第10話 『マサキ(後編)』
『...おおお』
‘烈火’の各部に取り付けられた水晶体が激しく反応し
全身から炎が噴き出す。
自分自身を燃やし尽くすほど業火を上げる
ブラッド・フレーム‘烈火’
血がたぎり、身体が燃えるようだ。
僕は全身に炎をまとった状態の‘烈火’を
背中のブースターで加速し、‘紅蓮’に体当たりさせた!
限界以上の炎をまとった‘烈火’の
全身全霊を込めた一撃。
しかし、‘紅蓮’は、それを片手で受け止めた。
―――ここまでか!?
誰もが、そう思った時、僕は更に炎を噴き出させ
そのまま‘紅蓮’を後方のビルに叩きつけた!!
ドォォオン!!
轟音が鳴り響いた。しばらく沈黙の時間が流れたが
『...ほぅ。面白い小僧だ。』と言う声が聞こえた。
『良かろう。生かしておいてやる。
今より強くなって、我が‘紅蓮’の前に
立ち塞がるがいい。』
そう言い残し、漆黒のブラッドフレーム‘紅蓮’は
去っていった。
‘烈火’を覆っていた炎が少しずつ消えてゆく。
『これで良かったんだ...』
僕はそう呟いた。
全身の力が抜けていく。
もう何も聞こえない...
目の前には、ただ‘闇’だけが広がっていった。
(第11話 『新たな力』 に続く)
小説の設定資料 ←リンクあり