「井賀の計画はこうだ。まずプロの殺し屋雇って、君の事だが」

エンジェルを指さすと

「喜多城まほを自殺と見せかけて殺すよう依頼する。そしてその殺しの現場を写真に撮る。事件自体は自殺に見せかけ警察の介入をさせないよう公安の力で封じさせると、殺しの現場写真を鬼塚さんに見せる。そうすれば鬼塚さんが組織を上げてエンジェルを殺してくれる、そう井賀は踏んだわけだ」
「つまらん小細工を」

佐田が唸ると

「井賀が黒幕なのか」
「そうです。今回の事件は、全て井賀が仕組んだことです」

鬼塚が唇を噛みしめてその場にへたり込んでしまった。

「ですから鬼塚さんがここで、エンジェルを殺しても、まほさんの仇を討ったことにはならないんですよ」

と、その時だった。
誰もが油断していた。
その油断を見透かしたように、鬼塚がすくと立ち上がると、エンジェルに向かった。
それはアッと言うまだっうた
おそらく鬼塚は最初からエンジェルしか見ていなかったのだろう。
エンジェルが一橋の話を聞き入っているのを見計らい、一気に近寄ったのだ。

鬼塚の両手がエンジェルの首に巻きつこうとしたその瞬間、エンジェルの繰り出したメスの先が鬼塚の脇腹に突き刺さった。