【怪しいおやぢ】です。

 『類聚世話百川合海』

(るいじゅ せは ひゃくせん かっかい)から……


 「に」の字の部。



『憎々の腹柄、完爾が出遣った』

(にくにくのはらから、にっこりがでやった )


 完爾……というのは、にっこりと笑うこと。




 劇画原作者の小池一夫さんが、


 時代物の劇画を書くとき、登場人物が、


 引き受けた、理解した……という返事の代わりに、


 「完爾!」……と使っていたのを思い出します。

 


 この語句の場合、


 泣いた子が笑った……の意味なのか、


 顔で笑って心で泣いて(怒ってでしょうか)……なのか、


 判断に苦しむところです。




 この語句の原典を引っ張ってくる力、考証力がないことを、


 改めて痛感させられるところです。




 ほんとは、腸(はらわた)煮えくりかえっているのに、


 つい笑っちゃったよ……というのは、よくあること。


 そんなとき、


「ち、にっこりが出やがった……」

 

 とでも愚痴ると、少しは腹の虫も治まるかも……。