本当の「通信と放送の融合」 | IT徒然草 (gaia)

本当の「通信と放送の融合」

ライブドアvsフジテレビの時によく話題になった「通信と放送の融合」。

いまだに具体的なイメージが沸かないが、少しずつ進展していると思う今日この頃。



■初のサービスから3年経過したものの・・・


最初にビジネス化を始めたのは「BB TV」だと思う。2002年12月だ。

Yahoo! BB会員向け「BBケーブルTV」が商用サービス開始(Impress Internet Watch)


これは「ADSL・光を通してTVを見せる」というものである。

見る装置はTV。CATVみたいなものだ。


それと、同じくソフトバンクの「無線TVパック」。

ソフトバンクBB、1Gbpsの光ファイバサービス「Yahoo! BB 光」

これは、「テレビアンテナに無線TVBOXなる専用装置を接続し、テレビでもパソコンでも地上波を見せる」というもの。

パソコン型エアボード(SONY)と思えば良い。


その後3年が経過・・・。


TVの世界では地上波デジタルが普及し始め、パソコンの世界では「Yahoo!動画」や「GyaO」などのVODサービスが充実。

(音楽好きの私は、GyaOでTOTOのライブを無料視聴できて嬉しい限り)


かなり双方が近づきつつある(クロスオーバーする)感じがする。


しかし、現状はあくまで「TVが放送局と通信する機能を持った」「通信回線がTV伝送路となった」といった範囲に過ぎない


これが本当の「通信と放送の融合」なのだろうか?



■私が思う「本当の通信と放送の融合」


私が「通信と放送の融合ってこういうことだなぁ」と思うのは、2ちゃんねるの実況掲示板(番組ch)だ。

2ちゃんねる 番組ch(フジ)


知らない人のために解説すると、言わずと知れた2ちゃんねるの「TVを見る人用の掲示板」である。

TVを見ながら「あーでもない、こーでもない」と住人が掲示板に書き込むのである。


「ふーん、ただの掲示板じゃん」と言う人も多いとは思うが、なぜ私が「本当の通信と放送の融合」と思うか。


それは、日本中が同じTV放送を見ながら盛り上がり、感想を持ち、情報交換をし、意見を戦わせる、という場であるからだ。

(実際、面白い番組・突っ込み甲斐のある番組にはもの凄い勢いで書き込みがある)


元来、通信とは1対1のものだったが、現代の通信はn対nのマトリックス的なもの。まさに意見が日本中を駆け巡る。


今議論されている「通信と放送の融合」は、あくまで「映像配信をするTV局」「通信事業者」「一人の視聴者」「その他の事業者(楽天など)」がつながるといった極めて集中封建的なものであり、「視聴者間をつなげる」という感覚が抜け落ちていると思うのだ。


■「本当の通信と放送の融合」に必要なエッセンス


誤解無きよう言うと、別に「2ちゃんねるのコピーをたくさん作れ」という主張ではない。


私が言いたいことは、とどのつまり


 1.TVとパソコンは別のもので一つにはならない

   (TVは映像配信を受けるもの、パソコンは意見・情報交換するもの)

 2.しかし、TVとパソコンとで情報共有する意義はある

   (TVで見れる情報をパソコンに取り入れたいし、パソコンの情報をTVに反映したい)

 3.視聴者間をつなげる・一体化させることは爆発的なパワーを持つ


これが真の「通信と放送の融合」と思うのだ。


技術的には2.を制したものが、そしてビジネス的な観点で言えば3.を実現したものが、この世界を制するのではないか、と思う。


更に言えば、「映像を作る人」というプレーヤーもいて、通信によって独自配信できる技術も存在するわけであるから、通信を介した自由なコンテンツマーケットプレイスから発掘したものを放送で流す、という解もあり得る。



■例えばオリンピックで・・・


もうすぐトリノオリンピック。日本中がTVに釘付けになる日がもうすぐ来る。


例えば、女子フィギュア。日本人選手の演技にみな熱狂するのではないかと思う。


TVではその様子を生中継で見入るだろう。本当だったら、今演技している人のプロフィールやブログなどが自動的にパソコンで見れるようになっていても良い。


そしてTVを見ている人は、自分と同じように日本中が熱狂する様を見てみたいし、体感したい。パソコン用カメラを持ってる人を募って情報をアップしてもらい、その数千人の姿をTVで生放送することだってできるはずだ。


また、別の視聴者から「決勝は何日の何時からだよ」といった書き込みがあれば、ワンクリックで録画予約できても良い。


こうやって、TVとパソコンの間で情報がクロスオーバーし、一体感を持って日本中がつながることができれば、新しいTV文化が花開くに違いないと思うのだ。