今日の当塾のテーマは『うまく描かない。』でした。
※“うまく描かない”というのは“ヘタウマ”のことではありません。うまく省略したり、簡略化することでより伝えたいことを際立たせることを言っています。念のため。
絵を描きに来ている人に“描かない”ことを教えるというのですから、おかしな絵画教室ですよね。
でも、これは特に水彩画においてはとても大切なことで、とても難しいことだと思っています。
英語では"Abandon"というようですね。
私の敬愛するJoseph Zbukvic氏がよく使う言葉です。“放棄する”とか“見捨てる”といった意味です。
あるものをそのまま描くのは、まぁ、ある通りに“よく見て”描けば、だいたい描けるものです。しかし、そこにあるもの、ハッキリ見えているものを“敢えて”描かないというのはとても難しいことです。
それはとても能動的なことで、強いイメージと一貫した意思が必要です。
経験の浅い人は、『それは描けるようになってから。まずは全部しっかり描けるようにならなければ…』と思うのではないでしょうか?
でも、しっかり描く練習を続けていると“しっかり描く人”になり、“うまく描かない”ことはどんどんできなくなると思います。
“うまく描かない”ためには“うまく描かない”ことを目指す必要があると思います。
何を描いて、何を“うまく”描かないのか。
用意してあるモチーフは“そっくりに描いてもらうため”に置いてあるのではなく、“いい絵を描くための参考”として置いてあるのです。
そういう目で、ご自分の好きな作家の絵を観てみてください。きっと、“うまく描いていない”はずです。
今日の一枚。
朝6時過ぎの朱家角の路地裏。お店はまだしまっていて朝の日差しが閉じの奥まで差し込んでくる。どこからか朝食の匂いだろうか、おいしそうだなぁ。
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