築地市場の豊洲移転事業は、一旦停止される方向になりました。
いろいろ思いはありますが、わたしの見方として、今回より大きく妥協したのは東京都側(移転賛成側)だと考えています。

毎日 2010/3/28
東京・築地市場移転:知事渋々「議会を尊重」 民主も譲歩「名より実」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100328ddm041010118000c.html

原案では、そのまま、議会を「スルーして」予算が執行される危険性をはらんでいました。

今回の結果も安心とは言い切れない、中途半端だ、という指摘はあるでしょうし、わたしも懸念があり(何しろ相手があのイシハラ都政です)、中でも、すっきり分かりやすい形で移転費用を全額削除した修正案が提出されなかったこと(按分で言えば「10対0」にならなかったこと)は本当に残念でした。
ここでは共産党都議の方々だけでなく、民主党都議の方々も頑張っていて、本当に最後まで分からない状況だったとも聞いています。決して修正案提出はポーズではありませんでした。

もし、修正案が出されて、しかしそこに都知事の拒否権(再議権)が発動されると、今度は都議会の2/3以上の賛成がないと可決せず、現状の議席数ではそれは不可能で、となると、原案もどちらも成立しないことになっていました。
すると「混乱」は予想されていて、その中でも、冷蔵庫が止まるぞ、などという件は東京都による風説の流布であることが分かりましたが、両方否決されれば、予算の行方については、あまり具体的なことが書かれていないようでした。
そして、その際には、独裁都知事の「専決処分」によって原案が通される、という件が示唆されたような話も耳に入っています。これがもし本当に都あるいは旧与党から出されたのだとしたら、まったくとんでもない脅しです。どうだったのでしょうね。

・・・余談はさておき、それでも、修正案が提出されればよかったのに…と思います。
でも、今回、新聞の見出しの一部にあるような、「民主党だけの妥協」という見方はしていないし、またここで民主党という一枚岩の存在を仮定するつもりもありません。

今回の予算案で、無条件で移転予算をつけることに反対して2日間の空転があったこと、最後にあの決着になった主要因は、報道にあるような「自公と民主の水面下の交渉」ではなかったようです。

イシハラ都知事と一体化したお東京都様が、(軍政さながらに)新・与党に乗り込んで、終電を過ぎても居座るようでは、
まず、未だに議会の機能が成立していると言えない状態であることは明らかです。
ここまでお東京都様がするには、たとえ土地買収が執行される見込みはなくても、せめて形式だけでも「移転ありき」を残しさなくてはならない、というような「恐ろしい理由」があったのかもしれません(想像))

都議会のありようのまずさを「だから選挙を経ても結局だめ」と言ってしまうのは、たとえば、10年以上にわたり悪徳経営者が経営する会社が、事業全体、つまりは本業も財務も組織運営も社員のモラルも壊して、さらには性質の悪い提携先を多数抱えている有様のまま、立て直しのために就任した新社長に、「半期で変わっていないじゃないか」と叱ることに限りなく近い、とも思います。

さらには、地方自治の特質として、国政ともっとも違うのは、新たな与党からの大臣や政務官という存在がないことです。

状況は厳しいけれど、決して悪くはなっていませんし、10対0で勝てずに0対10で負けたわけでなく、形勢も含めて7対3にはなっているでしょう。昨年の都議選がなければ、そのまま移転予算を強行されるところでした。今回をこちらの好機と捉えるようにして、引き続き頑張り続けることがきわめて重要だと考えます。

忘れないようにしたいのは、予算でイシハラにお灸をすえてギャフンと言わせること(だけ)が目的なのではなく、ただ、最後に勝つこと=移転阻止です。

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今回は、実質的に、法的拘束力を持たない付帯事項の形(たしかにここは最大の懸念点です)が、イシハラ都知事としてはとても嫌であろう、あれほど否定してきた築地再整備の再検討と、豊洲東京ガス工場跡地を購入するにあたっての議会の合意、つまり、移転に向けた動きを止めることが明確になりました。

イシハラ都政にそれを反故にさせないためには、やはり「議会が何とかしてくれる」ことを祈るだけではなく、よりわたしたちが強く、大きな声を上げていく必要があるということです。
それに、築地市場の現在地再整備に向けては、どうしても豊洲新市場に移転したいらしい自公以外のすべての党や無所属議員の協調が図られるよう、そこに、全国の消費者も協力できるようになっていきたい、と思います。

たとえば、豊洲東京ガス工場跡地の購入にあたっては、費用として汚染なしの前提の時価が設定されています。
しかし、実際には汚染が存在しているブラウンフィールド(塩漬け土地)の基準を満たしていますから、その金額では買い取ることはできません。

しかし東京ガスとの契約では、(すでにそれで720億円分を購入しているように)1260億円の購入です。
ディスカウントして新たに東京ガスが汚染対策費用を負担するすれば、もう目の飛び出るくらいのものすごい額ですから、間違いなく株主訴訟になることでしょう。

要するに、「議会と市民とで監視して、土地を買えなくすること」は本当に重要だと思います。

築地再整備の検討にしても、これまでずっと否定され、検討すらされてきませんでした。これからも、豊洲新市場の汚染調査を専門家会議や技術会議で結論ありきで行ったような、ずさんで、かつ、ダメ出しという結論ありきの税金の無駄遣いをさせず、真に意味のある議論をさせるよう、まずはいい加減な組織をもってアリバイ証明的な動きをさせないよう、広くから働きかける必要があります。

では、ちょっと散漫になってしまいましたが、これからもよろしくお願いいたします。

以下は日曜のわたしのTwitterからの関連ツイートです。

  • 築地の予算の件では、さっそく「移転予算がついた」としたメディアもありますが、移転事業はまず停止です。日経が悔しそうながら冷静に記事→http://bit.ly/b8frJj ただ、これからも再整備などできないと言い張り大暴れするイシハラ利権都政との闘いが続きます。 posted at 01:18:59
  • (続き)もちろん、ここに至る過程も結果にもまったくは大喜びできませんし、より大きな闇も見えてきています。民主化運動(喩えではありません)では思いのままにならないことや、政治にお任せだけで済まないことも多数です。重ねて、敵を見誤ることなく行きたいと思います。よろしくお願いします。 posted at 01:23:49
  • @yurikalin また30日には一悶着もふた悶着もあるかもしれませんが(怒る方がいるのも分かるしわたしも胃が痛いですが)、動揺せずに、勝ち取ることをしっかり考えたいですよね。 posted at 01:26:46
  • そうですよね!!RT @Akira50 : @rolling_bean 臨海開発の損失穴埋めとの関連がようやく広まり出したことで、一番探られたくない部分に話題が及ぶことを恐れているかも... posted at 01:27:43
  • 今日は完全に仕事モードです。昨日の件で書きたいこともありつつブログ更新の時間がありませんが、右記記事に加えイシハラ都知事「専決処理」の回避がキーワードです。→毎日『築地移転:都知事渋々「予算執行は議会尊重」 論議再燃も』http://bit.ly/cVRRB5 posted at 12:52:47
  • @yurikalin ありがとうございます。またそのうち消費者の皆さんへのご参加のお声かけなどもあるかと思います。よろしく! posted at 13:00:10
下記が関連記事のいくつかです。

日経
築地市場、移転ずれ込みも 都議会、予算案は可決
2010/3/28 2:28
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0E5E2E6EB8DE0E5E2E1E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;at=DGXZZO0195166008122009000000

 東京都議会予算特別委員会は28日午前2時過ぎ、築地市場(中央区)を豊洲地区(江東区)に移転させる費用を盛り込んだ来年度の市場会計予算案を賛成多数で可決した。「議会による現在地再整備の検討結果を知事は尊重する」などの付帯決議を付けた。同予算案は30日の本会議でも可決、成立する見通し。
画像の拡大

 民主党の大沢昇幹事長は、予算案から移転予定地の取得費1260億円を削除した修正案の提出を見送ったことについて「修正案と同等の意味合いを持つ付帯決議となったため」と話した。

 採決に先立つ27日の予算特別委で、都は現在地での再整備の検討に理解を示し、議会の同意なしに豊洲の移転予定地を購入しないことなどを表明した。

 予算案可決で移転計画は前進したが、再整備の検討結果が出るまで事業は事実上ストップする。豊洲地区の新市場を2014年度中に開場させるという都のスケジュールはずれ込む公算が大きくなった。

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毎日
東京・築地市場移転:知事渋々「議会を尊重」 民主も譲歩「名より実」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100328ddm041010118000c.html

 築地市場(東京都中央区)の江東区豊洲地区への移転問題で、石原慎太郎知事は27日、都議会予算特別委で民主党に対し「移転用地購入の予算執行については議会の意思を尊重する」との意向を表明した。用地購入費を削除する修正案の提出見送りを決めた民主党に対し譲歩を示す形で応えた。2日間審議を空転させた末、決着にこぎつけた民主党と都の成果。ただ知事の表情には妥協への抵抗感からか空々しさも漂った。新年度の市場移転関連予算は28日未明に予算特別委で可決する。【市川明代、江畑佳明、真野森作】

 ◇論議再燃の余地

 「新市場の整備は議会の合意を踏まえて対処すべきでは」。民主党の和田宗春議員が質問をぶつけると、石原知事は手にした答弁書を掲げてつぶやいた。「これ、読めばいいんだろ」。発言は答弁書の棒読み。「二元代表制では、長と議会は対等な関係にある。議会の意思を尊重していきたい」。和田議員が「知事の方針の大転換。新市場の議論は新たな局面に入った」と質疑を締めくくると、苦笑いしてみせた。

 民主党が、予算審議の土壇場で決めた修正案見送り。石原知事はそれに対する譲歩として、現在地再整備を検討する組織を都に新設することも表明した。

 都議会が移転関連の予算案を可決することで、14年までに市場を移転する都の計画はとりあえず頓挫を免れる。だが都側が現在地再整備の検討に配慮を約束したことで、論議が再燃する余地が残り、移転計画の展望は依然不透明だ。

 仮に、民主党が修正案を提出していれば共産党などの賛同を得て可決された後、3分の2以上の賛成が必要な再議によって否決となる見通しだった。しかし、都庁内では「知事は再議権を行使しないまま、現在地再整備の検討も拒否し続ける」との憶測が流れた。民主党には「修正案可決だけでは移転と現在地再整備の両方の選択肢が消え、議論が行き詰まる。党の責任論に発展しかねない」と懸念が広がった。民主党と都の折衝は27日未明、民主側の条件を知事答弁などに盛り込むことで折り合いがついた。「名より実を取るという流れが強まった」とある民主都議は話す。

 予算特別委での質疑を終えた都議会は27日夜、「議会として現在地再整備の可能性について(市場)事業者の合意形成に向け検討し、知事は検討結果を尊重する」などを盛り込んだ付帯決議について会派間の調整に入った。民主党の大沢昇幹事長は「民主党が求めてきたものと同等の付帯決議になる」と話した。

 ◇容認派「安堵」/反対派「評価」

 築地市場の関係者は、移転計画を巡る都議会の審議を注視した。移転容認の立場を取る仲卸の伊藤宏之・東京魚市場卸協同組合理事長は「民主党が予算に賛成することで、移転計画が暗礁に乗り上げる心配は薄まった。現在地再整備は何度も検討して困難だと分かっている」と、安堵(あんど)の表情を見せた。

 移転に反対するNPO法人「市場を考える会」の山崎治雄理事長は、「知事が築地の再整備に言及してくれたのは良かった」と評価したうえで、「知事は一貫して再整備は不可能だと強調してきただけに、今後の推移を見守る必要がある。議会に現在地再整備案を主張していきたい」と話した。

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東京新聞
【社会】築地移転予算可決 都民主が妥協
2010年3月28日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010032802000057.html

 築地市場(東京都中央区)の江東区豊洲地区への移転問題で、都議会予算特別委員会は二十八日未明、移転経費を含む中央卸売市場会計予算案を、条件付きで可決する。修正案提出の構えを見せていた都議会民主党は、石原慎太郎知事との最終質疑で現在地再整備の再検討などに前向きな答弁が得られたとして、方針を転換した。 

 二日間空転していた予算特別委は二十七日午後に再開した。これまでの水面下の交渉でまとまった結果を、民主の和田宗春議員が質疑の形で確認。「委員会で再整備を検討するがその結果を重く受け止めるべきではないか」とただしたのに対して石原知事が「議会が再整備を検討し、業界の大多数が納得する案を検討した結果は真摯(しんし)に受け止めたい」と答弁した。併せて、庁内に再整備検討組織を設ける考えも示した。

 知事はさらに、豊洲の用地取得のための予算執行は「議会の合意で示された意思を尊重する」と述べ、用地取得の必要性を議会が認めた後に買収することも明らかにした。

 民主はこの答弁を受けて「知事の方針転換によって新市場の議論は新たな局面に入った」と質問を締めくくり▽議会による再整備の検討結果を尊重する ▽土壌汚染対策の実証実験結果をオープンな形で検証し、安全な状態での開場を可能にする▽市場業者の現状や意見を聴取し、新市場整備に向けた有効な方策を検討する-といった付帯決議をつけて予算案を認めた。

 一方で、都側は「基本は移転」との立場を変えておらず、再整備案を検討する主体はあくまで都議会だと主張、設置する庁内組織も現段階では白紙の状態だと明かした。付帯決議にも法的な拘束力はなく、都側が今後、現地再整備の検討とどの程度、真剣に向き合うかは不透明だ。

 民主幹部は「もし移転ありきの再検討になるなら、信義則違反だ。そうなったら二〇一一年度予算を通さない。信頼関係をもって取り組みたい」としている。

朝日
都知事と自公、民主に譲歩 築地で市場再整備、検討へ
2010年3月28日2時11分
http://www.asahi.com/politics/update/0328/TKY201003270457.html

 東京都の築地市場(中央区)の豊洲地区(江東区)への移転計画を巡り、都議会民主党と自民、公明両党は27日、築地での再整備の可能性を検討することで正式合意した。今後、都と議会は再整備と移転の双方を比較し、改めて結論を出すことになる。

 「平行線の議論が知事の方針転換でようやく交わった。市場の議論は新たな局面に入った」。同日午後、正常化した都議会予算特別委員会で、民主党都議は再整備の検討を約束した石原慎太郎知事の答弁を受け、こう述べた。

 2014年度の豊洲新市場オープンをめざしてきた都はこれまで、築地での再整備を「検討済み」として拒み続けた。老朽化が進む現在の施設を考えると、移転を遅らせることができないからだ。石原都政を支える自民、公明両党も移転計画を支持してきた。しかし、野党が過半数を占める中、第1党の民主党の要求に譲歩せざるを得なかった。

 豊洲の土壌汚染などを理由に移転に慎重な民主党にとっても、「満額回答」ではない。会派内には「都がまともに再整備を検討するか分からない」との反発も出ている。移転予定地の購入費を削った修正案提出にこだわる声もあった。だが、知事が再議権を行使すると、野党では可決に必要な3分の2の賛成に届かない。最終的に修正案と原案の両方が廃案になると、市場関係者に大きな混乱が起きかねない——。そんな懸念から「全面対決」は回避した。

 今後、都と議会は再整備検討の手法などを詰めるが、具体的なスケジュールは未定だ。来春には都知事選があり、いずれの結論でも再始動は選挙後になるとの見方もあり、先行きは不透明だ。

 移転に反対するNPO法人「市場を考える会」理事長を務める水産仲卸業の山崎治雄さん(71)は、「石原知事が再整備の検討を受け入れた意味は大きい」。水産業界団体の代表らでつくる新市場建設推進協議会の伊藤裕康会長(75)は、「議会の空転が続く最悪の事態を避けられそうで良かった。一日も早く最善の市場づくりを進めてほしい」と話した。(渡辺志帆、別宮潤一)

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ここでは無理です。
Like a rolling bean (new) 出来事録-100218経済港湾委員会資料から

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柏崎刈羽原発の運転再開は危険です。(こちらも署名続行中)
Like a 
rolling bean (new) 出来事録-UNPLUG KASHIWAZAKI-KARIWA

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築地移転問題の全体を記した、英文のB4版チラシです。

表(クリックで拡大)
Like a rolling bean (new) 出来事録-2009_Tsukiji_flyer_collage

裏(クリックで拡大)
Like a rolling bean (new) 出来事録-2009_Tsukiji_flyer_document

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掘っただけで液状化する豊洲新市場予定地土壌(ここにたっぷり汚染)。
Like a rolling bean (new) 出来事録-5街区_液状化顕著な部分_コントラスト補正

スライム(いわゆるヘドロ)をなぜか土壌サンプルケースに素手で詰める様子。

Like a rolling bean (new) 出来事録-090523東京ガス跡地豊洲新市場予定地にて


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英文解説へのリンク↓です。


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