「省エネ車」の第一条件ともなっている回生ブレーキ。実は、回生ブレーキは、ブレーキをかければ必ず働くとは限りません。
そもそも回生ブレーキとは何でしょうか。これは、ブレーキをかける際にモーターを発電機の原理にかなう回路につなぎ、回転が遅くなる時に発生する電流を架線に帰して他の電車がこの電流を利用するブレーキ方式をいいます。国鉄では、中央快速線の201系が初めて採用しました。今では当たり前のブレーキ方式になっています。
この回生ブレーキで最も鍵となるのが「他の電車がこの電流を利用する」という点です。実は、回生ブレーキは、発生した電流を利用してくれる電車が自分の電流の届く範囲にいないと効かないのです。その時は、車輪を挟み込んで停まる空気ブレーキに自動的に切り替わるのですが、一番大変なのが、回生ブレーキをかけている途中で効かなく場合です。これを回生失効と呼びます。それまでかけていた回生ブレーキに代わる同じ強さの空気ブレーキが即座に作動してくれるのですが、特に雨の日などは空気ブレーキは滑って停止距離が延びるので、オーバーランの原因ともなります。
閑散線区や本数の少ない時間帯を走る場合、回生ブレーキが立ち上がらなかったり回生失効する場合が多いです。運転士さんは、こういう場合も考慮して運転されています。電車の運転は、ゲームほど簡単なものではないのです…。