
度々このブログにも登場するJR209系電車。京浜東北線から八高線、総武中央線各駅停車、常磐線各駅停車などに様々なバリエーションで投入されて活躍してきましたが、これまで「通勤型」の電車として活躍してきました。では、どういう車両を「通勤型」と呼ぶのか、定義を資料で調べてみましょう。
資料によれば「通勤型とは、客室に出入口を有し、縦型腰掛(座るのは横向きの、いわゆるロングシート)を備え、通勤輸送に適した性能を有する車輌形式のもの」とありました。209系は片側4または6扉の車両がありますが、扉の数は関係ないようです。また、御手洗いの有無についても触れられていません。
これまで209系は、一貫して「通勤型」を名乗って活躍してきました。この定義からも外れてはいません。しかしながら、今月から千葉地区で運転を開始した編成については、向かい合わせの座席が存在し、理屈の上ではここから外れてしまいます。

首都圏の電車でバリバリの主役を担っているのが、このE231系。こちらは「一般型」を名乗っています。では「一般型」とは、どんな車両を指すのでしょう。これも調べてみました。
「一般型とは、客室に出入口を有し、横型及び縦型腰掛を備え、通勤輸送に適した性能を有する車輌形式のもの」となっています。やはり扉の数や、御手洗いの有無などには触れられていません。通勤輸送に適した性能というのは、加速や減速が早く、乗り降りもスムーズにできるのが条件です。
首都圏から宮城県の仙石線に引っ越しをした205系には、通勤型ながら座席の向きが時間によって変わる編成や、既に廃車になった青梅線の201系「四季彩」もクロスシートを備えていましたが、これらは数も少なく例外扱いができるでしょう。
これから千葉地区の中距離用電車の主役に就こうという209系は、324両がここに配置され、うち136両が向かい合わせの座席も持つセミクロスシート車になる予定です。
本格的にセミクロスシート車が現れるということは、もう「通勤型」から「一般型」に変化したと捉えることができます。型という枠を越えての大規模な転用改造は、JRになってから登場した車両では初めてです。しかも廃車するつもりだった車両の改造で、これもまた違う意味でのリサイクルといえるでしょう。