豊洲汚染土壌コアサンプル廃棄差止め訴訟」第5回公判の記録をお知らせします。


また短い公判でした。東京都は、もう主張を尽くしたなら後は回答だけしようという構えに出たようですが、当然、回答の矛盾が出るだけでなく、済み塗り報告書に代表されるように新たな事実関係も出ますから反論がここでなくなるはずがありません。


また、東京都の主張は、土壌汚染対策法も東京都環境確保条例も、いずれの基準も満たしているとして自己の正当性を主張したものですが、実際には、より甘い基準で評価をして、土地の一部を購入し、都民に損害も与えています。


また、憲法で保証された生存権(25条)や幸福追求権(13条)を制約してまで、自己判断で汚染と液状化の証拠になる土壌サンプルを棄て証拠隠滅を図ることを正当化する理由など、もちろんまったく見いだせません。


この、生存権や幸福追求権など、所与の権利として当然尊重されるべきものを、まさに「赤子の手をひねる」(なんと冷酷な言葉でしょうね)ようにして、イシハラ都政が先頭を切って侵害するのがあまりに常態化しており、「東京で行われているんだから大したことでない」と、言ってみれば「悪い免役をつける」ことがその役目であることも分かります。

東京都条例によるネットカフェの本人確認にしても、実態を大幅に上回るネット犯罪をでっち上げての生存権に勝手に制約をかけるものであると思いますし、都教委による学校職員会議での挙手・採決禁止にしても、言論の自由弾圧の先鞭をつける典型事例です。


話がそれましたが、この証拠隠滅も、併せて東京都から流布されている築地市場が危険だなどという偽装情報も、卸売市場を、公共性が高く、適正な評価と値付けの行われる場から、大規模流通と投機の場に変貌させていくことの一環として企てられていることも、改めて思い出しておきたいと思います。


では、ここから傍聴された方の情報です。強調は引用者によります。


今日の公判の様子です。


傍聴席は満席では無かったものの、多くの入りでした。

冒頭、梓澤弁護士が今回提出の準備書面の説明をしました。

この裁判の論点を憲法から展開したもので、短時間でしたが格調高く、熱弁をふるわれていました。


被告(都)から「まだ主張はあるか」と質問。弁護側からは「主張は大枠でまとまったが、反論があれば個別の主張はして行く。」と返答。

被告(都)は次回から反論を行うとしています。


次回の日程は9月8日(水)10時、次次回日程は10月27日(水)13時に決定しました。


今回、弁護団の主張したこと

「都は平成13年に移転の表明をし、平成18年の2月、11月に予定地の27%の土地購入にした。

購入にあたり、平成15年指針に基づく調査が行われていないので、安全が確認されたとは言えない。

平成18年に土地を購入後、専門家会議が開かれ、現指針である平成15年指針で調査された結果、東ガスの汚染対策が終了した場所から、ベンゼンその他重金属の重篤な汚染が発見された。

専門家会議の後で開かれた技術会議の汚染除去対策案も、実効性が確認されていない。


その状態の中、すでに4ヶ所でコアサンプルが廃棄された。原告と密接な関係のあるコアサンプルを説明も無しに廃棄された。さらに現存するコアサンプルも捨てられようとしている


この行為は、原告の人格的生存を危うくするもので、人格権(憲法13条)に基づき、あらかじめ差し止めることが出来ると云うべき。

原告は憲法13条、25条に基づき、人格権を根拠として本件請求が成り立つ。 


大阪高裁判例で、「人は平穏裡に健康で快適な生活を享受する利益を有し、それを最大限に保障することは国是であって、少なくとも憲法13条、25条がその指針を示すもの」とした。

そして、「かかる人格的利益の補償された人の地位は、排他的な権利としての人格権として構成されるに値されると云うべき」この判例から、憲法判断にあたっては人格権を制約しようとする側にやむにやまれぬ制約目的があるかどうかが問われる

コアサンプルを廃棄しようとする被告(都)にやむにやまれぬ理由があると云えるか!


すべての国民は身体の安全や幸福を追求する権利(憲法13条)がある。

新市場予定地の土壌汚染について都は、「生鮮食料品を取り扱う市場用地として食の安全・安心を確保するため、専門家会議を開き、詳細な調査を行った」としている。

豊洲が新市場予定地であることは、専門家会議以前から決まっていたことで、なぜその段階から十分な調査を行なかったのか。

しかも、被告(都)は原告に対し、移転先に関して、安全が確認されていないにも関わらず、安全宣言を繰り返してきた。これは信義則に反するばかりではなく、安全配慮義務違反である。


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