地味な件に見えそうですが、とても重要な情報を紐解こうとしている、と書かせていただきます。
ひとつ前のエントリーで速報でお知らせした、農水省の「卸売市場の将来方向に関する研究会」の件は、資料内容がとても多くて、なぜこれをたった1～2ヶ月で検討したのかも不明のです。
メンバーや資料名を少し見てみた限りでも、改めて懸念を深めざるを得ません。
ホーム > 政策情報 > 研究会等 > 卸売市場の将来方向に関する研究会
卸売市場の将来方向に関する研究会
http://www.maff.go.jp/j/soushoku/ryutu/sizyou_kenkyu/index.html
* 第1回（平成21年10月16日） 資料一覧 議事概要（PDF：174KB）
* 第2回（平成21年10月30日） 資料一覧 議事概要（PDF：177KB）
* 第3回（平成21年11月6日） 資料一覧 議事概要（PDF：180KB）
* 第4回（平成21年11月20日） 資料一覧 議事概要（PDF：209KB）
* 第5回（平成21年11月27日） 資料一覧 議事概要（PDF：189KB）
* 第6回（平成21年12月11日） 資料一覧
それぞれ、上記にはリンクがあります。
いかに性急に事を運んでいるか！！
たった2ヶ月で市場のあり方を、旧来の政権に近いメンバーと東京都に近いメンバーだけで研究成果として出すとは、いい加減にもほどがあります。
また、この委員としては、イシハラ宛に時代めいた「豊洲東京ガス工場跡地に移転したいと切望する嘆願書」を出した中心メンバーも名を連ねていらっしゃいます。
嘆願書はこちら↓で紹介しました。
2009-07-25
驚愕！豊洲「毒」新市場移転を嘆願した大卸や東卸伊藤理事長（やはりイシハラは諦めてませんね！）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10306733961.html
ぜひこのエントリーで、実物の写しをご覧下さい。
初めて見た方はおそらく仰天します。
それと、「研究会」の第2回の資料の中に、水産仲卸団体である東卸組合の伊藤理事長の意見があります。仲卸は大切に、とおっしゃっているものの、この組合が築地再整備の機関決定をしていてそれがまだ有効なのに、理事長自らが、豊洲東京ガス工場跡地への移転を喧伝している、しかも全員がいけるわけでないのに、移転するなら連れて行くというお話があったのも記憶からは消しがたいものです。
さて、メンバーです。
伊藤裕康 社団法人全国中央市場水産卸協会 会長
農水省所管 公益法人（財）水産物市場改善協会会長、中央魚類（株）社長
・東京都中央卸売市場取引業務運営協議会 委員
伊藤宏之 全国水産物卸組合連合会 会長
東京魚市場卸協同組合（東卸）理事長
・東京都中央卸売市場取引業務運営協議会 委員
遠藤喜志雄 全国魚卸売市場連合会 会長
㈱郡山水産代表取締役社長
大澤誠司 全国青果卸売協同組合連合会 会長
東京青果卸売組合連合会会長
・東京都中央卸売市場取引業務運営協議会 委員
大武勇 全国水産物商業協同組合連合会 副会長
東京都水産物小売団体連合会会長
東京都世田谷区の鮮魚店「魚辰」
・東京都中央卸売市場取引業務運営協議会 委員
大塚明 日本スーパーマーケット協会 専務理事
ヤオコー常務（現：顧問）
川田一光社団法人全国中央市場青果卸売協会 会長
財団法人食品流通構造改善促進機構 副会長
東京青果社長 （株）大田花き取締役
倉崎利雄 社団法人全国青果卸売市場協会 副会長
長野生鮮食料品流通情報協会
（株）長印代表取締役会長
長野中央市場協同組合 代表
近藤栄一郎 全国青果物商業協同組合連合会 理事
全国青果物商業協同組合青年連合会会長
近藤商店(南千青果(有) )こんどう青果 東京都荒川区南千住5-39-7
佐藤節夫 社団法人日本食肉市場卸売協会 会長
仙台中央食肉卸売市場（株）代表取締役社長. 佐藤 節夫
仙台市 観光交流局長（？）
椎名宏行 全国農業協同組合連合会 園芸農産部長
・東京都中央卸売市場取引業務運営協議会 委員中嶋康博東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授
食の安全研究センター副センター長
根本重之 拓殖大学商学部 教授
財団法人 流通経済研究所主席研究員（前職、現 理事？）
主な研究領域：流通論、流通の国際比較、チャネル論。量販チェーン政策研究会主宰
一橋大社会学部→早大文学部？文学研究科修士
樋口利一 社団法人日本花き卸売市場協会 会長
株式会社東日本板橋花き. 代表取締役社長
松村大 全国中央卸売市場協会専門委員会 委員長
渡辺達朗 専修大学商学部 教授（専攻：流通論、流通政策論）
横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程修了 流通経済研究所研究員
新潟大学助教授、流通経済大学助教授等
この点について詳しい情報をお持ちの方があれば、お知らせください（こちらでも調べます）。
会議資料や議事の細かいところはこれから整理してお伝えしたいのですが、とりまとめに向けた「第5回」の議事概要では、細川氏（酪農学園大学 教授）が聞き捨てならないことをお話しています。
・・・
中央市場の開設運営体制について、卸売市場が公設であることにこだわるのであっ
ても、公営である必要は無い。第三者販売と直荷引きについては、市場取引委員会が
あるがために進まない。卸と仲卸の部分的な相互乗り入れにより緊張関係が生まれ、
市場も活性化するのではないか。仲卸のリタイア促進については、経営状況が厳しい
仲卸にレッドカードを出す制度が無い。これでいいのかと思う。新たな仲卸が参入し
たことで活気が出た例もある。アイデアが出ることで活気が出る。
取引方式の設定については、会社ごとに決めることで出荷者、買受人が利用する卸
を選択し、競争による活性化が見込まれる。電子商取引では、市場外で電子セリをや
っている例があるが、こういったことを活用していくべき。
卸売市場の市場取引委員会は問題が多い。全員一致が必要なため、何も進まない。
卸会社の経営判断の自由度を高めるべき。仲卸の認可については、取引をする卸の判
断も取り入れるべき、韓国では保証金を積ませ、保証金を積むことができない仲卸と
は取引をしない。
これまでの、新自由主義時代の申し子としての市場の改変をそのまま語っています。
この研究会には都議もいらっしゃいるようです。なぜ東京都と民主長が？
～～～
【12/16 20：20頃追記】
→上記について、築地丸さんにコメントをいただき、訂正します。
都議は直接研究会には入っていません。
ただし、「東京都中央卸売市場取引業務運営協議会」の委員が下記の通りです。
伊藤興一 （公明）
（新）岡田眞理子 （民主：前中央区議）
（新）桜井浩之 （自民）
（新）笹本ひさし （民主：前江戸川区議）
鈴木あきまさ （自民）
そして、この、
「東京都中央卸売市場取引業務運営協議会」委員名簿
（平成21年9月7日現在、五十音順、敬称略）
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2009/09/40j9h201.htm
を見てみると、この東京都の委員会には、上記の研究会と5名もメンバーが重なっています！
「★」が農水省研究会と兼務の方です。積極的な移転推進で知られる伊藤両氏も兼務です。
（○が都議です）
会長 青山和夫 元東京都中央卸売市場長
委員 井口幸吉 東京都青果物商業協同組合理事長
委員 磯村信夫 東京都花き振興協議会副会長
委員 伊藤興一 東京都議会議員 ＜公明＞
★委員 伊藤裕康 東京都水産物卸売業者協会会長
★委員 伊藤宏之 東京魚市場卸組合連合会会長
委員 伊野瀬十三 東京都生活協同組合連合会専務理事
★委員 大澤誠司 東京青果卸売組合連合会会長
★委員 大武勇 東京都水産物小売団体連合会会長
○委員 岡田眞理子 東京都議会議員 新任 ＜民主＞
委員 小池潔 東京都花き振興協議会副会長 新任
委員 齋藤壽典 社団法人大日本水産会常務理事
○委員 桜井浩之 東京都議会議員 新任 ＜自民＞
○委員 笹本ひさし 東京都議会議員 新任 ＜民主＞
委員 椎名宏行 全国農業協同組合連合会園芸農産部長
★委員 島田美太郎 東京都食肉事業協同組合理事長
○委員 鈴木あきまさ 東京都議会議員 ＜自民＞
委員 高野喜八郎 東京食肉市場卸商協同組合理事長
委員 武井喜一 東京中央市場青果卸売会社協会副会長
委員 寺内正光 東京食肉市場株式会社取締役社長
委員 寺田佳正 公認会計士
委員 中野三千代 東京都地域婦人団体連盟消費経済部長
委員 根本浩歩 京浜地区青果卸売会社従業員連絡協議会事務局長 新任
委員 羽根川信 築地市場労組従組連絡協議会副議長
委員 兵頭美代子 主婦連合会参与
会長代理 藤島廣二 東京農業大学教授
委員 細川允史 酪農学園大学教授
委員 三島勝治 東京都花き振興協議会会長 新任
【ここまで訂正追記】
ここから先に思ったこと、つまりは都が開催している「東京都中央卸売市場取引業務運営協議会」が農水省の研究会の意向を受けている点への疑義は同じなので、そのまま続けます。
～～～
やはり、（このメンバーの共通性を見ても）築地市場の移転と豊洲（または晴海など）での流通センター化を想定した研究会であったと考えるのが妥当ではないでしょうか？？
自公論ずるに値せず、ですが、都議会新与党（民主党）の都議がわずかに2人です。
（羽根川さんのような、現在地再整備の方もいらっしゃいますが）
ここでは規定路線の促進に対して異議を唱えたり、風穴をあけることはとても困難だと思います。
しかし、その一方で、よほどの大声を上げたとしても、「都議会を代表して与野党都議からも強い反発は出なかった」、などとされて「実績」だけが残ってしまいます。
この事実だけでも広めなくてはならないと考えます！
政権交代しても安心できないこと、時には交代した側が既存の枠組みで作られた会議体の中ですっかり絡め取られることもあります。
その意味で、この研究会もやはり、もうひとつの「トロイの木馬」です。
＝＝＝
柏崎刈羽原発の運転再開は危険です。（こちらも署名続行中）
＝＝＝
築地移転問題の全体を記した、英文のB4版チラシです。
表（クリックで拡大）
裏（クリックで拡大）
～～～
掘っただけで液状化する豊洲新市場予定地土壌（ここにたっぷり汚染）。
スライム（いわゆるヘドロ）をなぜか土壌サンプルケースに素手で詰める様子。
～～～
英文解説へのリンク↓です。
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