オバマ大統領が中国のインターネット検閲を批判した、というニュースを聞き、これを他人ごととして報道する日本のメディアに脱力していました。


なぜなら、日本にはそんなことありっこない、と暗に示すことによって、検索八分や、影に日向にプロバイダを解しての弾圧があるという事実を訴える人を「トンデモ」扱いすることができます。


そしてその同じ日、安倍内閣の頃から警戒していた「ダウンロード違法化」が政令によって定められようとしているというニュースがありました!!


CNET Japan

文化庁が「ダウンロードの違法化」政令案に意見募集

Emi KAMINO 2009/11/17 17:49

http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20403718,00.htm


 文化庁は、2010年1月1日に施行される「著作権法の一部を改正する法律」の施行令に必要な「著作権法施行令の一部を改正する政令案」を公開した。これに関する意見募集を、12月13日まで受け付ける。

 改正著作権法では、著作権者などの許諾を得ずにインターネット上にアップロードされたコンテンツをダウンロードすると、私的使用目的であるか否かにかかわらず違法になるという。2009年通常国会で成立され、2010年1月1日に施行される。

 ストリーミング配信におけるキャッシュや、検索エンジンによるコンテンツの複製、国会図書館における所蔵資料の電子化、学術目的の複製、障害者向けのコンテンツへの字幕・手話の付加などについては、必要な範囲内で権利者の許諾を得ずに可能になることが盛り込まれている。

 文化庁が公開した、著作権法施行令の一部を改正する政令案は、同法の施行に伴い、行政手続法39条に基づき策定。改正法が定める対象者の該当例などを具体的に規定している。

何をもって違法ダウンロードとするか、ネット閲覧だけでもダウンロードとなりうるし、中には意図せぬダウンロードもあります。

またこれまで、著作権侵害は親告罪だったのですが、この政令ではひとたびネットにアップしたコンテンツすべての私的利用もできない・・・ということは、対価を払わない不当な形で著作物を楽しむことだけでなく、他者の情報が再利用できないことになり、人々の情報発信や意見の集約にあたり大きな規制の網をかぶせることになります。


できうる限りの各人がオリジナルのコンテンツで「勝負」することはたしかに文化を醸成するものと期待してしまったのでしょうけれど、ネットのコンテンツの流通性はそれほどに単純なものではありません。


改正法が定める対象者該当例が指示されている、とのことですが、拡大解釈による誤った運用はとどめられるのでしょうか?

また、児童ポルノ法の「単純所持」でも問題視されているのと同じように、権力を持つ側が、面倒だと思う人や組織に対して、この政令の存在を根拠に嫌疑をかければ、あとになって「いやいや、間違いでしたね」と言っても、名誉やビジネスの回復に致命的な打撃が与えられます。


文化庁の意見募集はこちらに掲載されています。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000442&OBJCD=&GROUP =

意見募集中案件詳細
案件番号

185000442
意見募集中案件名

著作権法施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集の実施について
定めようとする命令等の題名

著作権法施行令の一部を改正する政令

意見・情報受付開始日

2009年11月14日
意見・情報受付締切日

2009年12月13日

11/17にTwitterで書いた内容のうち、こうしたネット規制に関連するものを転載します。

最後のツイートにも挙げましたが、「有害」コンテンツ単純所持違法化と、ダウンロード違法化と、著作権の非親告罪化が3点セットになるのがどれほど恐ろしいことか。


Reading: 児童ポルノ禁止法、水面下の動きが加速 - 保坂展人のどこどこ日記 http://kuex.us/3b3c
posted at 08:30:59

オバマ大統領が中国でインターネット検閲を批判。「海外要人」に批判される中国の状況を他人事のように報道する日本のメディアに後ろめたい気持ちはないのか疑問。
posted at 10:29:01

技術、消費生活、穏当な趣味、スポーツ、ビジネス、芸能の各ジャンルにはたしかに日本でもネットの自由は(かなり)保証されていますが、政治経済やオルタナティブな領域を「権力に多少役に立つ」と見なされない人が語ることにどんな口実での制約があるか、日本語を解さない地域からは見えないですね。
posted at 10:35:35

コンテンツ規制とセットは危険! RT @hanayuu : RT @machuiii : これって規制しきれるものなの?じゃどうするんだと言われたらわかんないけど RT @cnet_japan 文化庁が「ダウンロードの違法化」政令案に意見募集 http://bit.ly/n2eZ2
posted at 18:54:50

「有害」コンテンツ単純所持違法化と、ダウンロード違法化と、著作権の非親告罪化が3点セットであれば、意図しなくともいつでも誰でも陥れられる可能性があります(独裁国家並に)。現政権がこれを悪用するかどうかの議論で済まされないことは明らかです。
posted at 19:05:18



並行して法制化されようとしている「児童ポルノ法改正」()については、保坂展人さんのブログから転載します。


~~~

追記

その後、この件、ごみうり新聞のガセネタだという情報をいただきました。

消された記事のキャッシュ:

http://s03.megalodon.jp/2009-1117-1533-18/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091117-00000732-yom-soci

その件が書かれているURLはこちら。

http://shadow-city.blogzine.jp/net/2009/11/post_0bb8.html


枝野議員の事務所談を一部転載します。


 「とにかく「今国会で児童ポルノ禁止法改正案を国会並びに法務委員会」で審議する予定自体無いので」
 と言う事を示唆し
・とにかく、民主党はこんな葉梨は寝耳に水だ、社民党と、保坂氏に聞いてくれと言う事で葉梨は終わり


保坂さんや反対派への「罠」でしょうか?ごみうりとその背後の方々の「希望的観測」または「観測気球」でしょうか?


~~~

保坂さんのブログです。論点がまとめられているのでやはり引用します。

強調は引用者によります。


(ここから引用)

保坂展人のどこどこ日記
『議論なしで「児童ポルノ法改正」を急ぐべきではない』
2009年11月17日
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/9569a418e9fe92a7e2ca439d5c4688e7


「児童買春・児童ポルノ禁止法案改正案」は自民・公明の議員立法として解散前に法務委員会でたった1日だけ審議されたが、審議未了・廃案となった。しかし、解散直前まで「自民・公明・民主」による3党修正協議は続けられた。保坂展人(社民)も協議メンバーに加えてほしいと要求したが、入れてもらえなかった。協議終結の最終段階で民主党から協議内容を手渡してもらったが、その議論は棚上げしたまま「解散・総選挙」に突入してしまったわけだ。申し訳ないことに私が落選したこともあって、永田町情報が入ってくるスピードも減速した。


だが、今日この時点ですべてが決しているわけではない。ただ、国会での議論を省いて、「全会派一致」で「委員長提案」で法務委員会に提出されると改正案は長くても2~3分で成立してしまう。これは、付帯決議をつけた場合で、これ以外は議事録も残らない。この「委員長提案」の環境がそろいつつある「最終段階」まで来ていると社民党政策審議会のスタッフから聞いた。また、今日は自民党のベテラン議員が社民党を訪れて、「あとは社民党が賛成すれば、すぐに成立する状況だ。社民党の回答待ちになっているので賛成を早く決めてほしい」と幹事長に要請したという情報も入ってきた。「検討する時間もなく、国会の議論も省いて『所持罪』を創設する」という状況は、明らかに異常だ。


解散前には、新設する罰則について自民党が「所持罪」、民主党は「取得罪」で対立していた。解散前の修正作業では「所持」と「取得」を接近させ、「自己の性的目的を満たす目的で児童ポルノ等を所持・保管するに至った者」という自民・公明案に、「自己の意思に基づいて所持・保管するに至った者であり、かつ当該者であることが明らかに認められる場合に限る」と付け加えるという方向性が出ていた。現状の議論は、これを踏襲した「所持罪」を設けるが、「当分の間」は所持罪の罰則規定(1年以下・百万以下)は適用しない。その間、すみやかに廃棄・削除するようにという努力規定にとどめたというのが特徴だ。


もうひとつのポイントである「児童ポルノの定義」が曖昧であるという点について、いわゆる3号ポルノの「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、※ かつ性欲を興奮させ刺激するもの」という規定に「※殊更に児童の性器等又はその周辺部が露出され又は強調されているものであり」を挿入するという点で修正合意に近づいたという。かつての自民・公明案に盛り込まれていた「漫画・アニメ」についての調査・検討と3年後の見直しは削除された」が、「付帯決議」にこの趣旨が盛り込まれる方向だ。


たしかに、解散前の国会で提案された自民・公明案よりは、「表現規制色」は緩和されたような印象を与える。しかし、「所持罪(1年以内・百万以内)」の罰則をつくり、「当分の間は適用しない」という構図は、法律で犯罪と定めたが当分は罰則適用を見送るというものにすぎず、いずれ遠くない将来に「経過規定」は消滅するというのがプロの見方だ。


すると、この修正合意でも懸念が残る点がいくつかある。所持・保管については、共同所持により処罰範囲が拡大する恐れがある。「所持(保管)」概念は、日常用語とは違い、「事実上自己の支配下におくこと(自己の実力範囲内におくこと)」を広く意味している。児童ポルノを直接に管理していなくても、家族や友人等が児童ポルノを「所持(保管)」している場合に、「共同所持」を理由に強制捜査を行うことも可能になる。


実際、単純所持規制を導入している薬物所持事犯ではよくあることだが、家族や同居人が所持している場合に、無関係の家族や同居人も共同所持を理由として検挙されることがある。これらのケースでは結果として不起訴になる場合が多いが、ハレンチ罪として「身柄拘束」され、大々的に報道された場合には、社会的な生命は抹殺され、名誉回復は困難になる


国家権力が、出版社やメディアに対する統制の手段として悪用することも考えられる。例えば、政界や官界の腐敗を追及する雑誌を刊行している出版社であれば、過去の刊行物の中に、「児童ポルノ」と見做されかねない刊行物があった場合や、メディアに取材資料としての「児童ポルノ」があった場合、あるいは、被取材者が持ち込んだ場合などに記者やスタッフに対する摘発も可能になる。


これらの懸念は、民主党提案の取得罪であれば払拭可能だということも強調しておきたい。取得罪の場合には、共同行為が「取得」に向けられていることを立証しなくてはならず、たまたま、巻き込まれる可能性は相当程度薄れるからだ。


解散前と違って、今や自民・公明は少数だ。なぜ、民主党が主張してきた「取得罪」を堂々と押し通さないのか疑問だ。法律で「反復・継続して取得」と書けば、過去にさかのぼり購入した雑誌・本・DVDの所持や、パソコンに送付された添付ファイルで「犯罪者」に仕立てあげられることはない。そこは、「所持罪」という犯罪を新設し人を縛る法律だから厳密に議論してほしい。


(ここまで引用)

最近のこちらでの関連エントリー:


2009-05-15
「官僚が民主党復活を怖がる6つの理由」)(5/13東京新聞)・CPJによる「ブログ弾圧国家」
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10260612047.html


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築地移転問題の全体を記した、英文のB4版チラシです。

表(クリックで拡大)
Like a rolling bean (new) 出来事録-2009_Tsukiji_flyer_collage

裏(クリックで拡大)
Like a rolling bean (new) 出来事録-2009_Tsukiji_flyer_document

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掘っただけで液状化する豊洲新市場予定地土壌(ここにたっぷり汚染)。
Like a rolling bean (new) 出来事録-5街区_液状化顕著な部分_コントラスト補正

スライム(いわゆるヘドロ)をなぜか土壌サンプルケースに素手で詰める様子。

Like a rolling bean (new) 出来事録-090523東京ガス跡地豊洲新市場予定地にて



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英文解説へのリンク↓です。


Like a rolling bean-Tsukiji_SOS_logo4_small


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