【怪しいおやぢ】です。

 範疇に困る話……『江戸奇譚』

 今回は、『藍染川の犬』


 文化七年四月二十三日の朝、神田藍染川に犬がいて、ひとつの箱を食い破っていた。

 箱の中には藁人形があり、蛇が巻き付いていて、蛇の頭を大きな釘で打ち抜いていた。

 不審なので公聴に訴えたという。

 ―――室町雪の屋で二十三日の夜に聞いた話だ。

 

 『半日閑話』≪太田南畝≫