小泉政権発足の当初,今よりもはるかに無知でバカな学生だった私は,

既得権益を持っていた層に対して,「痛み」をともなう『構造改革』を行っていくものだと思っていました。


あれから時が移り,安倍・福田・麻生の自公連立政権,

そして,「政権交代」やらで,今の民主党鳩山政権へと移り変わっていきました。


その間,マスコミで一部暴かれてしまった一部官僚やその天下り組織を除き,

多くの既得権益者は,「痛み」はあったとしても微弱で,むしろ,旧態依然とした経営者の中には,

その間,以前に増してより多くの富を築いていった者も多かったのではないでしょうか。


また,「労働者の味方」と自称する,日本最大の既得権団体である「連合」をはじめ,

大企業正社員から組織された労働組合の痛みも,少ないように思います。

その中でも,50歳代以上の年配層で,身分の安定と高い給与,手厚い福利厚生の恩恵から

手放したという報道を,官憲の限りではほとんど聞きません(この頃は,経営破綻したJALくらいでしょうか)。


かといって,年配層が大多数を保有している金融資産をはじめ,

多くの私有財産を持つ資産家に「痛み」をともなうといった報道も,聞いたことがありません。


結局,最も「痛み」を多く蒙ったのは,資産も収入も少なく,

目先の将来すら見えない非正規雇用者をはじめとした,社会的弱者ではないでしょうか?



都合の良い年だけ,正規雇用の門戸を開いているものの,その採用の対象はほとんどが「新卒者」。

既卒者は,始めから同じ土俵に載せて貰えません。

そして,次年度はどうやら,全業界の半数近くの企業で正社員採用を行わない方針だそうです。

まさに,私も実際に経験してロストされた,「就職氷河期」の再来になるようですね。

このままでは,今・来年度に学校を卒業する子たちも,恐らくは私たちと同じ運命をたどることになりそうです。


ある程度,公正な競争社会が行われることは,結構なことですが,

競争の条件が「産まれた世代」という,己の力ではどうにもならない要素によって決まる不公正ぶり

・・・というのは,「自己責任」で済まされる問題なのでしょうか?

これを,「時代のせいで仕方がない」と片付けてオシマイ・・・とするのでしょうか?


やはり,経済的・社会的に恵まれた者が「痛み」を分かち合うのが,筋ではないですか?

それこそが,本当の「痛みをともなう」構造改革なのではないでしょうか?


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正社員採用:「10年度なし」47.5%

(2010年3月3日 21時5分 毎日新聞)


 企業の47.5%は10年度に正社員の採用を予定していないことが、民間調査会社の帝国データバンクが3日発表したアンケート結果で分かった。09年度の45.9%から1.6ポイント悪化し、調査を始めた05年度分以降で最悪。同社は「実効性のある経済政策とともに、労働市場のミスマッチを解消する施策が大事」としている。


 全国2万1750社を対象に2月にアンケートを行い、1万624社が回答(回答率48.8%)した。


 10年度中に正社員(新卒・中途を含む)の採用を予定しない企業は5050社と、全体の47.5%。中小企業は54.5%。業種別では、不動産(62.0%)や卸売り(55.7%)が抑制的で、地域別では北海道(56.4%)と東北(51.1%)で半分を超えた。【山本明彦】