俺はこういうことを考えているんだ。君はどう思う? #《新コーナー》SCANスポットライト有坂汀様 | 北海道学生研究会SCAN

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僕がここ近年特に影響を受けている方の一人に哲学者・國分功一郎先生という方がおりまして、先日アップさせていただいた記事

『公立大生のためのリーディングガイド 番外編』

にて、『哲学の先生と人生の話をしよう』(朝日新聞出版)を取り上げたので、國分先生についてどうしても書かないわけには行かないであろうと思っており、この文章を書いております。

國分先生の名前を一躍世に広めたのが『暇倫』の愛称で有名な『暇と退屈の倫理学 増補新版』(太田出版)でありまして、


暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)/太田出版

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僕も読んで大いに影響されたわけであり、その内容はと言いますと、

『我々は暇や退屈とどう向き合っていくべきか?』

ということについて、哲学的な考察を重ねたものであります。実を言うと本書を手に取った際、そのあまりの分厚さに

「果たしてこれが通読できるだろうか…。」

と一抹の不安が頭をよぎりましたが、それはまったくの杞憂であり、読み終えてみるとまさに一気呵成のスピードでありました。

「暇倫」のうち、朝日新聞出版で出版されている「旧版」の中で手付かずになってるテーマ。

「なぜ人は退屈するのか?」

がありまして、リニューアルして刊行された「増補新版」では、國分先生の現時点での「回答」である13,000字の論考。『傷と運命』が追加収録されております。

すべての内容について詳しいことは本編を読んでいただくこととして、この『暇倫』は読もうと思えば一気に読むことは可能ですが、人によっては物凄く「思考」することを強いる。しかし、そのことを含めて楽しむことが出来るか否かによって、本書に対して一歩踏み込んでいくことが出来うるのではあるまいか? 今回再読して僕はそう思いました。

で、僕が『暇倫』を使って何が言いたいのか? それは本文中に幾度も記されている

「俺はこういうことを考えているんだ。君はどう思う?」

と言うことでありまして、もちろん、私が本ゲスト記事の読者である「釧路公立大学の大学生(主に下山ゼミ及びSCANの学生)」に対しての「問い」の全てがこの一言に集約されているような気がしてならなかったのです。

この文章を書いている段階でどんな「回答」がいただけるかは楽しみであり、また少し不安でもありますが、最初に書いたとおりこの連載を続けていくことは僕にとっての「挑戦」であります。

元々、「学校」を意味するのは「暇」という意味の単語から派生していると聞いたことがあります。大学時代という4年間(人によっては8年)という長いようで短い「暇」の中に、僕の書いていることが少しでも残ってくれたら幸甚です。



※以下追記

この文章を書き上げた後、下山先生から

「SCANの学生と会食しませんか?」

と申し出があり、僕は下山先生と学生団体SCAN三浦明寛代表と、今回初めて会った運営委員の一人であるT氏(後日本人の希望により名前は伏せます)と4人で会食の席を設けていただき、下山先生のセレクションで著名な天ぷら屋(私は初めて)の『はまだ』にて、名物メニューの「かきあげ天丼」を食しました(下山先生、ご馳走様でした改めてこの場を借りてお礼申し上げます)。

その際に私が三浦、Tの両氏に

「あなた方は他の大学生と違って社会人と接する機会が多いと思うのですが、学校の教員以外の彼、彼女たちと接していてどう思われます?」

という質問をしたときに、三浦代表の答えである

「僕は、社会って、はたらくって言うのはもっとシンプルなことだと思っていました。でも、複雑で割り切れない部分って多いんですね…。」

という趣旨のことを語っていたのがとても印象的で、そのときに僕が頭の中に思い描いていたのは尊敬する作家の一人である黒岩重吾先生(1924年2月25日 - 2003年3月7日)が生前最後に『週刊ヤングジャンプ』に連載していた人生相談をまとめた『黒岩重吾のどかんたれ人生塾(集英社文庫)』(集英社)であり、


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該当箇所の「どかんたれ52」にて

今の時代、大学まで無理して行って何のメリットがあるんだろうか。むしろ早く社会に出て、手に職をつけたほうが賢い気がするんですが」
という読者の相談に

『実社会は複雑怪奇な世界やで』

という見出しで答えていた回答のある一文で、それは何かと申しますと、

「実社会は純粋な実力だけでは通用しない面もある。時と場合によっては命を懸けた駆け引きも必要だし、泣かされることや辛いことがこれでもかと襲ってくる。「権謀術数」という言葉があるが、君を引き上げてやろうという人間がいる反面、君を引きずり降ろそうという人間もごまんといる。それを理解してから社会に飛び込んで欲しい。」

です。

黒岩先生は壮絶な人生を歩まれており、僕などは足元に及ばない存在ですが、黒岩先生の言葉を紹介することによって「回答」として、今回は〆させて下さい。









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