暴力団とIT | IT徒然草 (gaia)

暴力団とIT

最近暴力団抗争がニュースとなっていた。東京進出に関して山口組と住吉会が対立、2/8に和解が成立したとのことだが、先日TVに出ていた元住吉会組長の話では「和解は一般社会向けのパフォーマンス。組織が2つある以上、抗争はずっと続く」といった感じらしい。いずれにせよカタギである一般市民を巻き込むことだけは避けてもらわねば。

国(厳密には都道府県の公安委員会)が指定する暴力団は「指定暴力団」と定義されている。警察庁が発表した最新の資料によれば、指定暴力団は全国で21組織でその構成員は約4万人余りだが、準構成員もそれを若干超える人数で計約8万5千人いるらしい。

平成18年の暴力団情勢(警察庁、PDF形式)
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/bouryokudan/boutai11/20070208.pdf

企業でも派遣社員のような非正規雇用が増加してるのに似て、暴力団の世界でも初めて準構成員が構成員を越したそうだ。どの世界でも同じなのかな、と感じる。

そして全体における構成比率(シェア)を見ると、山口組46.9%、住吉会14.6%、稲川会11.2%と上位3組織で約3/4を占めており、かなり寡占化が進んでいるようだ。今回の抗争も中堅組織の国粋会が山口組に吸収されたことが背景にあるらしいが、山口組は稲川会とも血縁関係を強化しており、山口組への一極集中が進むという見方らしい。

これも、一般企業が買収防衛を進めるために業界再編を行っているのと同様な動きで、パイが広がらないときの流れはどの世界も一緒なのだろうが、山口組の六代目組長が一昨年拘置所に収監されて今も獄中にいるのにも関わらず、こう吸引力が増しているところを見ると、いかに物凄い組織と結束なのかを物語っている。

警察庁の資料を見ると、最近の暴力団動向を概ね把握できる。実は談合が暴力団の資金源になっているということや、株取引の世界でも暗躍しているとのこと。覚せい剤、傷害、窃盗など、昔ながらの犯罪以外にも、やはり時代を飾るキーワードにも関連しているようだ。

で肝心のITに関してだが、このネット社会にある中でも資料上それほど大きくは目立っていない。

・山口組傘下組織組長(32)らが、携帯電話のポータビリティ制度導入により、携帯電話番号のゾロ目等いわゆる良番が破格値で取り引きされていることに着目し、利用権譲渡契約書を偽造するなどして、携帯電話番号の利用権を騙し取った事例
・山口組傘下組織関係者(40)らが、インターネットカフェにおいて、インターネットでダウンロードした「バカラ」や「ポーカー」のゲームソフトを使い、賭客を相手に賭博をした
・山口組傘下組織幹部(43)が、インターネット掲示板「2チャンネル」を利用して覚せい剤を密売した事例

といった記述があるぐらいで、全体としてはあまり多くないようだ。今のところITはあまり金にならないということか。

但し、ホリエモンの話題で持ちきりだった頃、IT企業と暴力団とのつながりに関する噂がよく出ていたし、以前もITベンチャーの上場企業社長が逮捕される事件でも黒い疑惑が付いて回った。

私の推測では、IT企業の中には暴力団のフロント企業となっているようなところもあるのかもしれないし、今後そういったところが増えてくるのかもしれない。

また今後格差社会が拡大すると、低所得者層と暴力団との結びつきが強くなってくる可能性もあり、虐げられているSEの人たちが一時の金に釣られて誤ってそういう世界に脚を踏み入れてしまう、なんてことも考えられる。

ITは社会の鏡のような面があり、今後治安が悪化するであろう日本ではそのようなツールとして活用される恐れもあるだろうが、そんなことが拡大しないよう祈りたいと思う。