【MA】映画「ひぐらしのなく頃に 誓」感想 | 魔法結社ふゆMA!

魔法結社ふゆMA!

お前とはまた出会えるような気がしてた…ようこそ。



■二度目なら、またもかと私は呆れる。避けられなかった惨劇に。
どうも、MAMORUです。

映画「ひぐらしのく頃に誓」の感想を書きたいと思います。
誰にお願いされたわけでもなく、また誰かに約束したわけでもありません。
ただ僕自身が、書きたいから書きます。それは間違いない。

前作の感想同様、稚拙な文章で恐縮ではありますが、
美味しいおはぎでも食べつつ気楽に読んでいただけたら幸いです。





この感想には、原作「ひぐらしのなく頃に」のネタバレが含まれています。
未プレイの方や現在プレイ中の方はご注意ください。






【~はじめに~】

■平成21年4月19日の22時過ぎ、札幌ファクトリーでのこと。
エンドロールが終わり、場内が少しずつ明るくなっていきます。
「壮大な謎が解明される!」と銘打たれた108分間が、そこには在りました。

…ふと。
隣に座っているふゆのんの顔を見てみると。
それはもうハッキリと「ま・ん・ぞ・く・♪」と書かれていました。油性マジックで。
あの時の驚きを思い出すだけで、首筋が痒くなります。



「こいつはもう、罰ゲームの向こう側に行けたんだな…」



それはまさしく黄金郷。みんなが幸せ。監督も竜ちゃんも幸せです。
ふゆのんの望みはなんでしょうか。続編でしょうか。
劇場内に居た10数人の中で、間違いなく彼が1番、この映画を堪能しました。
幸福が1,200円!幸福が1,200円!!



■さて、彼は感想で「サッカー日本代表が自陣でボールを回して満足している感じ」と表現していましたが、
僕はこの続編に、どうやらc・ロナウド並みの突破力・決定力・視野の広さを期待していたようです。

この件に関して僕が悪いのは確定的に明らか。前作での反省をまるで生かせませんでした。
ひょっとしたら、記憶の継承に失敗したのかもしれませんね。



えー、とにかく。



彼は良い意味で期待を裏切られ、僕は悪い意味で予想通りでした。
そのため、1つのブログで2通りの評価が読めるわけです。これはすごい。
間違って片方を読んでしまったら、ぜひもう片方も読んでしまって下さい。


映画「ひぐらしのなく頃に誓」ふゆのんの感想



・初見かつ1週間前の記憶で書くので、細かいところは曖昧です。間違ってたら笑って下さい。

・僕は主成分が原作厨なので、どうしても原作フィルターを通してしまう事があります。

・これを書いてる時点で、ふゆのん以外の感想をまだ読んでいません。





それでは、どうぞ。
正解率1%なんて「なかった」。






【~お品書き~】

一、まだ映画を観ていない方への説明

二、映画のみの人が理解できないかもしれない点

三、解明された壮大な謎とは?

四、残された謎と疑問点

五、登場人物に一言、二言。

六、映画作品としての課題

七、続編への期待

八、天使の脚本







一、まだ映画を観ていない方への説明


■まずはじめに、映画「ひぐらしのなく頃に誓」の展開をサラっと書きます。
まだ観ていないけど感想を先に読みたいというスピード狂な方や、
ぶっちゃけ観る気ないけど評判だけは興味のある多数派の方は、ここからどうぞ。


■ベースは原作「ひぐらしのなく頃に解」の罪滅し編。
竜宮レナがメインの話で、名言も多数。全8編+αの中でもかなり人気のある話(だと思う)。
また、前作映画のベースだった鬼隠し編の謎の一部もここで明かされるため、
この罪滅し編を続編として持ってきたのは、妥当ではあります。



映画のあらすじ。

レナは、父親がリナ(てっぺー☆の愛人)に貢ぎまくってるのを知り、
サクッと殺したのを圭一たちに知られ、一度は信用してみたものの
三四のスクラップ帳に影響されたのと魅音のKYな動きを不審に思い、
「寄生虫を規制しる」と教室に人質をとって籠城したけど失敗しちゃった、という流れ。



■大筋では何も問題は無い…ように見えますが、
色々な事情で、大胆なカットが行われています。


・夜、梨花と圭一がゴミ捨て場のレナに会いに行かない。
・レナが圭一の罪(児童襲撃)を知らないと思われる。
・園崎家が本当にシロなのかどうかハッキリしていない。
・レナの偽時計トラップが無い。
・梨花が注射を持っている設定が無く、レナを刺したかどうかも不明。


…などなど、名シーンも止む無く消え去っております。
一見「え、これ無くて大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、
尺の都合ですから、最低限のカットは仕方ないと諦めましょう。



■しかし、心配ご無用。
尺の都合でカットされたシーンの替わりに、新しいシーンが多数盛り込まれています。


・健康診断で幼女のパンツが拝める。
・気化したガソリンが充満する教室に豪快に突入する機動隊。
・鉄平がトマトを食べる。
・圭一が教室内の見取り図を書く。
・カレーを持つ知恵先生をレナが襲う。
・ラスト、正気に戻ったレナが屋根の上で撃たれる。生死不明。
・その後、雛見沢大災害。生存者は少年1名のみ。→エンドロール



…などなど。
1パートをカットされたら、2パートを増やし返せばいいんですよ。




これで、映画の内容はバッチリですね?
サクサク行きます、キリキリ行きます。





二、映画のみの人が理解できないかもしれない点

~難易度は極上。監督はあなたをいきなり屈服させるつもりです~


■本作品は、ゲームや漫画などで「ひぐらし」についてある程度知っている方を対象に作られています。
それなりに原作をプレイしている人でも、後々ゆっくり考えないと腑に落ちないシーンもあるでしょう。
(後で書きますが、PG-12制限をつけるより、原作未プレイの人をお断りしてもいい程の難易度です)

ここでは、シーンのカットや説明不足により、
一見さんには理解できないかもしれない…と感じた点を挙げてみます。



★竜宮礼奈が、自分のことを「レナ」と呼んでもらいたい理由

→過去の“いや”なことを捨てる、という理由から「い」を取ってるわけですが、
母の浮気と離婚、施設での出来事、父親からの呼びかけ多数など、
その説明をするにはピッタリの話なのに、全く触れませんでした。



★結局レナの言ってた「寄生虫説」って本当なの?嘘なの?

→映画内では正解提示が無いため、不明。
むしろ演出的には「既に三四が村中に寄生虫放ってました。計画通り」と思えなくもない。
(小此木がスクラップ帳を燃やして証拠隠滅してましたしw)

原作では、レナから寄生虫説(園崎家がオヤシロさま信仰復活のため、細菌テロを進めている)を聞かされた圭一が、
魅音を呼び出して真偽を問い、結果「園崎家のブラフ」についてまで知ることができます。
もちろん、魅音が嘘をついている可能性もありますが、そこに至るまでの過程、
つまり鬼隠し編から目明し編までをプレイしたことで、魅音というキャラの設定と信頼を知り、
この情報をある程度信用できる内容だと受け止められるのです。


■しかし映画では、魅音を呼び出したのは圭一ではなく、なんと大石でした。
ひぐらしにおける大石は、味方でもあり敵でもある警察側の人間として重要なキャラですが、
こと園崎家に関していえば、お互いに決して仲の良い関係ではありません。実際喫茶店で怒ってたし?

 
そんな大石に対して、この魅音がいくら「園崎家は寄生虫なんて知りません」と言ったところで、
信じられるはずがないです。少なくとも、スクリーンのこちら側にいる人間は。


恐らくこの変更は、原作においての
①レナが電話で圭一に寄生虫説を話す
②圭一がそれを魅音に問う
③大石が園崎家に乗り込む
④魅音が鷹野のスクラップ帳を出し、シロなのを伝える


といったシーンを1つにまとめるためだと思いますが、なかなかどうして大胆です。
「魅音が大石に話す言葉はすべて赤字です」というテロップが流れても不思議じゃない。

 
この変更によって結果的に、
⑤梨花がゴミ捨て場のレナに会いに行く
⑥圭一がレナに本当のことを伝えようとゴミ捨て場に行く
⑦レナは児童襲撃の犯人だった圭一なんか信用できないと突き放す


といったシーンもカットできちゃいました。やったね圭ちゃん!
 


⑦は原作「鬼隠し編」の冒頭での圭一のセリフをリフレインし、
さらに「…罪は、滅ぼせない。」とタイトルの意味にまで触れる重要なシーン、
というかひぐらしという作品のテーマの2割くらいはここに含まれていると思うのですが…。




★どうしてレナは教室に人質をとって籠城したの?

→原作プレイヤーから見ればまさかの疑問ですが、映画ではそう思っても不思議ではないです。
というのも、上にも書きましたが、レナが籠城に至るまでのプロセスがだいぶ簡略化されている、
つまり『首から寄生虫?→スクラップ帳→鷹野(富竹)の死→籠城』という流れで進んでいるため、
レナが籠城作戦を決意するための材料があまりにも少ないのです。


一部屋とはいえ、たった一人で複数の人質をとって籠城するのは、大変な事です。
そのへんの計算はしっかり出来るレナですから、余程のことがない限り、そんなリスクは負わないでしょう。
にも関わらず、レナは雛見沢を救う「逆転の一手」として、籠城を選ぶわけです。



原作では、大まかに次のような理由から、教室での籠城に至ります。

①体内に寄生虫がいて、自分に残された時間が少ないこと。
②園崎家が主導となり陰謀を画策し、警察を含め村中が自分を探していること。
③白いワゴン車(「奴ら」のもの)が学校にいるため、教師たちも信用できないこと。
④自分をコピーした人間がいること。そして自分のほうを消しに来ること。
⑤ニセ梨花が富竹の死因と人間のコピー(実際は別の世界)について触れたこと。
⑥魅音の裏切りや圭一の児童襲撃事件など、結局仲間たちは(最後には)信頼できないこと。
⑦警察(大石)との本気の直接交渉が必要であること。そのためには複数の扱いやすい人質が必要であること。


これだけの条件が揃った…いや、揃ってしまったからこそ、
レナは後手後手の状況を打破するため、籠城に踏み切らざるを得なかったわけです。



■ですが、映画ではまず「園崎家」の印象が限りなく薄いので、
レナがそこまで多数の人間から狙われている感じを受けません。またそのような演出もありません。
魅音が律子と鉄平の死体情報を警察に売ったという疑念も、映画版・園崎家には元々そんな力が無いように思えます。
(むしろ通報した魅音がそのまま連れて行かれる超展開すらあり得る)


また、梨花や圭一との接触も無いため、スクラップ帳の内容が正しいとレナなりに確信する要素が少なく、
レナは三四のトンデモ話をヘビーに受け止めてしまっただけで籠城した、と受け取られても不思議じゃないです。


事実、籠城開始直前の教室で圭一たちは、実に気楽な雰囲気です。
「レナの言う『逆転の一手』とはなんなんだ…!?」という緊迫感のあるものではなく、
「レナ最近学校来ないね…どうしたのかな?」という、なんとも他人事なセリフすらあります。



いや、実はこれはこれでアリなんです。
平和な日常シーンに突然訪れる恐怖は、ホラー映画の基本なわけですから。
弛緩しきった教室内に、突然あらわれる鉈を持ったレナが………って……



……え? レナが教室に入って来るシーンがまるまる無いんですか?
気がついたらバリケードまで完成していたと?



…うーん、たぶんあまりにもリアル過ぎたので、真似しちゃう悪い子がいるかもしれないと思い、
監督さんも泣く泣くカットしたんだと思います。世知辛い世の中ですよね。





★魅音が教室で髪をほどいてまた結んでたけど、何の合図?

さ そ っ て る の よ 。
恐らくは詩音の存在を匂わせた演出。または魅音もまともじゃないように見せるトラップ。
そして深読みすると、実は魅音も記憶を継承しているというオリジナル設定が考えられます。
レナが撃たれたあとの「また救えなかった…」というつぶやきは、悟史のことではなく、
前回の圭一のことを言っていたのかな?かな?




★圭一が魅音に抱きついて過去の罪がどうのこうの言ってたけど、何?

→雛見沢に来る前、勉強のストレスを発散させるために子供をモデルガンで撃っていた件ですが、
フラッシュバックの映像が一瞬の上、圭一のセリフがゴニョゴニョしていて分かりづらいです。
というよりも、過去にレナと魅音を殴り殺した記憶がよみがえった時に、
なんで自分の過去の罪を告白しているのかが理解に苦しみます。教えて偉い人。
 

原作での圭一は、レナに「児童襲撃の犯人であることを隠しているお前は仲間じゃない」と言われ、
魅音たちに過去の事件のことを打ち明けます。
すると魅音たちに「隠し事くらい誰にでもあるんだよ」と教えられ、それをきっかけに、
過去にレナと魅音を殴り殺したことを思い出し、その罪を知っている梨花が圭一を「許す」わけです。


 
ところが映画では、圭一が自己解決し、抱きつかれた魅音が「何をいってるのかわからないよ、困るよ…」と狼狽、
沙都子は気の利いたセリフもなく、梨花に至っては違う場所で「圭一が気づいた」と悟っただけでした。
…なんだかなー、という感じです。


このあたり、映画では魅音が取り出すマジックペンをやたらと強調していましたが、
「注射器はマジックペンでした」という回答は、実はそんなに大したことではなくて、
大切なのは「映画として観客に何を伝えたいのか?」というテーマではないかと思います。
 

僕は、原作者である竜騎士07氏が、「ひぐらしのなく頃に」というゲームを通してプレイヤーに伝えたかった事の1つに、
この「過去の罪や隠し事は誰にだってある」が挙げられるのではないかと思っています。
そして映画は、そのあたりのメッセージをいかに表現できるかこそが、監督の腕の見せ所だとも思います。 



……果たしてこの映画で、どれだけの人に何が伝わったでしょうか?
 







三、解明された壮大な謎とは?


「壮大な謎が解明される!」という広告キャッチがあったので、
この「ひぐらしのなく頃に誓」で、何が解明されたのかを考えてみます。


1.前作で圭一が注射器だと思ったのはマジックペンでした。圭一が変だっただけ。
2.大人たちが悪そう。三四と小此木は何かやってそう。
3.祭具殿に南京錠がかかってました。
4.レナの父親が受け取った慰謝料は5千万円以上。



以上です。壮大でしたね。


まぁ今作が「回答編」だとは示されていないと思いますし、
原作でも未だに残っている謎がありますから、どうということはありません。







四、残された謎と疑問点

■作中で気になったところを挙げてみます。
大体はふゆのんが書いてくれたのでラクチンです。



①タイトルの「誓」は、何を誓ったのか?

1.レナの罪(殺人)を仲間だけの秘密として生きていく誓い。 (本命)
2.生まれ変わったら、普通に恋をする誓い。 (対抗)
3.反響が大きいので続編も作ろうという誓い。 (大穴)



②リサ殺害の凶器を、鉄パイプから鉈に変えた理由は?

→前回、レナが鉈を持つシーンが少なかった反動かもしれません。
ただ、ホラーっぽい恐怖感を出すなら、鉄パイプで何度も殴り殺した方が効果的だと思います。
まぁ腕の折れてる演出とかが難しかったのかもしれませんけど。

原作では、最初の鉄パイプはたまたまそこにあったもので、
次の鉄平殺しの時には「一撃で倒せる凶器」として吟味した結果、鉈になります。
本来この辺りにも、レナの考え方が垣間見えるんですが…。

また、学校での籠城を始める際、大人である知恵先生という障害を安全に排除するため
事前に遠くの場所へ呼び出すというのも、レナの「らしさ」が出るシーンだと思いますが、
映画では真っ先に知恵先生に襲い掛かり、しかも無傷で逃げられて通報までされる結果に。

まぁ冒頭の体育の水鉄砲シーンでも、レナは何となく残っていただけですし、
「いざという時のレナは強い」という原作設定は、映画ではあまり重要視されていない様子です。



③レナは殺人後、幸せな生活を取り戻そうとしていない。


映画における、ゴミ捨て場でのレナの告白シーン。
レナは「私はやれるだけのことをやった」と言いますが、
この時のレナは既に、死体処理後の未来を描けていません。

レナの一世一代のがんばり物語とは、いったい何のためにがんばるのか?
それは、幸せな未来を築くために殺人を犯し、死体を片づけた後で仲間たち、父親と一緒に
これまでのように楽しく暮らしていくためのはずです。

しかし…残念ながら、圭一たちがゴミ捨て場にあらわれた時、
レナは動じるどころか淡々と作業を進め、圭一たちを死体から遠ざけようともしません。
そして、魅音・沙都子・梨花に対し、悟史を救わなかった事を罪として責め、
既に仲間ではない、相談できる存在ではないと言うのです。


これは、かなり違和感があります。


死体を見られる。
その致命的なミスをきっかけに、レナの中で何かが吹っ切れたからこそ、
過去の出来事を引き出して「なんで相談しなかったのか」という問いに対抗し、自分を正当化させます。
でも心の中では、仲間に相談しなかったこと、そして殺してしまったこと、
つまり最善の方法をとらなかったことを悔やんでいるはずなのです。

しかし、映画でのレナは、死体を見られる云々ではなく、
過去に悟史を救えなかった魅音たちを、もともと頼れる仲間だとは思っていなかったように感じます。
ちょっとした演出の違いだけで全く印象が異なるという1つの例ですが、
そんなレナたちをまとめて抱きかかえる展開にもっていった圭一は、本当にすごいと思う。



④綿流し祭の景品の箱には何が入っていたのか?

圭一が中を覗いて「うお!これ欲しかったんだよな」と言いました。
魅音と一緒に買いに行ったはずなのに、初めて見たかのようなセリフだったので、
圭一が見ていないうちに魅音がコッソリ買ったものではないかと考えられます。

さて、ここで問題です。
こんな時、魅音なら何を買うでしょうか?

魅音といえば、空気の読めない数々の言動で人気の愛すべきキャラ。
ここでも間違いなく空気の読めない買い物をしてくれたはずです。
まぁ勝手な想像ですが…





…たぶん、モデルガン。





五、登場人物に一言、二言。


■映画内のキャラとして感じたことを書きます。
個々の出演者の演技力については触れません。
実際、大杉漣をはじめ、ベテラン達はさすがに上手でした。



★前原圭一

一番の違和感は、レナ籠城時に大石に会いに行って説明をするシーン。
背中からレナに監視されているため、いくらか緊張はするでしょうが、妙に素気ないです。
もはや「もう何をやってのもダメなのですwww」レベル。

「何とかしたい、レナを含めて皆を助けたい」という演出には感じませんでした。
未見の方にはぜひ注目してもらいたいシーンの1つです。



★竜宮レナ

首掻きが過剰に演出されているため、悲劇というよりも痛そうなヒロイン。
真っ先に知恵先生を襲うあたり、主力から排除していく思考のようです。
また、死体の有無を手ぶらで確認しに行くなど、ちょっとお茶目な一面も。

その他、レナらしさの出るシーンがたくさんカットされていて残念でした。
鉈で教壇を叩き割るのは、鉈の殺傷力を皆に見せる効果もあったと思うのですが…。
また、カットされた部分のいくつかは、レナの独白によって補間できたとも思うので、
首を掻くついでにブツブツ言っても良かった気がします。



★園崎魅音

体育の後、屋根の上で圭一と一緒に横になっているのは魅音ではない。詩音です。
僕の知っている魅音は、圭一と肌が触れあうくらい近くになんか寄れません。
すなわち!あれが出来るのは詩音なんだああぁぁ!!!



★北条沙都子

時限装置を見つける役。前回よりはセリフがあった。
トラップは相変わらず成功率が低いです。



★古手梨花

鉈女不発。ざんねん。
前作に引き続き、驚くほどに印象が希薄です。
次回作の主役候補なのに。



★大石蔵人

原作とはかなり違うのに「この大石ならアリアリ」と思える役。
今現在、実写映画化で一番成功してるオリジナル要素だと思います。

お世話になったことが無いので詳しくはわかりませんが、
「こういう警官もいるんだろうな」とイメージできてしまう。
最後にデレるあたりも、憎めなさをよく表現しています。



★鷹野三四

いかにも悪そうです。
ひょっとしたら黒幕なのかもしれません。



★入江京介

ワンシーンで全て語ってくれました。
沙都子にはぁはぁするシーンは無さそうです。



★知恵留美子

知恵先生なら、命にかえてもカレーを落としたりはしない!
給食室は無いので、たぶんあれはお手製。具は大きめ。



★間宮律子

原作より年上?な印象を受けましたが、役割はほぼ同じ。
若干、礼子と似ている気もします。保典のタイプなのかもしれません。



★北条鉄平

トマト好き…と思わせて、途中で捨てました。頑張って食べてみたけどやっぱ苦手だったのかな。
「沙都子もブロッコリーちゃんと食べるやで」というメッセージだったらマジで泣ける。



★富竹

グラウンドの遠くから激写するも、圭一・入江ともにスルー。
その上、公式サイトでもキャスト紹介のリンクをスルーされている。



★竜宮礼子 (レナの母親)

もっといい人そうなイメージでした。
まぁレナの「いやな」フィルターを通しているので、実際はわかりませんが。



★竜宮保典 (レナの父親)

いかにもなダメ親父で、良かったと思います。
背中に乳房のひとつも押しつければコロリと落ちそう。



★小此木(仮)

特殊部隊として靴跡は何とかすべきと思わなくもない。
赤坂が存在しないこの世界で、敵となるのは……魅音の空気投げくらいか?





六、映画作品としての課題



①年齢制限について

■劇場についてから知ったのですが、
この映画はPG-12(12歳未満は保護者同伴での観賞が望ましい)指定になってました。
年齢制限が足かせになるのであれば、いっそR-18にしてもいい気がしますが、
その場合はYahoo!の広告に出す時とか、何かと不都合があるのでしょうね。

というか、幼女のパンツは大丈夫なのか心配です。「これ通るの!?」と思わずにいられませんでした。
しかもあのシーン、明らかに男子が少なかったように感じました。あざといです。あざといです。




②原作ファンに媚びず、新規参入者を歓迎しない。どの層をメインターゲットにしているのか?

■前作から感じていたことですが、
及川監督は、ひぐらしの原作ファンに媚びる気は全くありません。
「このシーンorこのセリフだけあればとりあえず満足♪」というポイントを、ことごとく回避していきます。


今回で特に顕著なのが、レナ籠城時の梨花のセリフ。
代名詞ともいえる「遊んであげるわ。おいで、鉈女」が中途半端に採用されていて、
映画としての名言にもならず、かといって原作厨も満足できないものになっていました。


正直このシーン、適当に落ちているモップを拾い上げ、
「遊んであげるわ。おいで、鉈女」と言ってもらえるだけで、十分なんです。満足なんです。
そんなに時間も取りませんし、演技としてもそう難しくはないと思います。


にも関わらず変更している事をみると、
やはりそこには何らかの意図があると考えられます。


変更した理由を推測してみます。お好な選択肢をお選びください。


①「映画」としてのオリジナル性を強調したかった。
②それほど重要なセリフ・シーンだとは思わなかった。
③原作のセリフは原作プレイヤーしか知らない。
名言を期待した間抜けだけがホイホイやってきてガッカリする。
これは原作プレイヤーを見つけ出すための監督の罠だったんだ…!



■では一方で、映画から入った原作未プレイの方々を歓迎しているかといえば、
前述の通り、一見さんにはなかなか理解しきれない内容になっています。


僕がまったくのひぐらし初心者であれば、これまでの過去2回の内容だけを観て、
まさか梨花が必ず殺されているとか、気づけるはずもありません。当たり前ですが。


このあたりは、ふゆのんも言ってますが、
エンドロールを原作っぽく工夫することで、何とかなった気もします。
不思議なもので、アニメ作品の上映ではエンドロールの途中で席を立つ人が少ないのですが(笑)、
推理のための様々な情報を与えられる貴重な時間なのですから、
最後まで見てくれるためにも、エンドロールで何か演出すべきだったと思います。



■結局、どの層をメインターゲットにしているのかと考えれば、「ほどほどなファン」だと思います。
ちょっと具体的にいえば、


原作ゲームは借りてやってみたけど最初の2時間で挫折、
でも後から続きやったら面白くてとりあえず解までの8つはやってみた。
アニメがあるのは知ってるけど全部見てるわけではないし、PS2とかDSのもやってはいない。
漫画版は買って読んでるけど、好みの絵師の編だけ選んで買ってる。
あー、うみねこ?ちょっと興味あるけどまだやってない。時間ないし。


…くらいじゃないですかね?w





③映画実写化の難しさ

■えぇと、ここまで好き放題書いてきましたが、
すべて「尺が足りない」の一言で片付けられなくもありません。その程度の感想です。
僕のような素人が「あれが足りない、これが足りない」と言うのは簡単ですが、
その全部を採用していたら間違いなく3時間を超す長編作品になってしまいます。

映画というものは「限られた時間内で如何に表現できるか?」という要素もあり、
だからこそ芸術であり、また大衆娯楽としても素晴らしいものであるはずです。
(まぁそこに監督の実力がハッキリと出てしまうのもまた事実なんですが…)

また、ひぐらしは複数の編から構成されている作品です。
単発モノの原作を映画化するのに比べれば、難易度は遙かに高いものと想像できます。
そういった意味で「ひぐらしのなく頃に」は、確かに映画化の難しい作品であるのかもしれません。

宝塚でやった逆転裁判とは少し違いますが、
ひぐらしのようなサウンドノベルゲームでも、映画より舞台劇のほうが合ってるのかな。
もうやってる劇団とかありそうですが……想像するだけでワクテカしませんか?





七、続編への期待


■今作のラストには「続編、制作決定!」の表示はありませんでしたが、
この「ひぐらしのなく頃に誓」の内容は、明らかに3作目を意識したものでした。

前述の通り、ほとんどの大きな謎が説明されていないので、
むしろ続きを作らないと何のためにここまで映画化したのかわかりません。
最後まで責任を取る…というと語弊があるかもしれませんが、ぜひ続いて欲しいです。

少なくとも、今回の108分を考えれば、納得できるかどうかはともかく、非常に楽しく観れました。
原作の知らない洋画などは途中で飽きるシーンもありますが、
このひぐらし実写映画化シリーズは、1秒たりとも目が離せません。

おまけに、こうやって一週間もかけて内容を思い出し、
何時間もかけて考えて感想を書いてるわけですから、
たった1,200円でここまでさせてくれるだけの魅力があるのだと思います。



■ですが、現実的な問題として、3つ目は可能なんでしょうか?
この辺は全然詳しくないのですが、やはり全国ロードショーというのはお金がかかるものなんですよね?
今回の興行収入、というか客の入りって、どんな感じなのかな…。
採算がとれているなら、もちろん続編も作りやすいかとは思うのですが。

また、仮に続くとしたら、どのような内容にするのかという点も重要です。
僕は、どんな結末になるにせよ、この2作目で完結させると思っていました。
それはもう強引に詰め込んで、羽入は実体化するわ、赤坂は出るわで、
スッキリハッピーエンド!やっぱり仲間たちに相談しなきゃダメだね!…という感じで。


■ただ、問題が山積みなんですよね。
原作のひぐらし本編に残された話は、罪滅し編を終えた今、残り2つしかありません。
2つ「しか」と書きましたが、そのボリュームは半端じゃないわけで、
100分程度の上映時間に収めるためには、2作目以上に大幅なカットが必要とされます。

にも関わらず、必ず説明しなければいけないことが多すぎます。
雛見沢症候群や梨花の繰り返しについてもまだほぼノータッチですし、
「誓」で少年(圭一)だけが生き残った理由も説明しなければいけないですし、
そもそも撃たれたレナは生きてたのか死んでたのかもわかりませんし、
悟史は詩音が出ていないのにどうすればいいのかわからないですし………。


ソードマスターヤマトの最終回みたいにならなければいいのですが。






八、天使の脚本


■平成21年4月19日の23時過ぎ、帰り道でのこと。
1年間もの便秘が開通したかのような清々しい笑顔で語るふゆのんに対し、
僕は残った体力を振り絞りながら歩いていました。

…楽しくはあった。1秒たりとも飽きることはなかった。
にも関わらず、この脱力感と虚無感はなんなんだろう…?


結局、僕はどうなっていたら満足だったのだろうか?
自分の理想に近ければ良かったのか。それとも良い意味で裏切られたかったのか。
そもそも何のために映画を観に行ったのでしょうか。


「期待をするから辛くなる」


どこぞの神様が言ってました。
なるほど、確かにその通りです。伊達に長く生きてないわな。
僕はこの続編に、期待をしすぎていたのかもしれません。過剰なほどに。

流れに逆らわず、ただ内容をありのままに受け入れる。川の流れのように。
それがこの映画と付き合っていくコツなのかもしれません。



■地下鉄を降り、バスターミナルまでの道を行きます。
我を忘れて熱く語るふゆのんとも、あと少しで別れることになります。


…もしも悪魔の脚本と言うものが存在するのなら。
全ての惨劇を記したこの映画こそが、悪魔の脚本じゃないか。

ひぐらしの実写映画を2年続けて上映し、
全国数千人もの観客のハートを2時間足らずで奪う悪魔の脚本。
この脚本を誰かが書き、誰かが上映し、それを見て誰かが笑った。

そんな奴らがいるって言うのか。だとしたらそいつは一体誰だ。
誰か、誰か教えてくれ…!












…そうか。笑ったのは、自分だ。

答えは最初から、ひぐらしの中にありました。
僕はなんでこんなに弱音を吐いていたんだろう。

辛い思いをしたくないから映画に抗わない?
川の流れに見立てて力まず鑑賞するのがコツ?


そんなのなんてくだらない……!!!



「…ふゆのん。」

「ん?」









「原作ファンが可哀想なので、ボクは別の監t」








※この脚本はどうせ幻想に決まっています。
実在する如何なるふゆのん、MAMORUとも関係するはずもありません。






■映画「ひぐらしのなく頃に誓」感想でした。

長々とお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
内容に関して感想やご指摘などあましたら、コメントか拍手にどうぞ。
原作の内容もだいぶ忘れかけているので、間違ってるとこ多そうですw


前回の感想が、何の間違いかweb検索の上位に引っ掛かってしまい、
たくさんの方にご迷惑をかけてしまったので、今回はあえて一週間あけました。
他の方の感想は一切見ていませんが、恐らくはたくさん上がっていると思います。


映画を見て、まだ感想を書いていない方がいたら、ぜひ感想を書きましょう!
満足や不満足、絶賛や批判、感想やレビューは書きたいままに書けばいいんです。
まぁもちろん人として最低限のマナーは必要ですが、すべて賞賛する内容である必要なんかありません。


■ひぐらしは実写化して良かったんじゃないかなーと思います。本当に。
比較するのも凄い話だけど、レッドクリフを観てから三国志の小説とか漫画買う人やたら増えたでしょう。
規模は違えど、たぶんこの映画を見た後に漫画とか買う人が結構いると思うんだよね。

原作厨としてはもちろん原作ゲームやってもらうのがお薦めではあるんだけど、
映画→漫画でも十分に作品の印象がプラスの方向に引き上げられると思うんですよね。
この感想書くために一度、漫画版を読みなおしたんですけど、滅茶苦茶面白いのよコレw




■色々な意見がありますが、僕は今のところ「実写化成功」でお願いします。うむ。

いやだってさぁ、その昔、
「逮捕しちゃうぞ」の実写化というものがあってだな…。

…いや、やめましょう。この話は。
涙がいくらあっても足りやしない。





夏美さーん、愛してるよー。




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