第9話 『紅蓮の炎(後編)』
『お前だけでも逃げろ!!』
リュウの言葉を理解できなかった僕は
しばらく呆然としていた。
『マサキ!聞こえているのか?』
『あぁ、聞こえてる。
けど、そんな事できるわけないだろ!』
と僕は声を荒げ、強く否定した。
『何だと!?このバカ...』
『マサキ、逃げて!!』とメグミが通信に割り込む。
『貴方がいても、意味は無いわ。
ここはリュウの言う通り、撤退すべきよ。
それに...マサキには死んで欲しくないの。』
『メグミ...』
動けないリュウとメグミを置いて逃げるのが
この状況では一番賢い生き方かもしれない。
それに、僕が‘紅蓮’と戦っても勝ち目はない。
でも...
―――二人を置いて逃げるなんて、僕には出来ない!!
僕は、ずっと‘戦い’を拒んでいた。
人を殺して生き延びるくらいなら死んだ方がいい...
そんな考え方だった。
でも、そんな考え方じゃ、何も...
―――何も守れないじゃないか!!
僕は’戦う覚悟’を決めると、左右の操縦桿を力強く引き
ブラッド・フレーム‘烈火’を立ち上がらせた。
(第10話 『マサキ』 に続く)
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