とうとうガレージトモにもやってまいりました。
その名も 「トルコン太郎」
それは何ぞや??? という人もいるでしょう。
っていうか、ほとんどの人が思うかしら。
簡単にご説明しますと、オートマチック車のオートマオイル(ATF)を交換する機械です。
こいつは、今まで世に出回っていた機械とは違います。
たまぁ~に耳にしますが、「どこそこで今の車はATFは無交換って言われた。」って、おいおい!(;^_^A
どんな車でもメーカーがきちんと何万km交換と基準を設けています。
<ATFの役割>
エンジンオイル交換は豆にするのに、どうしてATF交換はしないのだろう?
と思いますが、知らないだけですよね。
ATFとはエンジンオイル同様、オートマチックの血液です。
さらに言うと、エンジンの動力を後ろのギヤに伝える物で、動力伝達・変速制御・潤滑・冷却などさまざまな役割があります。
<トラブル例>
ATFの油量が不足したり、汚れたりすると・・・
・発進、加速不良
・変速ショック
・燃費の悪化
など、さまざまなトラブルを引き起こします。
そんなわけで、ATFの交換は必要不可欠なものなのです。
<過走行車のATF交換>
また、過走行車にお乗りの方、ディーラーやカーショップ、はたまた車屋さんでATF交換を依頼しても断わられた覚えのある方もいらっしゃることでしょう。
それは、過走行車のATF交換はオートマが壊れる可能性が高いからです。
なぜ? 新しいオイルを入れたのに壊れるのかといいますと、油種の選定や交換方法の間違いだったりします。
・油種の選定
現在、各メーカーがさまざまなオートマチック車を開発しております。
オイルも同様その車に最適なオイルを開発しており、同メーカーだけでも数種類のATFがあります。
その指定オイルにはさまざまな特性があり、合わないオイルを使うとATトラブルの要因にもなります。
しかし、どこの自動車屋さんも全メーカーの全オイルを用意するわけにもいきません。
車屋さんにより色々なオイルメーカーのものを使用しますが、そこで油種を間違えたり、適当な判断で
交換してしまうとATが悲鳴をあげてしまいます。
・交換方法
交換方法もその車に合った方法をとらなくてはなりません。
・循環方式 ・・・ レベルゲージ口の利用による、オイルパン部分の交換。
作業性は良いが、交換比率及び、スラッヂ(鉄粉、汚れ等)の除去率は悪い。
※走行距離によってはトラブル可能性大
・圧送方式 ・・・ オイルクーラー接続部利用による、完全一方通行方式。
交換比率及びスラッヂ除去率は、クリーナー装置併用により、理想的交換方法。
・CVT方式 ・・・ CVT車の構造により、エンジン始動による全自動は不可。
手動作業により、レベルゲージ口からの、オイルパン部分の交換を数回繰り返し。
・過走行車ATF交換後のトラブルとスラッヂ除去の必要性
上記にあります油種や交換方法の選択も重要ですが、過走行車の場合はそれらを正しく行っても
トラブルを引き起こすことがあります。
その主な原因としてスラッヂの巻き上げによる、各部のつまりやクラッチのすべりなどです。
また、新油のATFには洗浄効果もあるので、AT内に蓄積していた金属磨耗粒子を活性化し
再循環させてしまいます。
そこで、ATF交換後は特殊エレメントによるクリーナー装置で、スラッヂを除去する必要があります。
・ATFクーラー洗浄
ATFクーラーは高温となったATFをラジエターに循環をし、冷却保護をしており冷却効果を高める
ための金属メッシュが内臓されております。
ATF内スラッヂによる、金属メッシュの目詰まりは、ATFの冷却効果を妨げ、ATFの劣化を促進
しトラブルの原因になりますので定期的な洗浄が必要です。
<圧送方式による作業工程>
車 両 : 日産 パルサー (ガレージトモ、スペシャルデモカーっていうか、tomoの自家用です)
走 行 距 離 : 101,731km
ATF交換履歴 : 過去に1回
1) 交換前ATF点検
作業に入る前に必ず交換前のATFをチェックします。
適切な交換作業をするためにも、必要になります。
日産パルサーの場合、十分に暖気し10分程度走行後、ATシフトをP~1レンジにチェンジしてから
油量をチェックします。
次にATFチェッカーでATFの汚れ具合を点検します。
上の写真は左側の透き通っている赤いオイルが新油、右側の黒いオイルが現車から抜いたオイル
です。10km走行だとここまで汚れてしまうんです。これでは、ATの性能も低下してしまいます。
2) 油種及び交換方法の選定
ここが重要です。交換車両の指定オイルや油量を確認し、適切な油種及び交換方法を選びます。
今回は純正オイルがニッサン、マチックフルードDというオイルなのでWAKO’SのATF S-S
(セーフティスペック)を10L使用します。
販売価格1,890円/L ⇒ 1,575円/L
3) トルコン太郎とホースの接続
車両をリフトアップし、アンダーカバーを外します。
ATからラジエター下部(ATFクーラー)に2本のホースがありますので、どちらか1本を外しホース
を接続します。
これでATF交換の準備が整いました。
4) 全自動ATフラッシングモード
通常走行の車両であれば、ここは省いて速交換でもいいのですが、過走行車対策としてATFクーラー
ラインにクリーナー装置をセットし、ATFの洗浄効果(4L交換)による共洗い洗浄を行い、ATF交換前
にスラッヂを回収し、その後全自動スラッヂ回収圧送交換を行います。
この機械には上のオイルモニター(特殊フィルター内臓)が付いているので、オイルの汚れが一目で
分かり、作業中に確認することが出来ます。
廃油モニターでは段々とキレイなオイルになっていくのを見ていると、ちょっとした感動があります。
5) 全自動スラッヂ回収圧送交換
フラッシングが終わり、いよいよATF全量の交換です。
車両によりATFの油量は違いますし、オイルの汚れによっても交換する量は変わってきます。
今回の車両ではATF量が7.0Lなので、通常であれば8Lは交換したいところなのですが、過去に
1度交換してますし、当社のデモカーなのでちょっとケチって6.0LのATFを交換します。
6) 交換後のクリーニング
設定したATF量の全量交換が終了すると、自動で内部のバルブが切り替わり、クリーニング作業に
はいります。
アイドリング状態で、トルコン太郎の中央にあるクリーナーモニターにATFを循環させ、さらにスラッヂ
を回収します。(10分程度)
7) ATFクーラー洗浄 ※注
過走行車にはぜひとも行っていただきたい、オイルクーラーの洗浄作業です。
トルコン太郎のホースを分離し、ATFクーラーにつながっていたホースを2本とも外します。
そこに 「トランスフラッシュ」 というオイルクーラー専用特殊洗浄器を接続し、
ATFクーラー内部を洗浄します。
反対側のホースからは「きったなぁ~い」汚れが出てきます。
これをキレイな白い泡状になるまで洗浄します。
※注 只今、トランスフラッシュは欠品中につき、パーツクリーナにて洗浄を行っています。
汚れは十分に取れますので、ご安心ください。
8) 交換作業終了&添加剤の注入
交換のために外した部品等を元通り組み直します。
今回はATF添加剤を注入いたします。
販売価格 2,940円
最後に忘れてはならないのが、油量のチェックです。
交換前に点検したやり方で、ATFの油量をチェックします。
油量を規定どうりあわせたら、全工程終了です。
お疲れ様でした。。。
<ATF交換料金>
今回のケースだと・・・
・ATF交換作業工賃 ¥ 5,250-
・ATF S-S 10L使用 1,575×10= ¥15,750-
・ATFクーラー洗浄 ¥ 5,250-
・ATF添加剤 PATS ¥ 2,940-
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合 計 (税込み) ¥29,190-
※基本工賃及びクーラー洗浄料金は変わりませんが、車両によりATFの油種及び油量が異なります。