新年一発目。

今年は中小企業診断士としての活動をはじめ、またそれにとどまらず、公私ともども飛躍の年にしたいと思っています。なにとぞ、よろしくお願いします。



では、投資の話をはじめよう


中小企業診断士試験では、1次・2次試験ともに「投資の経済性計算」が頻出の出題範囲である。それは、中小企業にとって金額が大きく、かつ慎重な判断を要する設備投資を、経済性の観点から助言をするために必要な知識であった。


経済性計算を考える上で前提となる考え方は以下の5つである。


(1)資金調達にはコストがかかる

たとえば、借入金の利息、資本の配当

→そのため、投資から得られる収益は、資本コスト以上のリターンが必要。


資本コスト(r) = (利息+配当) ÷ 調達額



(2)現在の百万円は、将来の百万円よりも価値が高い

言い換えれば、将来の百万円には、百万円の価値がない。

これは、2つの意味から妥当であって、1つは、将来であればあるほど不確実性が増し「百万円得られるであろう」という事の真実性が薄らぐということ。2つ目は、現在の百万円を正の金利で運用した場合、将来には百万円以上の価値となっているからである(金利は、限りなくゼロに近くなるとしても負にはならない)。


1年後の価値 = 現在の価値+(現在の価値×r )

= 現在の価値×(1+r)



(3)収益は、会計上の利益ではなくフリーキャッシュフロー(FCF)で考える

設備投資がどれくらいのリターンをもたらしたかを判断するのは、会計上の利益ではなく、FCFで考える。これは、会計上の利益(税引き後当期純利益)をリターンとして考えた場合には、実際のキャッシュの動きを表すことができないからである。

特に設備投資の場合には、投資金額を毎期ごとに減価償却費として利益から控除することができるため、実際のリターンよりも税引き後当期純利益は少なく計上される。

また、追加投資を行った場合や、運転資金を増加させた場合など、実際にはキャッシュを使ったにも関わらず、それらは会計上の利益には反映されず、実際のリターンよりも多く計上されてしまう。


FCF = 営業利益×(1-税率)+減価償却費-(運転資金増加額+設備投資額)



これらの前提を踏まえて、中小企業診断士試験では、

DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法、割引現在価値法)を学習する。


これは、将来に得られるであろうFCFを、現在価値で計算し直し(「割り引く」と表現する)、その現在価値が投資金額を上回るとき、設備投資を実行する、というものである。


式にしてみると次のようになる。

現在価値 = 1年後のFCF÷(1+r)

リターンが2年後以降も得られる場合は、2年目のFCFを(1+r)の2乗で割ったものを上式に足せばいい。同様。3年目のFCFを(1+r)の3乗で割ったものを足せば、3年間のFCFの現在価値が算出できる。


現在価値>投資金額

であれば、投資を実行し、

現在価値<投資金額

であれば投資は実行しない、という判断が妥当となる。



以上、駆け足で投資の経済性計算について述べたが、このblogで書く本題はこれからである。


とはいえ、ここで初めてDCF法という言葉を目にした方には分かりにくかったかもしれない。そういう方は、ぜひこちら を参照されたし。。。




さてさて。


このDCF法は、理論的にはパーフェクトで間違いないなのだが、はっきり言って実務上は判断の拠り所としては全く使い物にならない



なぜかというと、


その前提に大きな瑕疵があるからである。


【瑕疵その1】

将来のキャッシュフローを正確に予測することなんて無理!




ま、それ1つだけでDCF法を全面的に信じることができないのはお分かりでしょうが、もう一つ付け加えるならば、



【瑕疵その2】

将来の資本コストを正確に予測することなんて無理!


資本コストは、金利との関係が強いので、将来時点での金利が分からなければ正確な資本コストの算出が困難になるというものです。



次は、そこら辺の投資判断の限界を考慮して、検討を深めることにしたい。


深海でした。