自分自身の時間がほぼまったく取れないので重要な事件を簡単に紹介することになってしまうのが申し訳ないのですが、今日(8/30)には辺野古のアセス方法書についての詳細な状況解説記事が、東京新聞の【核心】に掲載されていました。

東京新聞 【核心】
沖縄・辺野古アセス 防衛省の方法書 地元猛反発『受け取り保留』
2007年8月30日

 沖縄県の米軍普天間飛行場の移転先として予定される同県名護市辺野古の代替施設問題で、沖縄県との意見が折り合わないまま、防衛省は環境影響評価(アセスメント)の方法書を送付し、事実上、建設に向けて動きだした。しかし、県側は受け取りを保留し、市民らが縦覧できない異常事態が発生、双方の緊張感は今まで以上に高まっている。 (社会部・蒲敏哉)

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070830東京新聞

*記事画像は、A4サイズをはみ出していたので、最近知った複数画像の自動マージが簡単にできるフリーウェア『画像詰め込みEXE 』(新聞や雑誌のクリッピングにとても便利です)で貼り付けています。


記事にもあるように、本来、知事が認可する前の手続きを強制してきたということ、そもそも政府案だけに沿った内容を、反対する地方行政側に配達証明付き郵便を送りつける、という点がまず尋常ではありません。

それに加えて、防衛施設庁では「アセス法では方法書の受け取り拒否ができるとは書いていない」などとコイズミ並みの詭弁で申し開きに回っています。

(めちゃくちゃです。たとえ当初多少の妥協をイメージした地方行政官がいたとしても、この態度からして到底受け入れることができないことでしょう)


記事にあった環境省の担当官の発言:

行政同士の方法書のやりとりで、配達証明付きなんて聞いたことがない。相当対立が激しくなっているのでは」としたうえで、「環境相は代替施設協議会のメンバーであり、ここで意見を言うことはできる。しかし公有水面の埋め立ての許認可権者は知事。大臣が法的に意見を言える場面ではないのが実情」と”調停”の難しさを説明する。

難しい、という口実、回転寿司が以前大臣をしていた経緯なども環境省にあるのだろうけど、どう聞いてもこの発言は完全に腰が引けているように思えます。

あえて額面通り環境省の仕事を捉えるならば、環境保全のために調停、あるいはよりよい案を提示する使命があるあずです。

つまりはここには官僚に対する政治の支配が波及している、という見方ができるわけでしょうか。


また、以下は非常に重要な指摘であると考えます。

同県変換問題対策課は「那覇防衛施設局の担当者が来て、受け取れないと言っているのに方法書を置いていった。同時に、宅配便でも同じものを送ってきたので、こっちの方はそのまま送り返した。公文書が二重に存在することもおかしい」と不快感を隠さない。

紙幣などいくらでも印刷できる、と言っていた人がいるように記憶しています。

公文書も、「国益」と見なすもののためならばいくらでも印刷できるという杜撰さがあるのか疑います。


防衛相から視野の狭い回転寿司が引き摺り下ろされ、彼女は思いつきと顔色伺いで何をするか分からないおそろしさがありましたが、高村氏疑惑の事務所費3000万円 が出たことも付記)が着任したことで、今度は、目的のためにはどんな手段をも正当化する詭弁と小手先の技をきかせた「頭脳的」な仕掛けに、新たな懸念があります。


辺野古から緊急情報 にもあるように、どんな発想になれば他人の生命と自然を堂々とここまで恥ずかしげもなく蹂躙していられるのか、大げさに平和を語ること以前に、まず、人間としてやっていられないだろうに、という疑問がわきます。

(沖縄で行われていることと比べて受けた排除の大きさや質はとても軽微なものではあると思いますが、教育基本法や国民投票法のデモでの警察官の行動にも感じたことです)


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柏崎刈羽原発でも明らかな自然からの警告があるにもかかわらず、それを無視すると唱える国・業界があります。

asahi.com 柏崎原発の地盤10センチ隆起 活褶曲が動いた可能性
2007年08月30日15時06分

 新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原発付近から柏崎市街地までの地盤が、幅約2キロ、長さ約10キロにわたり10センチ程度隆起していたことが東洋大、名古屋大、広島工業大グループの解析でわかった。活断層に押されて地盤が曲がる活褶曲(しゅうきょく)が動いたとみられるが、東電は「活褶曲はない」という前提で原発を建設、現在も見解を変えていない。研究グループは「東電の調査および国の審査の信頼性が問われる」と話している。

 グループの渡辺満久・東洋大教授らは、地球観測衛星「だいち」による地表の観測データを分析。1月16日と中越沖地震から3日後の7月19日のデータを比較し、隆起を確認した。31日から神戸市で開かれる日本第四紀学会で発表する。

 同原発が地震のたびに隆起する活褶曲の上にあるという指摘は、1号機建設前から地元の研究者から出ていた。隆起が判明した地域の東縁にある活断層「真殿坂断層」や地震を引き起こした活断層などのずれによって、活褶曲が動いて地面が持ち上がったとみられる。

 東電は原発建設時、ボーリング調査などをもとに、敷地が活褶曲上にあることを否定してきた。昨年9月から10月にかけて原発周辺で人工的な振動を加えて地下の様子を探る調査を行った後も「褶曲や断層はあるが、約12万年前から14万年前以降は動いていない。活褶曲や活断層ではないと考えられる」としていた。

 渡辺教授は「以前からの指摘にもかかわらず、東電は、原発周辺で活発な地殻変動があることを否定し続けてきた。それが直下地震を過小評価することにつながったのだろう。活褶曲上に原発をつくるべきではなかった」と話している。

 〈東京電力広報部の話〉 発表内容がわからない段階でコメントはできない。

「内容が分からないからコメントできない」

あまりに典型的な国会答弁もどきです。


今回の発表内容は、従前からの指摘が顕在化したものであり、その真実を理解する前に、これからどのような調査が必要であり、発表が深刻なものであった場合、どのようなプロセスで意思決定をするか、という程度のコメントすらできない人々に、原子力発電の運営を任すことはできません。


なぜかと言えば、こんな心構えが広報として通用するとしている以上、たとえば最悪の事態に際しても、「放射能漏れがあったらしいが、詳細が分からないので(パニックを抑えるために)コメントできない」と言い出すことは火を見るよりも明らかであるからです。


最悪なのは、自ら認識する暗い意図のもとに腰が引けているていたらくな超大企業幹部やキャリア官僚もいるだろうけれど、調整不介入であったり情報公開から逃げ出す官僚がそれを行うとき「よかれ」と思っているであろうということです。

東奥日報 「プルサーマル不可能」県議会で自民から指摘相次ぐ

http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20070830101035.asp


 六ケ所再処理工場の耐震計算ミスなどをめぐり二十九日に開かれた県議会全員協議会などで、自民党会派から、同工場で回収したプルトニウムなどを消費するプルサーマル計画(軽水炉でのプルトニウム利用)の実現は不可能-などの指摘が相次いだ。新潟県中越沖地震でトラブルが多発した東京電力・柏崎刈羽原発は長期停止が避けられないため。同計画の実現性については、反対派から批判されることが多かったが、推進派からも見切りをつけられた格好だ

 全員協議会で滝沢求議員(自民党)は、柏崎刈羽原発のトラブルに触れ「プルサーマル計画の実施は、ますます厳しい状況になってきたのではないか」と質問。東京電力の皷(つづみ)紀男副社長は「地震の影響について詳細点検をしており、信頼回復に努める。現在は具体的に話せる状況ではないが、プルサーマルを含めたサイクル事業を確実に推進することが重要との認識に変わりない」と答えたが、滝沢議員は「信頼回復は口で言うほど簡単ではない」とピシャリ

 一方、全員協議会終了後に開かれた自民党会派の議員総会では中谷純逸議員が「柏崎刈羽原発の問題で、東京電力のプルサーマル計画はほとんど白紙状態になったのではないか」と発言。二〇一〇年度までに全国の原発十六-十八基でプルサーマルを実施するとの電事連の計画についても「現実的には不可能で、計画見直しを求めていく必要がある。現実と乖離(かいり)したままの計画ではまずい」と強調した。

 東京電力の当初計画では、一〇年度までに三-四基でプルサーマルを実施し、原発(計画含む)を持つ十一社の中で、プルトニウム消費の中心的な役割を果たすことになっていた。

自民党側でこういった意見に達しているのに、それらしい動きは首都では全く見えて来ず、聞こえても来ません。


あえて言う間でもないことですが、アベ内閣のリーダーシップは、いったん標的と決めたことを追い詰め強制することにばかり発揮され、真に必要な調整にはまったく無頓着である、と改めて考えるべきだと思い知らされます。


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