基本情報が全く示されていません。また、「地下水浄化処理」実験では、汚染水を汲み上げて水道水と置き換え、その直後に採水・分析したら汚染物質の濃度が下がった等の、ごく常識的な事実を「成果」に唱い上げるなど、およそまともなレポートとは言えない代物でした。

●私たちは要求します
 石原知事は12月8日の都議会答弁で、「日本の先端技術を日本人が信用しないでどうする」と居直ったそうですが、その前に、「信用するに足る」客観的なデータを、都が自ら開示することが先決でしょう。その意味で、環境影響評価書(案)に対しては、
※都が取得しているすべての調査データや、関係会議の議事録を公開すること
※現場への立入調査を認め、試料等の分与に応じること
※学術的・技術的課題についての公開討論会を行うこと
※学術的な検討機関を、移転批判派研究者も加えて再構成すること
などを強く求めたいと思います。

首都圏直下型地震―発生の確率は30年以内に70% 神戸ポートアイランドを上回る被害も
●世界一危険な首都・東京
 地震大国日本。その首都・東京
 内閣府中央防災会議は2004年、首都直下地震の被害想定を発表しました。今後30年以内に、首都圏で、マグニチュード7レベルの被害地震が発生する確率は70%、つまり友達と賭をするなら「起こる」ほうに賭けるほうが絶対有利です。30年と言えば、これから作る建物も、道路も、橋も、地下街も、すべてがその「有効寿命」中に壊滅的な地震に出会うことを意味します。
 ならば、どうするか。一つは、破壊力に耐えられる強固なものを作ること。もう一つは、危険な環境を極力避けることです。
 こう考えると、地震対策を中心とする防災問題は、環境影響評価のうちでももっとも大きな比重を占める課題だと言えるでしょう。しかし、今回の環境影響評価書(案)は、この課題について直接触れていません。「項目が規定されていないから」という弁明が聞こえて来そうですが、それではあまりに無責任です。
 すでに、「専門家会議」では、甚だ不十分ながら豊洲地区の地震防災問題を話題に上せていました。私たちは、従って、この課題を環境影響評価書(案)の中で、政党に取り上げることを求めるものです。

●豊洲に潜む3つの危険―――液状化・側方流動・再汚染
 豊洲の地盤は、典型的な軟弱地盤です。(引用者注: ここ以降での、ぶちまけ工法で作った人工地層の「豊洲」とは、戦後埋め立ての6丁目側を意味します)
 豊洲が敗戦直後、東京湾の浅い海底の上に、浚渫土をサンドポンプで吸い上げ、ぶちまける手法で造成されました。この人工地層は締め固めが緩く、ボーリング・コアは漉し餡状~お汁粉状。砂と泥が入り混じり、不均質です。このことが、土壌汚染の不均質性に直結する可能性が大きいのですが、詳しいデータがないので解析が必要です。
 この人工地層の下が、いわゆる「有楽町層」で、約1万2千年前以降に東京湾の海底に溜まった砂と泥から構成されています。この地層は気候の温暖化に伴う海面上昇の過程で堆積したもので、約6千年前(縄文時代)の最高時平均海面は今より約4m高く、東京湾の湾奥は埼玉県岩槻付近にまで達していたとされています。
 「有楽町層」は、特に砂質の部分が大地震の際に「液状化」しやすいと言うことで、詳しく調べられてきました。「液状化」とは、地震動で砂の粒子同士の噛み合わせが外れることによって地層を構成していた砂と水分が分離し、それまで個体だった地面が液体として振る舞うようになり、水を噴き上げたり、構造物を沈み込ませたり、マンホールのような中空の物体を、逆に地中から浮上させたりする現象です。
 護岸で囲まれた埋立地の中で「液状化」が起こると、護岸は水圧に耐え切れずに押し出されて崩壊します。これが「側方流動」です。
 「液状化」も「側方流動」も、阪神・淡路大震災当時、ポートアイランドなど、神戸港周辺の埋立地で多発し、交通網や港湾施設に多大の被害を与えました。埋立母材は六甲山の風化花崗岩を切り崩した「山砂」で、液状化防止には配慮がされていたのにもかかわらず、被害が発生したものでした。
 豊洲の場合、さらに深刻なのは、取りきれないで残された汚染物質が再流動することです。埋土・盛土のなかで見落とされた汚染が相当量あると見込まれること、「有楽町層」中の汚染状況が全く把握されていないことが主な懸念材料です。
 「有楽町層」中のボーリングは、「上層の汚染を引き込むから」との理由で今回は厳しく制限されていましたが、工場施設の基礎杭が敷地内約1万8千本残っていることや、「ゆりかもめ」橋脚の支持杭も多数、有楽町層を貫通していることが判っています。専門家会議は、「支持杭は地盤と密着しているので、間隙を汚染水が通るはずはない」と説明していますが、その主張の成否を判断できる証拠はありません。大地震に際して汚染物質が吹き上がったり、交通網の損傷と重なって、非常時に最重要になる食品流通機能は、完全に停止するでしょう。
 専門家会議は液状化対策として、「サイドパネル(砂杭)工法等で対処可能」としていますが、その詳細には触れていません。これらの対策で本当に安全が担保出来るのか、さらに厳密な解析と検討が不可欠です。

●いくつかの反論に答える

 豊洲の地震災害については、ネット上でもいろいろな討論が行われています。なかでも、「築地だって埋立地ではないか。」「豊洲が危ないと言ったところで、現に高層マンションには多数の人が住んで居るではないか、震災危惧論は所詮、ためにする議論だ。」などの反論が目立ちます。
 築地も、名前の通り確かに埋立地ですが、地質条件は豊洲とは全く違います。東京の下町地区には、地下鉄銀座線にほぼ沿った形で、上野から新橋まで続く海蝕台があって、築地はその東側斜面を、神田川の造成で出た残土などを使って人力で埋め立てられました。従って地層は豊洲に比べて遙かに良く、関東大震災でも液状化を免れています
 豊洲の高層住宅建設事業は、地震防災の視点からは甚だ問題の多いものです。約30年後には、東海~南海地震の発生確率が90%を超し、一帯を軟弱地盤固有の長周期・大振幅の地震動が襲う危険が著しく高まります。直下型地震とどちらが先になるかは判りませんが、このような場合、運良く建物の倒壊は免れたとしても、ライフラインの途絶などで、多くの住民が長期間、我が家での安定した生活を失う羽目になるでしょう。この予測を無視して、豊洲市場の地震被害想定を「為にする騒ぎすぎ」などと表するのは、的外れと行っても言い過ぎとは思えません

●私たちは要求します
 環境影響評価書(案)の中で、地震防災に関する項目を立て、きちんと評価して下さい。

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補足ですが、東京湾岸の長周期地震動については、NHKスペシャルの昨年の放送をご覧いただいた方も多いと思います。番組解説を引用します。
http://www.nhk.or.jp/megaquake/p_schedule.html

NHKスペシャル MEGAQUALKE 巨大地震
【総合】2010年3月7日(日) 午後9:00~9:49 放送
第3回 巨大都市を未知の揺れが襲う 長周期地震動の脅威

近い将来高い確率で発生が危険視されている南海トラフでの巨大地震。スーパーコンピューターによる最新解析によると、放出された膨大な地震波のエネルギーは、とくに東京・大阪・名古屋といった大都市圏に集中的に襲いかかり、長く大きく高層ビル群を揺らし続ける「長周期地震動」を発生させると予測されている。関東大震災以後、大地震を知らずに発展を続けてきた日本のメガシティは、その危機を乗り越えられるのか。
未知なる脅威「長周期地震動」の実像を知る手がかりは、25年前に中南米最大の都市メキシコシティを襲った巨大地震に隠されていた。震源からはるか400 キロ離れた都市直下で急激に増幅し、およそ1分間にわたってビル群を揺さぶり、破壊した謎の地震波。その背景には、もともと非常に脆弱な地盤を人間が埋立て、都市を築いてきた歴史が秘められていたのだ。
メキシコシティと同様、江戸期以降あいつぐ土地改良と埋立てによって世界最大級の都市を築き上げてきた東京。しかし、長周期地震動のリスクは高層ビル設計の中で長年“想定外”とされ続けてきた。さらに、長く揺れ続けることによって湾岸部などでは液状化被害が拡大し、建物の基礎や地下のライフラインに深刻な被害を与えることも最新研究でわかってきた。にわかに突き付けられた未経験の災害の脅威に、都市文明はどう向き合うのか。最新研究成果と都市の秘められた歴史を軸に、メガシティに迫る危機の実像をつぶさに描き出す。

さらに「環境アセス」の引用部分の画像(あまりきれいでないですが)です。
クリックで拡大します。

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