あらすじ    登場人物紹介  目次


山田達三人が歌麿達を銃で狙っている。
しかし歌麿達は平然としている。
むしろ山田の部下二人の方が腰が引けている。
間違いなく自分達が劣勢だとわかっているから
だ。

そんな二人に歌麿が甘い言葉を囁いた。

「逃げるなら今ですよ」

山田の部下二人がお互いに目を合わせた。

「まもなく警察が来ます。外の連中は警察に捕
 まっても大した罪にはなりません。でもあな
 た方はどうでしょう。銃でを持って私達を殺
 そうとしています。可愛いお子さんを誘拐ま
 でしてます、捕まったら結構な罪状がつきま
 すよ」

二人の男は目を見合わせ、さらに山田を見る。
すがる様な眼差しだ。

「山田さんも事、こうなったら、せめてあなた
 を信じ最後まで残られたそのお二人を逃がし
 てあげるのが、仲間としての最高の礼儀だと
 は思いませんか」

さらに歌麿が追い打ちをかけた。
二人の部下の腰は完全に引けている。
 山田は黙ったまま歌麿を睨みつけていたが、
動揺する部下二人をチラ見すると

「今回の事件は俺一人が仕組んだ事だ、こいつ
 らはただ俺に従っただけだ、何の関係もない」

「勿論私達だってそう思いますよ」

歌麿は即答した。

「ちっ!」

小さく舌打ちすると山田は部下二人に

「お前らは出て行け」

小さく言い放った。

「あ、銃は山田さんに渡しておいた方がいい
 ですよ。途中で警察の職質にでもあったら
 おじゃんですから」

山田の言葉を待っていたかのように二人は、逃
げ出そうとしたが、その背に歌麿がアドバイス
した。
あからさまな悪顔だ。
途中警察の職務質問にひっかかる可能性は大い
にある。

二人は銃を山田に渡すと、律儀にも頭を下げる
とそのまま逃げるように外に飛び出していった。

残ったのは山田一人だ。
銃は三丁。
二丁を両手に、一丁はポケットに仕舞いこんだ。

「さて、どうしようか」

山田は不適な笑いを浮かべるとゆっくり間合い
を広げた。
ピタリ窓に背を付けると、四人を見渡した。

この間合は四人が一度に飛びかかっても銃を四
発撃てる距離だ。
山田がその気なら、四人の誰かを殺すことは
十分できる。

「私がぶっ飛ばす」

釈が前に出ようとするのを斎藤が慌てて止めた。
窮鼠猫を噛むだ。
最後の詰めを間違えると、ここまで上手く行っ
た筋書きが全て無になる。
それでなくても山田はもう手詰まりだ。
落としどころを作ってやらないと全員大やけどを
負いかねない。

暴れる釈を羽交い絞めにしながら斎藤は歌麿を
見た。

続話→










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