大学テキストや法律関係で有名な有斐閣のPR誌です。
宮本又郎氏の巻頭エッセイ「経済史・経営史の周辺」が興味深かったです。日本の歴史は人口変動の大きな波で4つに分けられ,政治・経済・文化の中心地がそのたびに東日本と西日本を行き来するという説を紹介しています。
大切なのは中心でなくなった地域から次の時代の新しい勢力が生まれてくるという点です。東京中心の現代ですが,次の時代はどこから興るのでしょうか。
竹内健蔵氏の連載「経済学で読み解く交通問題」,今回は「公共性」の問題を取り上げています。竹内氏は学生達による定義を紹介し,それらを論理的に斬っているのですが,同時に「公共性」のとらえ方が人によりあいまいであること,公共性をたてに反対するものをエゴと攻撃することの恐ろしさも指摘しています。
確かに新幹線や高速道路,空港の建設などでは国や自治体が公共性を主張し,反対する方は住民エゴとされてしまうこともあります。「公共性」は社会・経済・法律など,いろいろな角度から検討しなければならない問題だと思います。