臼蓋形成不全(320)
股関節の骨盤側の出来が悪い(かぶりが悪い)
日本整形外科学会HPより
これは、いろいろな名称があります。
寛骨臼形成不全(2)
ともいわれています。
※寛骨臼:お椀、臼蓋:お椀の縁
他にも、
先天性臼蓋形成不全(13)
先天性寛骨臼形成不全(0)
赤ちゃんの頃に脱臼があった場合は
先天性股関節脱臼(216)
先天性股関節亜脱臼(5)
最近では
発育性臼蓋形成不全(1)
発育性寛骨臼形成不全(1)
発育性股関節形成不全(32)
股関節形成不全(251)
犬の股関節形成不全のことが多く出てきます。
など…
日本整形外科学会HPでは、
『臼蓋形成不全』『発育性股関節形成不全』とあります。
これは、股関節の状態を指し示す言葉です。
ちなみに、
『臼蓋形成不全』でネット検索すると、
先天性股関節脱臼や変形性股関節症などが出てきます。
これまで使われてきたので、
使いやすい言葉になっているのでしょう。
●発育性股関節形成不全
近年使用されるようになりました。
先天性股関節脱臼・先天性股関節亜脱臼・臼蓋形成不全をまとめた言葉になっています。
なぜ『先天性』から『発育性』と変わったのか?
以前まで先天性と考えられていたものが、現在では後天性の要因が多いと認識されているからです。
後天性が9割といわれています。
・脱臼
生まれる前、または生まれて間もなく脱臼。
3ヶ月検診で発見されることが多い。
出生前では骨盤位・足位・殿位・多胎・双角子宮・子宮筋腫・羊水過多など。
多くは、子宮内での肢位(逆子など)が原因。
出生後では窮屈なオムツ・産着など、秋から冬にかけての赤ちゃんが形成不全になりやすいそうです。
赤ちゃんの脚はM字型(股関節が外転・外旋)が自然な形。
足を伸ばしたまま防寒でくるむと、股関節を外転できない(内転・内旋される)ため、脱臼や形成不全が多発。
脱臼は早期発見し、整復した場合、臼蓋形成不全にならないと考えられています。
ただし、臼蓋が成長しづらい状態になるそうです。
15歳になるまでは経過観察が行われます。
・成長期
骨の成長が盛んにおこなわれる幼少期~小児期の股関節の使い方や運動が骨盤の成長を妨げるとされています。
内股にするような座り方や立ち方などが股関節の形成不全の原因。
お姉さん座り、トンビ座りなど
●臼蓋形成不全 遺伝(先天性?)
遺伝的要素もあり、顔かたちが似るように、骨格の形も似る傾向があるそうです。
原因がどうであれ、
形成不全が分かったのであれば、自分の状況を把握することが重要。
CE角がそれほど浅くなく、関節症が進行していないのであれば、筋力維持・体重管理・日常生活に注意することで一生持たせることは可能と言われています。
※股関節痛の約8割が臼蓋形成不全という調査結果が出ているのも事実。
保存治療を受けて、症状が改善しない場合は、手術を進められることが多いです。
CE角が明らかに少ない・関節症の進行が見られる場合、即、手術を進められることもあります。
変形性股関節症が進行していないにも関わらず、痛みが強くでることもあります。
股関節の臼蓋のかぶりが深い、または大腿骨頸部の出っ張った形状により、脚を深く曲げる、反復運動をすることで、股関節唇と大腿骨頸部がぶつかり、股関節唇が損傷を受ける股関節インピンジメント(FAI)という疾患があります。
構造的な問題がなかったとしても、臼蓋形成不全で股関節唇を損傷することもあります。
それ以外にも脚のつけ根に痛みが出る疾患があります。
いろいろな名称がありますが、
成人になる(骨の成長が終わる)と、
『変形性股関節症』という疾患名になります。
手術をして、新しい関節を手に入れた方も
手術をしないで、関節を維持する方も
日常の生活動作に気をつけて、
関節を大切にしていきましょう。