あれからちょうど一年になります。前作が昨年の7月24日で今回が7月23日。通算8枚目のアルバム。「恋ロマンティック!!」からは毎年リリースしていることになります。早ければいいってものではないですが、だれに依頼されるでもなく、自分の意志だけでやっているわけですから、よほどのエネルギーなのでしょう。


 いまとなってはDJも昔のイメージと異なり、たくさんの人ができるようになりました。それだけ誤解されてしまうのですが、僕はDJ活動をして十数年になりますが、一番大切にしているのは、曲を作ることです。これが、DJをはじめるきっかけであり、DJをしている目的でもあります。自分の音、自分の音楽を作りたい。


 曲を作るというと大げさに聞こえるかもしれませんが、日記をつけるような感覚。日常を音で綴るというと少し格好がつきますが、鍵盤の上で探すのです、心にフィットする音を。言葉をのせたり、のせなかったり。カタチは様々ですが、どの曲も、僕と世の中の交わるところにあります。だから、曲は僕の日常でもあり、僕自身なのですが、それは時代や環境の影響を受けずにはいられません。ワインの味が風土によって異なるように。


そういう意味では、カラオケでたくさん歌ってもらえるように、といった商業的な尺度はありません。もっというと、人の心を潤したいと思ったこともありません。それはあくまで結果であって目的ではない。ただ、自分が作りたい音を作っているだけ。ただ、生きているだけ。人間にとっての自然がそうであるように。だから、プロ失格なのです。


 あれから一年といいましたが、単なる寄せ集めでいいのであればもっとハイペースになるでしょう。曲自体はたくさんあるので。でも、それでは自分が納得しない。何十曲もあるなかで、一枚に絞り込む作業。もちろん、ハードディスクのなかに眠っている曲もやまほどあります。季節感、流れ、全体のバランス。やはり、一枚のアルバムですから、映画のような作品にしたい。単なる寄せ集めにはしたくない。ここでDJ的感覚が顔を出します。クラブ系もあれば、アンビエントもあります。最初から最後まで聴いて、一つの作品。


今回も、夏を彩る一枚にしたいと思っています。どうも時期がこのあたりになってしまうのは、夏うまれだからでしょうか。みんなの夏を閉じ込めてもらいたい。やがて写真のアルバムのように、思い出を呼び起こすような。いつかは冬のアルバムもリリースしようと思っていますが。


いずれにしても、こうやって毎年リリースしているのは、僕という人間を知ってもらいたい気持ち、伝えたいという気持ちの表れでしょう。テレビ、ラジオでは表現できないところ。言葉だけではどうにもならないところ。そういった想いが詰まっているのだと思います。だから、ひとりでも多くの人に届けたい。


 詳細はまた追ってお伝えしますが。今回も、ゲストボーカルの方を迎えての楽曲がいくつかあります。快く承諾していただいたこと、非常に感謝しています。そして、夏には、恒例のイベントも行う予定です。その際にはぜひ、お越しいただきたいものです。さぁ、アルバム制作も佳境にはいってきました。みんなの夏に間に合うように、みんなのテノヒラに届くように。楽しみに待っていてください。