神楽坂「ふしきの」 営業日記 -200ページ目

藤吉憲典展のご案内

神楽坂「ふしきの」 営業日記

ふしきので食器を使ったり、酒器の販売をさせていただいている
藤吉憲典(ふじよし けんすけ)さんの個展が、
今週末より、同じ神楽坂の「うす沢」さんで開催されることになりました。


藤吉さんの作品は、とても味わいのある絵付けで、
これまでもお店に器に詳しい方がいらっしゃったときは、
決まって「この作品の作家さんはどなたですか?」と聞かれるほど。


どうやら今回の個展は、
今年、西麻布の桃居さんで開催されたものとは趣向が異なり、
蕎麦猪口のみの個展になるとのことです。


個展の準備中、藤吉さんとお話しする機会がありましたが、
何と全部で160種類もの文様を描かれたそうで、
藤吉さんの意気込みがひしひしと伝わってきますし、
どんな個展になるのか、僕自身、とても楽しみにしています。


ちなみにこの「うす沢」さんというギャラリーは、
ホームページをご覧いただければ分かるのですが、
神楽坂の中でも、ちょっと不思議な場所に位置しています。


そう、まるで隠れ家のようなギャラリーです。


ご興味のある方は、会期中、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
そして個展の後は、ふしきのへ美味しいお酒を飲みにいらして下さい!


【藤吉憲典 そばちょこ展】
 会期 2011年9月17日(土)~9月28日(水)
 時間 12時~18時
 会場 器 うす沢
 住所 東京都新宿区横寺町47番地
 http://fujiyuri.shop-pro.jp/

「ふしきの」を眺めながら

神楽坂「ふしきの」 営業日記


「ふしきの」というこのお店の名前は、
書家の矢萩春恵先生にお書きいただいたものですが、
プレ・オープンで矢萩春恵先生がお店にいらっしゃったとき、
この額装であれば、当初設置していたカウンター内の壁より、
この位置の方がいいとアドバイスをいただいたため、
今日になって、やっとその設置工事が終了致しました。


確かに、当初考えていた位置と比べて、
こちらの方が、ぐっと引き締まった印象がしますし、
庵のような、いい雰囲気が出てきました。


それにしても、矢萩春恵先生の書を見ながら、
お酒を楽しむことができるとは、とても贅沢なことだと思います。


次の休みの日には、この書がよく見える席に座って、
一字一字じっくりと眺めながら、盃を傾けたいと思います、笑。

酒器、販売してます。

神楽坂「ふしきの」 営業日記


お店の一角にこんな感じで酒器を展示していますが、
実はこれ、すべて販売用の酒器です。


お店では、若手から人間国宝クラスなどの現代陶芸家の作品や、
骨董などの酒器の中から、お好きなものを選んでご利用いただけますが、
酒器に興味を持たれた方が、実際に購入もできるようにと、
交流のある作家さんにご協力いただき、酒器の販売を始めました。


一段に10客を展示していて、計60客を常設で取扱っており、
お客様がお店に入って、この棚をご覧になれば、
きっと日本酒モードにスイッチが入るはず、笑。


でも陶芸ギャラリーを始めようというわけではありませんから、
普通の陶芸ギャラリーとは、ちょっと違います。


①使用OK!

すべての酒器がお店で実際にご利用いただけます。
やはり口につけるものですからね。
展示されたのを見ただけでは分からないことも多いですから、
実際に使ってみて、気に入ったら購入できるという仕組みです。

もちろん購入が前提でなくとも、どんどん使ってもらって構いません。
むしろその方が、酒器が育って僕らも嬉しいですからね。


②箱なし価格!

通常、作品には、桐箱(共箱)がセットされているものですが、
今回は作家さんにお願いし、すべて箱なしにすることで、
できる限り、販売価格を抑えるようにしています。
大事に箱にしまっておくよりは、毎日がんがん使用して下さい、笑。


③アフターメンテナンス!

僕が金継ぎ教室に通っていることもあり、
万が一、作品が割れたり、欠けたりするようなことがあれば、
時間は掛かりますが、お店で直しを承ることも可能です。

あとは、作品にお酒の臭いがついてしまったなど、
ちょっとしたトラブルも対応させていただきます。


今のところ、取扱作家は↓この7名となっておりますが、
今後、少しずつ、取扱いを増やしていければと思っています。
(敬称略、アイウエオ順)


・石川隆児(神奈川県、焼〆・粉引・鉄釉など)
・伊勢崎晃一朗(岡山県、備前)
・小山厚子(岡山県、備前)
・辻村塊(奈良県、伊賀・志野・粉引など)
・西川弘敏(佐賀県、唐津)
・藤吉憲典(佐賀県、染付・赤絵)
・渡辺愛子(三重県、伊賀・信楽)


価格帯で言うと、最も安いもので3,000円程度、
高いものでも1万円前後のものが中心です。


もちろん、一般的な感覚からすれば、高いと思われるかもしれませんが、
気に入った一客に出会い、一生、美味しいお酒を飲めることを思えば、
一盃当たりの減価償却費は、かなりリーズナブルになるはずです、笑。


「ふしきの」で酒器の楽しみを知っていただき、
まずは一客でもいいから、実際に手元に置いていただく。
そこから陶芸ギャラリーに足を運ぶ人が一人でも増えてくれれば、
陶芸文化の裾野が広がるともに、お客様の目も次第に肥えてくる。
ギャラリーも作家さんも、ただ懐が潤うだけでなく、
お客様の要望に応えようと、よりいいものを取扱うようになる。
そんな好循環が生まれれば、この国の文化はもっと豊かなものになる。


「風が吹けば桶屋が儲かる」ではありませんが、
まずは「ふしきの」が最初の風になれればと、
そんな想いから、酒器の販売を始めました。

テイスティング

神楽坂「ふしきの」 営業日記


今日、月曜日はお店の休業日。


オープンしてから、ずっとバタバタしていましたが、
今日になって、やっとお店にある日本酒をテイスティングできました。


さすがに全種類は無理ですが、多田さんのコメントを聞きながら、
30種類ほどテイスティングしたでしょうか?

お酒の仕入れは、すべて多田さんがしていますが、
こうしてテイスティングしてみると、
かなり面白いラインナップであることが分かります。


そして何より、それぞれのお酒をどういった食材に合わせるか、
それをちゃんと意識して仕入れているんですから、
流石というか、スゴ過ぎです。


オープンしてからこれまで、お客様が料理とお酒の合わせられて、
驚かれるシーンを何度も目の当たりにしてきましたが、
仕入れの段階から、ここまで緻密な組立てを行っていたとは・・・。


多田さんと一緒に仕事をする幸運に恵まれたんですから、
僕も一から、お酒について勉強し直していきたいと思います。


さて、直近のお店の予約状況ですが、
15日(木)までは、先日ご案内した通り、貸切営業となっていますが、
16日(金)、17日(土)はまだまだお席に余裕があります。


ご興味のある方は、03-3269-4556もしくはfushikino@gmail.com まで、
宜しくお願い致します。<(_ _)>

人間Aに会いましょう。

神楽坂「ふしきの」 営業日記


お店のカウンター内にちょっとした展示スペースがあり、
そこに石の彫刻を置かせていただいています。


作品名は、「Ninguen a」


大阪に在住の彫刻家、冨長敦也さんが作られた作品で、
日に日に、お店の景色に溶け込んでいっていて、
お店の設えの中でも、気に入っているもののひとつです。


トラバージンという石を使って作られていているのですが、
照明の加減によって、微妙な陰影が浮かび上がり、
この人間Aを見ながら、ゆるゆるとお酒が飲める雰囲気です。
たぶん、僕だったら何時間でもお酒を楽しめてしまいます、笑。


李白の「月下独酌」の詩をご存知の方もいらっしゃると思いますが、
お店のお客様の中には、お一人で見えられる方もいらっしゃって、
月と影のような対酌される相手として、この人間Aを想定しています。


この冨長さんのことを知ったのは、
お店がオープンするちょっと前、8月に入ってからののこと。


ちょうど冨長さんが東北地方の被災地を巡られ、
行く先々で道祖を彫るという活動をなさっていたのですが
偶然にもその活動の帰りの道中、東京で立ち寄られたギャラリーで、
ご挨拶する機会に恵まれました。


今から思い返してみても、ホント、絶妙のタイミングだったと思います。
お店の内装が決まっていて、床脇のようなスペースを設けたものの、
お花や香炉を置いたのでは、あまりにも無難過ぎますし、
何かいいアイディアはないかと、悩んでいた最中のことでした。


初めてお会いしたとき、東北地方で彫られたという、
道祖のひとつを実際に拝見させていただいたのですが、
その作品が持つ力と、何より冨長さんのお人柄に惹かれ、
是非、この場所に冨長さんの作品を置かせて欲しいと、
無理を言って、オープン直前に送っていただいたのがこの人間Aです。


石の彫刻を手にするのは、これが初めてのことだったのですが、
石という素材自体が自然のものだからなのか、
それともそこに手を加えた人の想いがこもっているからなのか、
人間Aがまるで生きているような、そんな錯覚すらしてしまいます。


当初、このスペースは、季節ごとに置くものを変える予定でいましたが、
ここまで空間への収まりがいいと、そういう感じではなくなり、
今はむしろ、「人間A」にこの場所に居続けてもらおうと思っています。


そう、この「人間A」を作られた冨長敦也さんの個展が、
タイミングよく、12日(月)より銀座のギャラリーで行われます。
会期中、何とか時間を取って、僕も訪れてみたいと思っています。


【Ninguen 冨長敦也展】
 会期:2011年9月12日(月)~9月17日(土)
 時間:11時30分~18時30分(最終日は16時30分まで)
 会場:ギャラリーゴトウ
 住所:東京都中央区銀座1-7-5 中央通りビル7階
 http://www.gallery-goto.com/


【冨長敦也さんのホームページ】
 http://tominagaatsuya.com/