世界同時株安で東証も暴落し、今年になって何十兆円(あえて書きませんが)も「失われた」、といったことが強調されています。


あくまで株式時価総額というバーチャルな試算に基づくもので、もちろん規模を聞けば驚愕に値するものです。


けれども(という簡単な接続詞で話題転換するような気軽な事態でないのは承知の上で)、昨日のエントリーでも書いたように、「あの時タケナカさんの言うことを聞かなかったから」という論調にメディアが乗ってくるだろうことをまた強く警戒しています。


また、「この国にお金がなくなってきているじゃないかという恐怖」をもってして支配をけしかけてくる方々の言い分はこれまでにも目に余るものがありました。



・基地か経済かという根拠なき二択を沖縄のあらゆる地域で迫ったり、

・岩国市が空母艦載機移転受け入れれば「1兆円もらえる」といったデマを流したり、
・核燃料再処理場を受け入れれば支援が受けられることを「しょうがない」と諦めさせたり、
・震災復興支援金の札束で顔を叩いたり、
・子どもが笑えればお年寄りも笑えてよい大阪になるという「最強」弁護士を登場させたり、

・インド洋で給油をお布施すれば、アメリカとともに経済が復活するという妄言を垂れ流したり、

・揮発油税を取らなければ安全な交通手段が維持できないと脅したり、


まったく、こういうのを「一事が万事」と言うのだと思っています。


ついでに、この局面では、庶民が株などで儲けようとするほうが間違っている、というある種の潔癖さによる「自己責任論」を振りかざすことには何の意味もないことにも、くれぐれも注意しておきたいと思います。


◆参照: 過剰な株主天下を徹底批判した『誰のための会社にするか

 (多分、4回目くらいの紹介です。すみません・・・)


さらには、もっとも恐れるべきものは「起死回生を狙った戦時経済への道」です。

Wikipedia 「国家総動員法」より:

背景と影響
第一次世界大戦の戦訓より、戦争における勝利は国力の全てを軍需へ注ぎ込み、国家が総力戦体制をとることが必須であるという認識が広まっていた。日中戦争の激化に伴い、当時の日本経済では中国で活動する大軍の需要を平時の経済状態のままで満たすことが出来なくなっていたため、経済の戦時体制化が急務であった。

(略)


内容
同法によって国家統制の対象とされたものは、以下の6点に大別できる。


労働問題一般 国民の産業への徴用、総動員業務への服務協力、雇用・解雇・賃金等の労働条件、労働争議の予防あるいは解消


物資統制 物資の生産、配給、使用、消費、所持、移動


金融・資本統制 会社の合併・分割、資本政策一般(増減資・配当)、社債募集、企業経理、金融機関の余資運用


カルテル 協定の締結、産業団体・同業組合の結成、組合への強制加入


価格一般 商品価格、運賃、賃貸料、保険料率


言論出版 新聞・出版物の掲載制限


法律上には上記統制の具体的内容は明示されず、すべては国民徴用令をはじめとする勅令に委ねられていた。このことから、同法をナチス・ドイツによる授権法(1933年)の日本版になぞらえる説もある。

(略)

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株価「超」暴落のニュースに埋もれていますが、六ヶ所村の住民による事業認可の仙台高裁判決があり、不当判決が出されました。


asahi.com 【社会】  2審も住民側敗訴 低レベル廃棄物訴訟
2008年1月22日 14時32分

 日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センター(青森県六ケ所村)をめぐり、核燃料サイクル施設に反対する住民ら58人が国の事業許可取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が22日、仙台高裁であり、小野貞夫裁判長は住民敗訴の1審判決を支持、住民側の控訴を棄却した。

 1審同様、事業許可の前提となる国の安全審査の可否が争点。控訴審で日本原燃は、高裁の命令を受け、未公表だった施設周辺の地質調査データを提出した。

 住民側はこれを基に「割れ目が多く劣悪な地盤があり、地下水の流れやすさを前提に被ばく評価をすべきだ」とし、安全審査に重大な誤りがあると主張。新潟県中越沖地震の東京電力柏崎刈羽原発被害に触れ「低レベル施設も危険」と訴えた。

 国側は「局所的データのみで地盤が劣悪とする主張は失当」と反論した。(共同)

一部が不安定だからといって地盤全体を劣悪とする主張は失当、つまり「原告の言うことは、自然界に100%を求める過剰反応です」と主張しているわけですが、過去数十年原子力行政の主体の「偽」が明らかになっているこの段階で、より国民の福祉と安全を求める誠実な態度が司法に見られないのはまったくもって無念です。


先般の浜岡原発の名古屋高裁での判決にあたっても、中越沖地震の事例は、審議期間に非含ということで勘案されなかったことを思い出します。


今回は原発との線量が異なり、事故のシビアさが異なるということでまた「あれはあれ、これはこれ」として扱っている点に不真面目さというか、見識の低さが見て取れます。

おまけに生体に許容される線量、という閾値の有無もまだ議論の途上にあります。


時事ドットコム 2008/01/22-19:30

事業許可は適法、2審も住民敗訴=低レベル放射性廃棄物訴訟-仙台高裁
 青森県六ケ所村にある日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センターについて、周辺住民ら58人が国を相手に事業許可取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が22日、仙台高裁であった。小野貞夫裁判長は、住民側の請求を退けた青森地裁判決を支持し、控訴を棄却した。
 小野裁判長は「原子力発電所などと比べて同施設内の放射能量は少なく、万一の事故でも放射性廃棄物の飛沫(ひまつ)による被ばくは限定的」と指摘。事故の際に直接被害を受ける範囲を「広めにみても半径20キロ前後」として、同範囲内に住む10人だけに原告適格を認めた。
 その上で、一審青森地裁と同様、耐震設計基準に基づいて安全審査が行われていることなどを挙げ、「国の審査過程に看過しがたい過誤や欠落はない」と判断した。

火曜の東京新聞にこのような記事があり、朝の新幹線で読んでいました。

目的地に到着して携帯でニュースを見たら、それが六ヶ所村での「国の審査過程に看過しがたい過誤や欠落はない」だったので、まったくブラックジョークとしか思えませんでした。


なにしろ、従来の「国の審査」での判断における根拠の希薄さをつくづく思わせられる内容です。


中日新聞

【科学】 届かない『地元の思い』 中越沖地震 国の住民説明会で不満噴出
2008年1月22日


 昨年七月十六日に起きた新潟県中越沖地震から半年。想定外の揺れで大きな被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所は耐震安全性を中心に調査・検討作業が続いている。経済産業省原子力安全・保安院は十二日に地震後初めての住民説明会を開催。作業状況や対策を伝えたが、住民からは技術的な安全性への不安以上に保安院の指導・監督体制の不備や「地元の思い」との隔たりに対する強い不満の声が上がった。

 会場はJR柏崎駅から歩いて約十分の柏崎市民プラザ。周辺の商店街の歩道は至る所に隆起があり、地震の影響をとどめていた。雪が舞う中、集まった約三百人の住民で席は埋まった。

 説明会は薦田康久院長のおわびで始まった。地震発生後の情報提供の遅さや連絡のまずさ。住民の関心が高かった原発沖合の活断層を公表しなかった認識の甘さ過去の安全審査の情報公開の不十分さこれから始まる住民の追及を見越したように、保安院の不手際、ミスを列挙し、「申し訳ありませんでした」と何度も頭を下げた

 耐震設計を上回る揺れに襲われた柏崎刈羽原発だが、原子炉を「止める」「冷やす」、放射能を「閉じ込める」-という安全確保の基本はほぼ守られた。住民が不安を募らせたのは黒煙を上げて燃える変圧器の火災だった。保安院は自衛消防体制や情報連絡体制の強化などの対策を説明したが、住民は「地元は以前から消防体制の不備を指摘していた。保安院は今まで何をしていたのか。危険性を予測して対応するのが役割ではないのか」と、保安院の責任をただした。

 原発敷地の地盤の弱さを心配する住民は「補強工事で強化できるのか」「軟弱地盤に原子炉設置を認めた当時の安全審査の判断は誤りだ」との意見が出た。このやりとりの中で保安院は「今回の地震は想定した地震動を大きく上回っており、当時の評価は十分ではなかった」と認めた

 三時間を超す説明会を終えた薦田院長は「地元の関心の高さを強く感じた。今後も(説明会を)何度でもやっていきたい」と話した。だが、会場のあちらこちらに制服姿の警備員が配備されていたため、女性住民は「このものものしさは何か。穏やかに静かに暮らしている住民を威圧するような雰囲気はおかしい」と発言。運営方法や国の姿勢に不信をぶつけた。


あれこれの諸事が予定をはるかに超えて立て込んでしまい、今週一杯(来週頃まで??)レスポンスが悪くなりますが、ご容赦下さい。。


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UNPLUG KASHIWAZAKI-KARIWA

引き続き、柏崎刈羽原発停止への署名↑をお願いいたします。

被災された方々の不安と風説被害に心よりお見舞い申し上げます。

「運転再開は白紙」と所長が年頭会見で強調されたそうですが、動向を見守りたいと思います。

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