新潟日報の特集、「揺らぐ安全神話 柏崎刈羽原発」に、第4部「はがれたベール」 が連載されているのを読んだら、いてもたってもいられなくなり、情報を展開させていただきます。


*返信したいメールや、すべきことが山積み状態ですが…(この場でも改めてお詫びします)。


新潟日報「はがれたベール」

これほどの激震に襲われた場所になぜ、原子炉の設置が許可されたのか-。中越沖地震で、阪神大震災と同じ最大で震度7を記録した東京電力柏崎刈羽原発。国は1977年、専門家による安全審査の審議を経て1号機の設置を許可した。しかし、中越沖地震の揺れは設計時の想定を大幅に超えた。さらに周辺海域に大規模な活断層の存在が明らかになったことによって、国による安全の「保証」は大きく傷ついた。非公開で行われ、厚いベールに覆われてきた31年前の安全審査。かかわった人物の証言を基にその実態を検証する。

渾身の連載です。リンクを張り、サブタイトルも引用させていただきます。


第1回 突然の辞意 (2008年01月01日掲載)

  断層権威の警告無視 名前利用「嫌気差した」

第2回 地質学と工学 (2008年01月03日掲載)

  断層評価 意識にずれ 「つくる」ために妥協許す


第3回 低い問題意識 (2008年01月04日掲載)

   東電「断層はおまけ」 1号機の海底調査行わず


第4回 初歩的ミス (2008年01月05日掲載)

   地形学の常識を無視 国の専門家人選に偏り


第5回 出来レース (2008年01月06日掲載)

   「追試」重ね却下ゼロ 国と電力 あうんの呼吸


よくここまでのことを調べ尽くし、また発信してくださったと驚嘆しています。


読むにつれて、国のなしてきたことと、今ものうのうと取り続けている態度に怒りがこみあげてきます。

これが「国ぐるみ」の安全軽視や偽装でなければいったいこれが何なのでしょう。


すべて真っ赤に強調して引用したい衝動にすら駆られますが、まずは落ち着いて内容を紹介したいと思います。


第1回から:

(略)

 松田は当時、気比ノ宮断層北方の延長線上に並ぶ断層群の存在を気に掛けていた。断層群と気比ノ宮が一体である可能性があり、同時に動けば、マグニチュード(M)8規模の地震を引き起こす恐れがあるからだ。

 だが、断層群については調査はおろか、議論も尽くされなかったという
。1号機の安全審査書では、気比ノ宮断層で起きる可能性があるM6・9の地震を考慮することが妥当と結論付けられた。

(略)


■消された記述

 松田は柏崎刈羽1号機を最後に原発審査から一切、手を引いた。「研究で得た知識を必要としている人に知らせるのが研究者の役目。その夢が破れた」

 松田の見解は82年にまとまった2、5号機の設置審査でも「一連の断層と考える必要はない」と否定された後、残りの号機の審査書では記述すら消された

 中越地震直前の2004年10月13日、政府の地震調査委員会は、気比ノ宮断層と、その北に連なる断層群を「長岡平野西縁断層帯」としてひとくくりにし、M8規模の地震が起こり得ると評価した。27年前の松田の見解と同様の内容だった

 それでも国は中越沖後、原発の安全審査について「当時としては最高峰の学者が持つ知見で評価した」と強調する

 活断層研究の最高の知見が生かされなかった背景には、実際に物づくりに携わる工学系の専門家たちとの意識のずれがあった。


第2回から:


「ああ、また始まった…」。1975年から行われた東京電力柏崎刈羽原発1号機の安全審査の分科会。東京大助教授で耐震工学の専門家として参加していた秋山宏(68)は、ため息をついた。2人の地質専門家が、活断層の見方をめぐり延々と議論を続けたからだ。

(略)


■金科玉条の式

 垣見が感じていた工学者との意識のずれは、松田が専門誌上で75年に発表した地震規模の計算式の扱いをめぐって如実に表れる。

 「松田式」と呼ばれる計算式は、活断層の長さから、起こり得る地震の規模(マグニチュード=M)を推定する。10キロ以上の断層が過去に起こしたM6・5級の地震記録を根拠にしていた。だから10キロより短い断層には応用できなかった

 だが、数式で表すことが難しい地質学の分野で、松田式の登場は「画期的だった」と垣見。工学者もこれを見逃さず、「便利な式」として独り歩きが始まる。電力各社でつくる日本電気協会も原発耐震設計マニュアルで松田式の活用を明記。本来使えないはずの短い断層にまで、式を当てはめるようになったのだ

 予想もしなかった事態に、生みの親である松田は戸惑った。「大ざっぱな材料から作った式なのに、いつしか金科玉条のように使われていた

 ちょうど松田式発表の年に始まった1号機の審査でも、焦点となった「気比ノ宮断層」の評価で採用された。それも、「もっと長い可能性がある」とする松田本人の見解は事実上無視されるという皮肉な形で。気比ノ宮断層が起こす地震の推定規模は、式から「M6・9」とはじき出されたのである。

 工学者らが式を都合よく利用したとの指摘に対し、秋山は反論する。「発電所の設計は、活断層の評価だけで考えているわけではない。むしろ過剰なほど安全上の余裕をとっている」

 当時、審議を見守った元科学技術庁職員の塚腰勇(69)は「地盤はよくなくても設計で手当てすればいいというのが、工学屋さんの考え方だった」と振り返る。

(略)

第3回から:

(略)

 事業者の東電はもちろんだが、専門家が集まった国の安全審査で見抜けなかったのはなぜか


 ■地形学者不在

 原発の安全規制を担う経済産業省原子力安全・保安院長の薦田康久(54)は今も「その時々で最新の知見を踏まえてやってきた」と強調する。だが、岡田は審査の実力自体に強い疑念を向ける。

 柏崎刈羽2号機以降の審査メンバーの名簿を見て、「この中に活断層をちゃんと見られる人はいない」と確信したからだ。実際、審査で海底音波探査データを確認した複数の学者も「十分見る力がなかった」と吐露した。

 活断層研究のけん引役を果たしてきたのは、地形を見て地殻変動などを読み解く地形学者たちだ。75年に設立された「活断層研究会」のメンバーの大部分を占め、80、91年に日本の活断層の研究成果を刊行してきた。

 だが、柏崎刈羽原発の安全審査に連なる名簿には地形学者は見当たらない。背景には、当時の断層評価は、地下の構造から地殻変動などを分析する地質学が主流だったという学界の事情がある。

 現在、活断層研究会会長を務め、地形学にも理解が深かった松田時彦(76)は「90年ごろまでは、地形から活断層を見つけても、地質屋さんは『地形に出ているだけで実証はされていない』と言うような時代だった」と振り返る。

 ■「常識」を無視

 東電の設置許可申請書も国の安全審査も、こうした学界の空気を反映。地表面に明確な断層がなくても、たわんだような「褶曲(しゅうきょく)」と呼ばれる地層の下には断層が存在するという地形学の常識を無視してきた

 ところが東電は03年、活断層ではないとしていた設置申請当時の断層評価を覆した。その根拠になったのは2000年に産総研の岡村が発表した論文。「褶曲の下に断層がある」などの考え方を示していた。

 しかし、岡村は「論文は別に、新しいことを書いたものではない」と説明する。実際、70年代後半には、同様の考え方を基にした複数の論文が既に発表されていた。東洋大教授の渡辺満久(51)は「地形学を知らなかったのは電力会社の不勉強に尽きる」と批判する。

 「偏ったメンバーで審査されてきたことが問題」。岡田が指摘する安全審査の欠陥からは、設置許可を前提にしたかのような国の姿勢が見え隠れする。

第5回より(管理人: この記事には、もう鼻血が出ちゃいそうです)

(略)

 ■行政通じ把握

 「電力会社の申請は審査委員に『駄目』とは言わせない。何度も補正を出し直すので、最後には『妥当』となる」。大半の原発の安全審査を担った地質専門家の垣見俊弘(78)は明かす。

 さらに、意外な事実も浮かび上がった。理化学研究所(埼玉)の所員として柏崎刈羽をはじめ多くの原発を審査した浜田達二(85)の回想は生々しい。

 柏崎刈羽のケースではないが申請書類に問題があり、審査委員の1人が「申請をいったん却下し、出し直させるべきだ」と指摘したことがあった。だが、事務局の役人は「いや、それはあうんの呼吸でやる」とやんわり断ったというのだ。

 次回の審議。前回示された問題点をクリアする内容の追加補正書類が電力会社側から“自主的”に提出されてきた。「電力会社は本来、われわれの議論を聞いていないはずだ。でも実際は行政庁を通して把握し、『却下』と言われる前に修正版を出してくる」。浜田は苦笑した。

 「ノー」を事実上、封印した安全審査で、岩盤が他原発に比べて軟弱といわれた柏崎刈羽も、マグニチュード8規模が想定される東海地震の震源域にある中部電力浜岡原発(静岡県)も合格してきたことになる

 そもそも、審査に参加した専門家は原発の立地点を本当に適当だと思っていたのか―。垣見は正面からは答えず、「本音を言えば、適地を選べるなら選ばせてもらいたい」と、立地候補地決定後にしか審査できない歯がゆさをにじませた。

 ■「ただの視察」

 審査委員が立地地域を訪れ、地盤や断層などを自らの目でチェックする「現地調査」も不十分だった。

 前原子力委員長の藤家洋一(72)は「安全審査というのは社会に説明するための行為でもある。現地でちゃんと調べているということは見せないといけない」と意義を説明する。

 だが、柏崎刈羽を審査した元日本地震学会会長の大竹政和(68)は「現地調査では見たいものはたくさんあったが大抵1、2日だけ。少なくとも倍の日程は欲しかった」と漏らす。さらに地質の専門家は「案内された場所を歩いただけ。ただの視察だ」と吐き捨てた。

 却下ゼロの実態から「出来レース」にも見える安全審査。その過程では、電力会社とのなれ合いも生じていた。

工学屋さんの考え方、という表現には、個人として後ろめたいところもないのになぜか汗をかいてしまいますが、ただ、たしかにしばしば「工学」の名を借りて結論ありきの議論がなされたり、危険なものも、設計や運用でカバーする(人間の知性に依存させようとする)という発想があるのは事実です。


電力会社の社会責任を追求するだけでなく、また、以前挙げたように「褶曲は活断層とは関係なかったと当時考えられていたが、最新のテクノロジーで色々なことが分かった」などというタワゴト(つまり、不道徳な「いい勉強になった」というカッコつきの「有識者」の論説)を取り上げることも必要ですが、ここでは何より、電力会社をあうんの呼吸(冷えたソラマメ総理がそんな言葉を発していましたね)で馴れ合わせているのは国であることが明らかになっている点に注目したいと思います。


また、この記事に登場してくださっている、こうした原子力発電所の初期の関係者からのお話は戦争経験者のお話にも似ています。


それは古い時代にあったことでなく、つい数十年前に「国」が侵した過ちであり、そしてそこには象徴的な存在としての「国」や「電力会社」や「権力者」や「マッドサイエンティスト」が自己主張を進めたという側面のほかに、その場に関わる少なからぬ人が欺瞞に気づき声をあげながら、かつその言論や知識が封殺されていたという実態があります。


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原子力ルネサンスをなんとしてでも推し進めたいというメッセージは、『原子力産業新聞 2008年1月7日号 ヘッドラインニュース 新年特集号』にも挙げられています。

◇国内ニュース

○原子力委 地球環境とエネ安定供給 ビジョン懇報告書取りまとめへ 環境NPOなどからも意見聴取

 原子力委員会の地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会は、十二月二十日、第五回会合を開催、報告書に盛り込むべき視点を検討するとともに、二つの特定非営利活動法人(NPO)から意見を聞いた。

○原子力委 地球環境とエネ安定供給 ビジョン懇報告書取りまとめへ 環境NPOなどからも意見聴取

 原子力委員会の地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会は、十二月二十日、第五回会合を開催、報告書に盛り込むべき視点を検討するとともに、二つの特定非営利活動法人(NPO)から意見を聞いた。

○来年度政府予算案決まる 原子力 文科・経産で約四千四百億円 今年度とほぼ同額に止まる
 政府は十二月二十四日の閣議で来年度予算案を決定した。文部科学省の原子力関係は、概算要求額の今年度予算比八・七%増に対し、同一・九%減の二千六百十四億円。経済産業省の原子力関係は同じく一二%増に対し、同二・三%増の千八百十六億円で、両省合わせた原子力関係は今年度とほぼ同額の四千四百三十億円となった。

○年頭所感
 □甘利 明 経済産業大臣  総合的なエネ政策遂行
 □岸田 文雄 内閣府特命担当大臣(科学技術政策)

○展望 未来を信じ、いまを切り開き前に進もう

 今年の日本の原子力界は、山登りに例えれば、遠くの空の明るさとは対照的に、周囲はまだ霧に囲まれ足元は不確かな状況ではあるが、出発しないわけにはいかない、と言うところだろうか。

「出発しないわけにはいかない」


またこの言葉を思い出してしまいます。「構造改革を進めないわけにはいかない」

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東京新聞の1/8付科学欄の「展望2008」の取り上げる4つの大型プロジェクトのうち、2つが原子力施設関連となっています。(1件は核物理(加速器開発)でした)


今年はもんじゅの運転再開が秋を目処に計画されており、そして来月に青森県六ケ所村の核燃料再処理工場が「完成」の予定となっています。


中越沖地震を経てなお、いずれの原子力安全性よりは「出発しないわけにはいかない」という意図が優先しているのではないか、そうした危惧を持つ民間人(政府や電力会社が選定していない専門家を含む)とは、実行主体である組織や、承認者である国は、十分なコミュニケーションをとっていただけるのでしょうか?


それが拒絶されるなら、やはり「出来レース」を疑わざるを得ません。

東京新聞科学欄 展望 2008
2008年1月8日


 二〇〇八年は宇宙開発、基礎物理学、原子力の大型プロジェクトが新しい局面を迎える。日本人宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)で日本の実験棟を組み立てるほか、七年がかりで建設が進められてきた世界最大級の加速器施設が動きだす。また、原子力は、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)が営業運転に入り、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が運転再開を予定するなど、核燃料サイクル実現に向けて動きだす。


宇宙  日本人飛行士が次々建設 ISS実験棟『きぼう』 

(略:←すみません。今回のテーマから離れるためです)

基礎物理学  最先端研究をけん引 J-PARC本格稼働
 茨城県東海村にある世界最大級の大強度陽子加速器施設「J-PARC」が今秋、いよいよ本格稼働する。光速近くまで加速された陽子と、陽子を水銀の原子核に衝突させて発生した中性子や中間子、反陽子などを使って物質、生命科学、原子核、素粒子など最先端科学の研究に利用する施設だ。

 加速器は、一つのリニアック(線形加速器)と二つのシンクロトロン(環状加速器)から成る。真空中のパイプの中を走る陽子を、電磁力で加速する。長さ三百三十メートルのリニアックで光速の80%にまで加速した後、直径百メートルの環状のシンクロトロンで光速の97%にまで増速、最後に直径五百メートルのシンクロトロンで光速の99・98%までに加速する。

 施設で得られる中性子ビームの強度は、これまで世界最高だった英国の施設のビームより六倍強力。短期間でタンパク質など物質の構造を調べることができる。

 外国の研究者にも開かれており、多くの外国人研究者がここで研究する。二〇一三年度の研究者数の予測は約三百二十人で、うち七十五人が外国人。国際色豊かな環境で、最先端の研究が活発に展開されることが期待されている。

 日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が共同で建設、運営する。建設に着手したのは〇一年で、敷地面積は六十五万平方メートル。建設費は千五百億円。


原子力  もんじゅ 13年ぶり運転再開へ
 もんじゅは、十月の運転再開を目指す。一九九五年十二月のナトリウム漏れ事故以来十三年ぶりの原子炉起動。国際的に高速増殖炉実用化に向けた動きが進む中、日本発の技術の世界標準獲得への期待がかかる。一方、長期停止原発を動かすことへの懸念も根強い。

 もんじゅは昨年八月、改造工事を終えた。事故後、一時は廃炉も叫ばれたが今はエネルギー安定供給を背景にした原子力再評価の追い風に乗るウラン資源の有効利用が可能な高速増殖炉技術開発の国際拠点として米仏も協力する。

 ただ、十年以上止めていた原発を動かす例は世界でもほとんどない。安全はもちろん住民の安心・信頼を得るための難しい対応が続く。


議論が再燃?核燃料再処理
 青森県六ケ所村の核燃料再処理工場は二月に完成する予定。現在、最終試験を行っている。

 再処理工場は、原子力発電所で使った核燃料から再び燃やせるプルトニウムを取り出すための専用工場。電力業界が出資する日本原燃が建設している。

 一九九三年の建設開始からようやく完成にこぎつけたが、使用済み燃料プールの漏水や機器の耐震計算ミスなどでこれまでに何度も延期されてきた。日本が進める核燃料サイクル政策の中核施設だけに、事故やトラブルが起きれば原子力政策に大きな影響が出る。

 コスト面でも課題は多いが、国や電気事業連合会などは第二再処理工場建設に向けた動きをみせており、核燃料サイクルをめぐる議論が再燃しそうだ。

第2回調査に来日するIAEAにも、「さらなる出来レース」に加担することのないよう、お願いいたします。

TBS
柏崎刈羽原発、IAEA調査団再来日へ
動画を他のプレイヤーで見るWMP高 WMP低 Real高 Real高  新潟県の柏崎刈羽原子力発電所の地震による影響を調べるため、IAEA=国際原子力機関の調査団が、今月27日に再来日することがわかりました。

 IAEAの調査団は地震直後の去年8月に柏崎で現地調査を行いましたが、さら詳しく調べるため、2度目の来日に向けて、原子力安全・保安院などと日程の調整を進めていました。

 その結果、調査団が今月27日からおよそ1週間の日程で再来日することが決まりました。

 調査団は28日と29日の2日間、東京で原子力安全・保安院や専門家らと意見交換を行い、30日の午後から柏崎刈羽原発で立入り調査する予定です。

 今回の調査では、フィリップ・ジャメ団長ら前回よりやや多い10人近くの調査団が来日するとみられ、主に原子炉の内部やタービンの被害状況などについて詳しく聞き取り調査が行われるものとみられます。

 調査団は今月31日には再び東京に戻って会議を行い、来月1日に帰国する予定です。(08日10:45)

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(わたしにとっては時間がないときに顕著な傾向で)とても長くなってしまいますが、原子力関連で、もう1件覚え書きを挙げます。ご容赦ください。


年末の12/5にアップした 『大間原発MOX燃料プルサーマルを株主圧力で推し進められたら?・柏崎刈羽被害への東電対応にも思う 』でお知らせした、J-Power(電源開発)への英国ファンドの株主提案を、このたびは断ったそうです。

まず、最初に目に留めた記事はこちらでした。

ロイター JパワーがTCIの株主提案を否定、社外取締役受け入れを拒否
2008年 01月 7日 19:46 JST


[東京 7日 ロイター] Jパワー(電源開発)(9513.T: 株価, ニュース, レポート)は7日、同社株を9.9%保有する筆頭株主のザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンド(TCI)からの株主提案に回答し、TCIが推薦する2名の社外取締役受け入れを拒否したと発表した

 Jパワーは回答の中で、TCIによる業績に対する指摘が「的確ではない」と否定したうえで、株式持ち合いについても「成果を生み出しつつある」として解消を拒否。そのうえで、2007年6月の株主総会の時点にJパワーの経営を評価しておきながら、半年後の11月下旬に経営戦略の見直しを要請したことに「とまどいを禁じえない」と批判した。

 TCIは昨年11月22日付けでJパワーの経営陣に書簡を送付し、2004年に完全民営化した後に利益が低迷していることを指摘。そのうえで、TCIのアジア代表ら2人を社外取締役として受け入れるよう求めたほか、他社との株式持ち合いに懸念を示し、関連性のない上場株を売却すべきと要請した。

 この書簡を受け取ったJパワーの経営陣は12月初旬にTCIと面会した。さらに12月末に取締役会としてTCIの要請を拒否する方針を決定したうえで、7日午前にTCIに回答を送った。Jパワーの今後の展開としては、TCIからの反応を待ったうえで検討するとしており、現時点で、TCI側と面会する予定はないという。

 記者会見した北村雅良副社長は「TCIは3―5年で長期投資というが、ひとつの発電所を作るのに5年かかり、準備を入れると10年かかかるビジネスだ。われわれとは時間の感覚が違っている」との認識を示した。

 (ロイター日本語ニュース 村井 令二記者)

ただ、電力事業への外資ファンドの介入に対して、これでしばらくは安心と楽観視するのは早計なのだと考えています。

産経MSN Jパワー TCIの社外取締役受け入れを拒否
2008.1.7 18:44

 Jパワー(電源開発)は7日、同社の筆頭株主である英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンド(TCI)から、業績低迷を理由に社外取締役2人の受け入れを要請されている問題で、要請拒否の回答を書簡で送ったと発表した。Jパワーは、「TCIが主張する業績指標(連結営業利益)は、Jパワーが目標とする指標(連結経常利益)と異なって適切でなく、企業価値を向上させるとは考えられない」(北村雅良副社長)と理由を説明した。

 TCIは昨年6月の株主総会で増配を提案したが、否決された。同11月には電力料金引き下げに伴う業績低迷を理由に、Jパワーに社外取締役の受け入れのほか、持ち合い株式売却、役員賞与の支給凍結を求めた。

 今回、JパワーがTCIの要求を全面否定したことで、次回の株主総会は前回より一層紛糾する可能性が出てきた

上記の07/12/5の弊ブログエントリーより引用します。

(略)

さらなる情報として、J-Power問題については、FACTA Onlieで、すでに07/6/25~27にわたりTCIの介入を予測する記事が書かれていました。


Jパワー対英ファンドTCI(1)――バーチャル株主総会

Jパワー対英ファンドTCI(2)――バーチャル株主総会

Jパワー対英ファンドTCI(3)――バーチャル株主総会


また、実際の株主総会では(同じくFACTAより)、


Jパワー対英ファンドTCI(4)――肩透かしの株主総会


にあるように意外な肩透かしがあったとのことですが、むしろ相手は長期戦略に出ていたということでしょう。


※このネット記事に先駆けて、2007年7月号のFACTAの本誌に掲載されているそうです。

 電源開発に挑む英ファンド株主の「倫理」

(略)


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UNPLUG KASHIWAZAKI-KARIWA

引き続き、柏崎刈羽原発停止への署名↑をお願いいたします。

被災された方々の不安と風説被害に心よりお見舞い申し上げます。

同時に風説被害解消を挙げつつ安全宣言をいたずらに急ぐ政府・企業方針に懸念を覚えます。


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