泡になって

こんばんは、猫使い探偵です。

この仕事をしていると、時々調査が終わった後にも気になる依頼人がいます。

夕方、私の携帯電話に半泣きの声で、電話が来ました。

「聞いてください！旦那から離婚を切り出されました。どうしたらいいのか、わからないです。」

詳しく話を聞くと、浮気をした旦那を日々疑いってしまう彼女と、今だに浮気をしているだろう旦那。

お互いに、炭火の残り火の様な感情はあるけれども、夫婦が前向きに修復するまでの愛情は無さそうです。

また、彼女は離婚後の自分が想像出来ていないのが、一番の不安みたいです。

「なんで浮気をしている旦那から、私は離婚を切り出されるの…。納得出来ない…。」

「そうでしょうね。でも、頑張ってみても、将来は結局別れる事になるんじゃない？」

「それは、わかっているんです。あー、泡になって消えてしまいたい。」

「泡って？水の泡？」

「そう、水の泡になって、消えてしまいたい…。」

私は、彼女の言葉使いに妙に納得し、次の言葉をかけられなかった。

人生において、全て成功なんてないし、逆に不正解なんてもないだろう。

その時その時に、前向きに考える事だけが、生き抜く秘訣かと考えるけど。

「じゃ、浮気してみれば？」

「え、私が？」

「そう、婚活の準備としてもいいんじゃない？」

「そうですね〜 …。でも、それがいいんですか？そんな事を考えた事もあります。」

俺も適当なアドバイスになってしまっている。ある意味、彼女に対しては的を得ているとも思うが、解決から遠ざけているとも思う。

泡になって消えてしまう事だけは、避けれるだろう。

さて、彼女はどの様に進むのであろうか？