寛政七年卯年(1795年)、美濃の国の田畑にネズミが多く出て、田畑が荒れるという話し合いの折り、ある人が言った。
 田鼠(もぐら)を追うまじないには、糠でネズミの形を拵え板などに載せて悪水堀(あくすいぼり)等に流すと、田鼠も一緒に着いていって行方が知れなくなる。
 虚実はわからないが、そういうこともあるかもしれない。
 
 ※ネズミ これは、鼠ではなく田鼠(もぐら)の間違いか。
 ※悪水堀(あくすいぼり) 水田の不用水を流す堀 
   ※【耳嚢(みみぶくろ)】根岸鎮衛著・三章企画編訳

 モグラ追いのまじないです。
 冒頭の一行を訳していて、開高健の「パニック」を思い出しましたが、肩すかしになりました……。