築地の官製地上げ(豊洲新市場予定地=東京ガス向上跡地への強制移転)に反対し、東京都の非まっとうな物事の進め方をただし、いったいどんな汚染地なのかを裁判の場で明らかにするための訴訟、コアサンプル廃棄差止請求の、第2回口頭弁論がありました。


時間は短かったですが、今回はとてもよい展開がありました!(Twitterで速報を流していました)


http://twitter.com/rolling_bean


傍聴希望者のうち、比較的後からお見えになった20名ほどの方が法廷に入ることができなかったそうです。

遠くからいらっしゃった方もいるでしょう。原告団はすでに200名を超えていて、これからも増えるため、次回は大法廷での開廷をお願いしたいと強く願いました。



今回、なぜコアサンプル(豊洲新市場予定地の土壌)廃棄が不当なのか、憲法上のとてもはっきりしてきたと思います。コアサンプルをめぐる、調査や対策とされるものの内容に立ち入った、全体観を見据えた議論が今後なされていくものと考えられます。


また、今までも、東京都と、食の安全を守る市場の方々は大家と店子の関係にあるのに、一方的な不実は認められない、と誰もが思っていたのですが、それも「理想論」のようにしてあまり本筋での議論に乗ってこなかったとも思います。しかし、こうした継続的で深い契約関係においては、たとえ片側が行政であったとしても、信義則上の保護義務が発生する、という主張が、論文ならびに凡例から、きちんと理解されたようにも思います(都は仲卸をはじめとする市場関係者に、食の安全を維持することを依頼する関係にあるため、これまでのように、横暴な、あたかも荘園領主が小作人いじめをするようなやり口~があったのは否めません~がまかり通るはずがありません)。


一般的な公害訴訟であれば、○○の建築によりしかじかの健康被害があった(環境破壊があった)とするわけですが、この提訴では、上で示した信義則上の義務と主張(要するに脱法や不誠実はいけない、ということ)が柱になりうる点は、きわめて重大な意味を持ってくるはずです。


加えて、今後の裁判では、これまでのように「法律上の争点」だけでなく、「事実関係も争点にするように」、という裁判長からの言葉がありました。

これは、今回の画期的な点(その1)です。

法廷の場で、法律論だけでなく、これまでの調査のあり方、東京都側の論旨や技術的内容、そして情報の開示に対する妥当性が問われることになります。


さらに、進行協議(法曹・代理人だけでの進め方の事前協議)が裁判長の側から提起され、これは画期的な点(その2)です。東京都が詳細に全体像を提示することが求められました。


もちろんまだまだ勝訴したわけでもなく、現実的にはこれからが真の正念場なのですが、ある原告団の方の言葉を借りれば、「これで普通の裁判になった!」ということだと思います。


前回の口頭弁論は、まるでこちらが「なぜ裁判を起こしているのか」と怒られているかのように感ずるものだったのですが、原告弁護団を中心に、それに原告の中でも入念な法理的・技術的・手続的な面での掘下げと論理の構築がしっかりなされたためだと考えています(ひたすら感謝です)。


では、以下に簡単なメモをつけます。



コアサンプル廃棄差止請求事件 第2回口頭弁論メモ
2009/12/09(水) 10:14~10:40 (JR中央線遅れのため)
東京地裁 第415号法廷

◆準備書面・証拠書面の確認(原告・被告双方)


◆前回の差止保全を充実させた点などについて(原告弁護団代表梓澤弁護士から)

~憲法上(第13条)に基づく主張を追加している。準備書面(1)p.9~
p.10~に、消費者に加え仲卸に対しても憲法13条(個人の尊重(尊厳)・幸福追求権及び公共の福祉)を主張した。東京大学内田貴教授の『契約の時代』にあるように、東京都と仲卸の間には、信義則上の作為義務が発生する。両者が行政的な関係により区画提供されている関係であったとしても、信義則が適用される。東京都は、仲卸に対して安全に現在と同様に仕事できることへの配慮義務があり、したがって仲卸にはコアサンプル差止請求があり、東京都には説明責任が発生する。

~技術会議の提言についての説明責任について(憲法に基づく)~
都の構想では、専門家会議から技術会議に移転に関する技術検討の場を移した。しかし、代理人が専門家会議の幹部を訪問し確認したところ、
・建屋の下をきれいにすることを検討し、それ以外は矢板で仕切る(汚染拡大防止)
・協議会を作って都民と協議することが前提の提言である
ということであった。

しかるに、技術会議では、
・「有楽町層が不透水層であるため、上の土壌を取り除く」

としている。

専門家会議を前提としない技術会議の提言は、東京都が論証への責任を取れないものである。
有楽町層がどこにどんな厚さで存在するのか、仲卸への説明が論証できる形で行われる必要がある。その中でもっとも重要なのがコアサンプルである。

行政上だけでなく、原告の人格的生存義務を保証するための憲法第21条(知る権利)、憲法13条(自己決定権)に関わる、憲法上の問題がある。

東京都は、技術会議の提言で大丈夫である、と説明を行うべきであるが、それもなされていない。
原告としては、きちんと示された論拠に対して反論する形で進めていく。


<ここからがやり取り>


裁判長(以下、裁): この文面にある説明のままか?
原告団代表(以下、原): 補充はする。
裁: 基本的な法構成は従来どおり不変ということでよいか?
原: はい。
東京都代理人(以下、都): 法律的配慮に必要な範囲での準備をする。
裁: 追加(訴えの追加的申立)には違う性質の論点はない?
原: 原告は併せて210人。統合したい。
裁: 新事案と本件は同一か?
原: 仲卸多数と消費者が追加された。新たな属性の人はいない。
裁: 原告の中の個別の申立て、つまりは、損害賠償は個別の立証になるのか?
原: 公害事件などにあるような包括的立証とする。
裁: 第1次・第2次の原告の共通の損害賠償ならそれでよい。
原: 双方に共通である。
裁: では事案としての併合は考える。
都: その点は裁判所のご判断に任せたい。
裁: 併合の期日は次回口頭弁論と同じとしたい。
   被告は追加分の準備をしていないが、問題になる点は同じ内容なので、準備は一緒にできる?
都: できる。
裁: 原告から被告への争点は、法律上に関わるものに加え事実関係の争点という双方となる。
原: 主張追加はするが、反論の中でその点を展開する。現時点で(考え方は)まとまっている。
   被告側の主張に対応して主張していく。
都: 法律論がメインだが、持ち帰り主張を検討する。
原: 今回これだけの傍聴希望者が集まり、入れない方もいたので次回は101号法廷を。
裁: 聞いてはおく。
   被告の事実関係は、可能な限り明らかに、詳細に示すように。
   被告は回答準備(文面提出)にどれくらいかかるか?
都: 1月末から2月上旬まで。
裁: では次回期日を2月末に入れて、その1週間前に進行協議を行う。さらにその1週間前に提出を。次回は2月25日(木)の13:30からとする。進行協議は代理人のみで1週間前(詳細略)とする。東京都も代理人のみでよい。新件統合も2月25日とする。
進行協議前文面提出は、進行協議の1週前(詳細略)とする。
原告は、現在大筋でどんなことを考えているか、回答によっても変わるとは思うが、今、考えられる全体をイメージとして示して欲しい。


※併合、とあるのは、すでにコアサンプル廃棄があったことによる損害賠償請求、「訴えの追加的変更の申立」が取り入れられる方向で、1事件としてまとめましょう、ということです。


黙っていても少し笑みがこぼれそうで、慢心は無用ですが、前に向かうエネルギーがずいぶん蓄えられたような気がする一日でした。



Twitterの関連ツイートです。

今日、築地移転問題裁判の口頭弁論傍聴に満席で入れなかった方が20人以上だったそうです。これからはますます原告も増えるでしょうから、次は広い101号法廷で開かれることを強く希望します 約14時間前 movatwitterで


築地移転問題第2回口頭弁論。今回のポイントは裁判官自らが、弁護士との事前打合せ(=進行協議)開催を言い渡し、協議対象には事実関係も含むと法廷でした点(画期的)。つまり、東京都は事実を説明せよ、と。次回口頭弁論は2月25日13時半からです。 約17時間前 webで


悪くない風向きだと思います。詳しくはまたお知らせしますね>築地第二回口頭弁論 約21時間前 movatwitterで


原告側そろいました 約21時間前 movatwitterで


中央線遅れで原告側代理人待ち。少し開廷遅らせるそう。傍聴席満席で入れない方への説明 約21時間前 movatwitterで


築地移転問題裁判、傍聴席満席になってきているとのこと 約22時間前 movatwitterで


もうすぐ築地移転問題(豊洲新市場予定地土壌サンプル証拠隠滅阻止)の第二回口頭弁論です。


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柏崎刈羽原発の運転再開は危険です。(こちらも署名続行中)
Like a rolling bean (new) 出来事録-UNPLUG KASHIWAZAKI-KARIWA

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築地移転問題の全体を記した、英文のB4版チラシです。

表(クリックで拡大)
Like a rolling bean (new) 出来事録-2009_Tsukiji_flyer_collage

裏(クリックで拡大)
Like a rolling bean (new) 出来事録-2009_Tsukiji_flyer_document

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掘っただけで液状化する豊洲新市場予定地土壌(ここにたっぷり汚染)。
Like a rolling bean (new) 出来事録-5街区_液状化顕著な部分_コントラスト補正

スライム(いわゆるヘドロ)をなぜか土壌サンプルケースに素手で詰める様子。

Like a rolling bean (new) 出来事録-090523東京ガス跡地豊洲新市場予定地にて



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英文解説へのリンク↓です。


Like a rolling bean-Tsukiji_SOS_logo4_small


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