ひとつ前のエントリーで、朝日新聞(1面だったそうです!)がリークのようにして流した、築地移転を東京都が決断、の記事をお知らせしました。

さらにその前日の経緯からすれば、都議会で移転が見送られたというニュースがあったばかり、その当の都議も、地元中央区関係者も、仲卸の方々も(そして都民も全国の消費者も!)まさに想像だにしない、青天の霹靂のような内容でした。要するにこれは、移転が規定路線であり、つべこべ言わずに諦めろ、というイシハラ都政の狼煙を、築地の汚染問題などでは20回ものスクープや独自報道を流してきた朝日新聞にあえて流したもののようにも思えます。

イシハラ都知事就任→汚染知りつつ築地官製地上げ企て→酷い汚染露呈→議会虚偽答弁等→知事選争点で調査→法外な汚染発覚→隠蔽→非公開汚染対策検討→勝手に安全宣言→都議選敗退・政権交代→ごまかし実験→猛烈なデータ隠匿と捏造→移転見直しの都議会を愚弄→強行突破画策(★今ココ)→運動続く!

という位置づけです。

そしてやはり案の定、大卸業者が、豊洲移転をしなくては生鮮流通は成り立たないかのような訴えをした要望書を東京都が受け取ったという記事が、メディア勢揃いで大々的に流され始めました(ご丁寧なことに、「あの」、東京都が大株主のTOKYO MXの動画ニュースもあるので、後半のリンクをご参照ください)。

となると、朝日の前日報道をその前振り、権威付けのための悪用、と見ないでいることはとても難しいですね。

ちなみに、以前からお読みの方には何回目かの繰り返しとなってしまいますが、今回、日本最大級の汚染地域、豊洲東京ガス工場跡地への移転(官製地上げ)を東京都に要望しているのは、『新市場建設推進協議会』で、その会長の伊藤裕康氏と言えば、

2010-01-09
築地移転は「天皇陛下からご下問を頂いたぐらい」と、高木元農水次官とともに移転を推進する大卸社長
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10430051716.html

などでたびたびご紹介してきた、大卸、中央水産社長でもある方です。
そして、大卸の業界を代表して農水省元次官の高木元次官の、卸売市場法そのものを廃止しようという懇談会や研究会にいつも参加していましたね。

たとえば以下にもご紹介したように。

2010-01-04
高木農水元事務次官の関わる卸売市場法廃止を含むこんな提言押し込みの企てを大臣はご存知でしょうか?
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10426019808.html

これだけの汚染と大手外資による食品流通の支配が知れ渡っているのに、賛成派も頑張っていらっしゃるという「客観報道」を「粛々と」垂れ流すメディアは、東京都の壮大な生体実験を容認する立場にあるのでしょう。

業界団体6団体のうち5団体が移転賛成、と無批判に書いている記事も多くてエビぞります。

移転賛成派と反対派が真っ二つに拮抗、という絵をどうしてもメディアは描きたい、あるいはそうしないと誰かに許されないのだということですね。
それにしても本来の「客観報道」の範囲を逸脱するにも程度というものがあるでしょうに、という野暮なことは、このところの国政に関する異常な報道を見ても期待するほうが間違っていますね。

さて、では「客観報道」の数々です。
消費者や都議会を愚弄することに対しての批判は一切ないのに、こうした内容を嬉々として増産する神経は、検察審査会の大問題に「市民感覚」などと持ち上げて平然としていることとも共通し、日本のメディアの終焉を象徴する目を覆う事象だと考えます。

突っ込みどころが多すぎるのでいちいち強調しません。
TOKYO MX
築地移転問題 業界団体が早期の豊洲移転推進を要望
2010年10月8日
http://www.mxtv.co.jp/mxnews/news/201010086.html
http://www.youtube.com/watch?v=6KtPjljOE0s&feature=player_embedded

 築地市場の移転問題で現在地再整備か豊洲への移転かの結論が都議会で先送りされたことを受けて、築地で働く複数の業界団体で構成する『新市場建設推進協議会』(管理人注記:『新市場建設協議会』と本文にはありましたが、『新市場建設推進協議会』です。後者は完全に別ものです)が都庁を訪れ、早期の豊洲移転を求める石原知事宛ての要望書を手渡しました。
 協議会は築地の業界団体6つのうち、5つの代表者などからなります。石原知事は体調を崩しているため佐藤副知事が応対しました。要望書では「築地再整備が何十年かかろうとも実現可能とは到底理解できない」と強い調子で早期移転を求めるのに対し、佐藤副知事は「早い時期に判断しなければならない」と答えました。また、伊藤会長は「もうここではっきり決断をしていただきたい。決まっている予算を使って直ちに移転に向けて行動を起こしていただきたい」と会見で老朽化する築地での限界を訴えました。この後、伊藤会長らは民主党など議会各会派を回り、要望書の写しを配りました。


TBS
築地市場移転推進派、都に申し入れ
http://news.tbs.co.jp/20101008/newseye/tbs_newseye4545917.html

 築地市場の移転問題を巡り、都議会が7日、市場を移転するかどうかの結論を先送りしたことを受けて、移転を推進する関係団体が東京都に「早期に予算を執行するよう」申し入れました。

 「知事、まさにいま決断の時です。ぜひとも速やかに事業に着手し、今年度予算のすべてを執行し、平成26年度の開場を確たるものに」(新市場建設推進協議会 伊藤裕康会長)

 築地市場移転を推進する団体は、都議会で移転に関連する予算が事実上、凍結していることを受けて、石原都知事あてに早期の予算執行を求める要望書を提出しました。

 築地市場の移転問題については、7日閉会した都議会で結論が出ず、民主党などの賛成多数で引き続き審議することが決まっています。

 事実上、凍結している新市場移転関連予算は、知事の職権で行使することができますが、議会最大会派の民主党からの反発が予想されます。(08日19:08)


毎日
築地市場:業界団体が移転要望…都は近く最終協議
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101009k0000m040069000c.html

 築地市場(東京都中央区)の移転問題で、築地の業界団体代表ら約30人が8日、江東区豊洲への早期移転を強く求める石原慎太郎知事あての要望書を都に提出した。都は来週にも豊洲の移転用地の買収手続きを開始するかどうか最終協議する。今年度予算に盛り込まれている用地買収を年度内に実施するには、10月中に土地の鑑定などの準備作業に着手する必要がある。石原知事は一貫して豊洲移転を推進する姿勢を示している。

 都庁を訪れたのは、五つの主要業界団体代表らでつくる移転賛成グループ「新市場建設推進協議会」。代表で水産卸会社会長の伊藤裕康氏は記者会見し「これ以上結論が出るのを待っていると、安全な食品を安定して届ける役目が果たせなくなる。一日も早い移転を」と訴えた。

 9月都議会は、最大会派の民主などの賛成多数で、移転か改築かの結論先送りを決めた。

 知事与党の自民・公明は「築地での改築は不可能」としている。

 約740の水産仲卸業者が加盟する築地最大の業界団体「東京魚市場卸協同組合(東卸)」では、11月下旬に100人の総代を決める選挙がある。東卸は移転の賛否が割れており、理事や理事長選挙の前哨戦となる総代選挙でどちらのグループが過半数を得るかが注目されている。都としては、選挙戦が本格化する前に方針を示す必要がある。【真野森作】
毎日新聞 2010年10月8日 21時44分(最終更新 10月8日 23時13分)


日経
「豊洲の早期建設を」 市場関係者、築地移転で都に要望
2010/10/9 2:20
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C889DE3E4E2E7E1EBEBE2E2EAE3E2E0E2E3E29EEAE1E2E2E2;at=ALL

 築地市場(東京・中央)を豊洲地区(同・江東)へ移転する東京都の計画を巡り、市場関係団体でつくる新市場建設推進協議会(伊藤裕康会長)は8日、豊洲新市場の建設の早期着手を求める要望書を石原慎太郎都知事に提出した。築地市場の水産、青果の卸売業者の団体代表らが都庁を訪ね、代理の佐藤広副知事に手渡した。

 要望書は都議会で民主党などが主張する築地での現地再整備について「過去の苦い失敗の経験から不可能」と強調。「私たちの意見を全く聞かない」と批判した。

 石原知事に今年度予算に計上した用地取得費など関連予算の執行を決断するよう要請、新市場の14年度開場を求めた。佐藤副知事は「早い時期に都として判断しなければならない」と応じた。

日テレ
築地市場の事業者団体、移転要望書を提出
http://news24.jp/articles/2010/10/09/07168330.html

 移転するかどうかの結論が先送りになっている東京・築地市場について、東京・江東区豊洲地区への移転に賛成する市場の事業者団体が8日、速やかに移転を実施するよう、東京都に要望書を提出した。

 要望書を提出したのは、築地にある6つの主要な事業者団体のうち、水産仲卸業者を除く、卸や青果など5団体。5団体は「築地市場の老朽化は限界で、十分な品質管理も行えず、顧客のニーズに応えられない」と訴え、速やかに事業に着手するよう要望した。

 また、議論されている築地市場での再整備については、「我々の意見を無視して検討を進めるのは理解できない」と訴えた。

あと、日経が朝日の後追いで同じ内容を書いています。
汚染があるだけでなく、ブラウンフィールド(汚染が酷すぎて塩漬けになる土地)としての基準を満たしてしまっている最悪のガス工場跡地を、汚染がない高い坪単価で見積もっておいて、しかも汚染対策も、表明した金額で済まないことが分かっている上に、東京ガスとの契約で瑕疵担保責任免責までしてしまい、イシハラ都知事らには160億円(これはミニマムでの見積り)も公金返還の住民訴訟まで起こっている事態、こんなことは日本の一流紙はご存知でしょうに、都知事の専決で土地購入する可能性を「粛々と」、汚染地下水の湧き出るように垂れ流しています。
日経
都、築地移転予算執行へ 豊洲用地、月内にも購入手続き
2010/10/9 1:32
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E2EAE2E6858DE2EAE3E2E0E2E3E29191E3E2E2E2;at=ALL

 東京・築地市場(中央区)の豊洲地区(江東区)への移転問題で、東京都は都議会への配慮から執行を凍結していた今年度の移転関連予算の全額1281億円を執行する方針を固めた。用地の購入手続きなどを月内にも開始する。都議会で移転の是非を巡る会派間の対立が解けない中、開場から75年がたち老朽化が進む築地市場の現状を、これ以上放置できないと判断した。
 予算の執行は石原慎太郎都知事が近く、表明する見通し。長…

===