高橋一三さん逝く
日本プロ野球史における輝かしい不滅の記録である、東京読売巨人軍のＶ９を左のエースとして支えた高橋一三さんが１４日午後、武蔵野市の病院で死去しました。６９歳でした。
入団５年目の１９６９年、シーズン２２勝を挙げて最多勝、沢村賞を獲得。９連覇を達成した７３年にも２３勝をマークするなど活躍。その後、トレードで日本ハムに移籍し８１年のチーム１９年ぶりの優勝に貢献しました。
高橋さんは２０１３年秋を最後に山梨学院大野球部の監督を体調不良で退き、その後は顧問を務めながら療養を続けていましたが、１４日午前に症状が急変し、武蔵野市内の病院に緊急搬送されて息を引き取ったということです。
高橋さんは広島・北川工（現・府中東）から１９６５年に巨人入り。
当時、中国地区を担当していた木戸美摸スカウトが、その手の大きさにひかれて球団に獲得を強く薦めたそうです。
翌６６年６月２１日、神宮での対サンケイ戦でプロ初勝利をマークすると、このシーズン６勝（５敗）を挙げ、この年にドラフト1位で入団した１歳下の堀内恒夫と共に７３年まで続く９連覇を左右の両輪として支えました。背番号は２１です。
１５０キロを超えていたと言われるストレートに大きなカーブ、シュート、そしてスクリューボールが武器で、６９年には２２勝５敗で最多勝と沢村賞を獲得。９連覇中、堀内が２０勝以上をマークしたのは１度（７２年・２６勝）だけでしたが、高橋さんは７３年にも２３勝１３敗の成績を残し、２度目の沢村賞を受賞しました。
また、シーズンの優勝決定試合で５勝、日本シリーズのＶ決定試合でも４勝を挙げており、７３年のペナントレース最終戦、「勝った方が優勝」という甲子園での阪神戦でも先発し完封。これが９連覇最後の年になりました。
７５年に長嶋巨人が最下位になると、オフに張本勲との大型トレードで内野手の富田勝と共に日本ハムに移籍しました。日本ハムが優勝した８１年には１４勝６敗、防御率２・９４で“後楽園シリーズ”と呼ばれた古巣・巨人との日本シリーズでも第１、５戦に先発しました。
８３年に現役を引退すると、巨人、日本ハムの投手コーチ、２軍監督などを歴任し、日本ハム時代には西崎幸広、柴田保光、武田一浩ら５人の２ケタ勝利投手を輩出。０９年４月から山梨学院大硬式野球部監督に就任。選手の育成に励み、１３年１０月のドラフト会議では、エース右腕の高梨裕稔投手が日本ハムから４位指名され、山梨学院大現役生から初のプロ選手となりました。
中高年で古くからの巨人ファンである我々のようなV９を知る者には高橋さんは偉大な選手。投球フォームをよくまねして、今でも鮮明に覚えています。
ツースリーのかずみさんと言われ、よくフルカウントにしてしまうのに、そこから抑えてしまうのがすごい所でした。
V9戦士では、土井さんに続き、高橋さんも若くして逝くとは残念でなりません。
合掌。
◆高橋 一三（かずみ） １９４６年６月９日広島県府中市生まれ。
北川工から６５年に巨人入り。Ｖ９を左の主戦投手として支え、２２勝５敗をマークした６９年には最多勝、最高勝率、沢村賞、ベストナインなどを獲得。２３勝を挙げた７３年も沢村賞、ベストナインなどを受賞した。７５年オフ、張本勲とのトレードで富田勝と共に日本ハムへ。球宴に６度出場。実働１９年で５９５試合に登板。１６７勝１３２敗１２セーブ、防御率３．１８、１９９７奪三振。
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