*芭猿でほのぼの甘かな?

*華武戦より後、埼玉選抜よりは前な感じ







部活が早めに終わった土曜日。

久しぶりに服でも買いたいなーって思ってよく服を買う店を覗いてみた。



でもなかなかコレ!って思えるものがなくて、やっぱ何も買わずに帰ろうかな、って思ってた時あるTシャツが目についた。

そのTシャツは薄いグレイに黒いサイコロが大きくプリントされていて、サイコロの下には"DICE"のロゴがあった。



まあまあお洒落だとは思うけど、オレが思わず手にとって見てしまったのはそれだけじゃなかった。



サイコロのプリントを見て思わずアイツを思い出しちゃったから。





そんなオレに店員が話しかけてきた。





「そのTシャツいいですよね!

実はこの秋の限定物で、凄く枚数が少ないんですよー」



「そうなんッスか…」



「だから人とかぶらないと思うしオススメです!お客様絶対似合いますよ!!

ただ何せ限定物ですから今出てる分しか在庫がないんですよねー。

なのでもし気に入って頂けたのでしたら今日ご購入された方がいいと思います!」





店員の営業トークに乗せられてオレはそのTシャツを買ってしまった。




もう一度言う。




オレがそのTシャツを買ったのは店員の営業トークのせいだ。

決して御柳を意識した訳じゃないからな!





***********





その次の日曜日は久しぶりに部活が休みだ。



だから子津っちゅー、スバガキ、音符くん、モミー、コゲ犬と遊びに行くことにした。


まぁいつものメンバーだよな。




さて服どうしようか。


折角だし昨日買ったTシャツ着てやろうか。


上はパーカーはおって、下はカーゴパンツ。それでいつもしている無地のベルト・・・




ってこないだそのベルト切れたんだった!ベルトって使いすぎるとヒビ入ってきて切れちゃうんだよな。


ここんとこずっと部活続きで制服とユニフォームとスウェットの着まわしだったから忘れてたぜ。




えーっと他のベルトは・・・と






げ。






唐草模様のベルトが出てきた。




これは御柳から(半ば無理やりに)プレゼントされたものだった。




「天国にもオレの好きな唐草模様身につけてほしいんだよ。


ベルトとかなら合わせやすいっしょ?」




とかわけわかんねーこと言い出して、押し付けられたんだけどまだオレはつけたことがなかった。




あーでもこのTシャツにこのベルトってめちゃくちゃ御柳っぽいじゃねーか!


でも他のベルトまじでどこ行ったかわかんねぇ!最近服ちゃんと整理してなかったからな・・・。






っていうかそろそろ時間やばくね!?


仕方ないからこの唐草模様のベルトつけるか・・・。




別に今日アイツと会うわけじゃねーしいっか・・・。








***********






集合時間にはギリギリ間に合った。


といってもオレ以外の奴は全員来てた後だったけど。






「猿野くんその服いいっすねー」




と子津っちゅーが言ってくれた。司馬も頷いている。




「当たり前だっての!何せオレはファッションリーダーSARUNO様だからな!!」




なんて言いながらも心の中では




今日の服客観的に見てもオシャレなんだ。よかった・・・。




なんてホッとしていたりする。






「いやセンス悪いだろ」




まぁコゲ犬は相変わらずむかつくこと言いやがるんだけどな。




「なんだと!?オメーこそそのTシャツこないだ着てたのと一緒じゃねーか!?」




「これはたまたまだ、馬鹿!


とりあえず特にそのTシャツとベルトはダサすぎる」




あ。




やっぱこいつにはこの服御柳を連想させちまうんだ。


だから不快に感じてるんだ。




「・・・まぁそこまで言うならパーカーの前閉めとくけどよ!」




オレが着ていたパーカーは長めの丈だったので前を閉めたらTシャツもベルトも隠れた。




「ああ。そっちの方がマシだ」




「えぇー?ボクは前開けてTシャツのプリント見せた方がいいと思うけど?」




ってスバガキが言ってたけど無視した。



「全員揃いましたしそろそろ行きませんか?」

というたっつんの一言でやっとオレ達は出発した。



向かった先は服屋やスポーツ用品店やCDショップなど色々入っているショッピングセンター。
ゲームコーナーもあるし、遊びに行く時はここに行くことが多い。


司馬が買いたいCDあるみたいだったから、オレ達はまず1階のCDショップへ行った。
このCDショップはこの辺りでもかなり大きな方で、品揃えも良く試聴コーナーも多い。
しばらく思い思いCDを見て回ることにした。


オレは特に欲しいものがなかったから適当に試聴することにした。



試聴しながら店内を見渡してみる




と思わずオレは固まってしまった。


だってオレがいる試聴コーナーから少し離れた場所に



御柳がいたから。



ちょ、何でいるんだよ!?
いや、いてもおかしくないか。このCDショップでかいからな。


向こうは一人のようで、まだオレには気づいていないようだった。

そうこうしてるうち犬ッコロも御柳に気づいて絡みに行った。
声が聞こえなくても分かる険悪なムード。
それをあたふたしながら止めようとしているたっつん。
あいつも苦労してるよな。


まあそれは置いといて。
御柳はまだオレに気づいていない。
そしてオレは今日はなんとなく御柳には会いたくない。


というわけで。
オレはこっそりCDショップを抜け出し逃げ出すことにした。



***********


オレはショッピングセンターの中を無我夢中で走った。

気がつくと最上階のゲームコーナーまで来ていた。
さすがに疲れた。


「あちー・・・」


オレは暑かったのでパーカーを脱いで長椅子に腰かけた。
ついでに喉も乾いたのでオレンジジュースを買って飲むことにした。


UFOキャッチャーで遊んでいる子供たちをぼんやり眺めながら、今頃皆はオレのこと探してるのかな、って思った。

その時タイミング良く携帯が震えた。

表示を見ると"犬飼 冥"の文字。

オレに電話してくるってことは御柳とは別れたのか・・・?

なんとなく出る気分になれず、放置した。
後で折り返せばいいだろう。
うん。このオレンジジュースを飲み干したら折り返そう。


「天国みーつけた♪」

いきなりそう声をかけられて、オレは思わずオレンジジュースを吹き出しそうになった。


だってオレの隣に気がついたら御柳がいたから。

「なんでここが分かったんだよ!?」


「勘」


そういやコイツはむちゃくちゃ勘がいいらしいよな。


そういや御柳の私服は初めて見た。

グレイの無地のカットソーに唐草模様のストールを合わせている。

下はスキニ―をブーツインしている。

男のオレから見てもかっこいいと思う。ほんとむかつく。


「あ、それオレがあげたベルトじゃん!使ってくれたんだー」


オレがつけているベルトを見て嬉しそうに言っている。だからつけるの嫌だったんだって!



「オレも今ストール唐草模様だしおそろいだな♪」


「たまたまだけどな!」


「しかもそのTシャツサイコロのプリントだし、今日の天国の服ってオレ意識っしょ!?」



あー!!ついにTシャツつっこまれたし。

本人に言われるとほんと恥ずかしくなるからやめてほしい。


「これは純粋にオシャレだと思ったから買っただけだ!それ以上でもそれ以下でもねえ!!」


だからついムキになってそう言った。


「ふーん」


「・・・何だよ」


「まぁオレの今日の服は天国意識したけどな」


「は?」


今日の御柳の服装のどこにオレの要素があるんだよ。


そう思って改めて御柳の格好を眺めてみて、あることに気付いた。


御柳が着ていたカットソーは、無地だと思ってたけど裾の方に小さく"36"のロゴが入っていた。


「もしかして・・・」


「そ。たまたまよく買ってる店でこの服見つけたんだけど、マジでこれは買うしかないっしょ!?って思った。

36(猿)のロゴを見るたびお前思い出すし。

でかく入ってるんじゃなくて、さり気ないとこもオシャレで好きなんだよな」


あーもうなんでこいつはこんな恥ずかしいこと平気で言えるんだろ。


そんなことを考えてたらまた携帯が鳴った。

今度は子津っちゅーからだった。


出ようか迷っていたら、御柳に携帯を奪われた。

御柳はあろうことか通話ボタンを押して電話に出た。


「もしもし?悪いけど今から天国はオレと遊ぶから」


しかも一方的にそう言って電話を切りやがった。


「ちょっと待てよ!お前何勝手に・・・」


「まぁそういうことなんで。それともオレと遊ぶのは嫌?」



この聞き方はずるいと思う。

だって嫌かどうって聞かれたら、嫌ではないから。



「・・・しゃーなしだぞ」


「そうこないとな!」



渋々を装ってたけど、コイツと過ごす日曜日のこれからに期待していた自分がいた。






END








*********************


(あとがき)


予想以上に長くなった!そして予想以上にグダった!!\(^o^)/

芭唐と猿野の私服についてはこのイラストこのイラスト なイメージ。

可愛い猿野さん書きたかったけど可愛くできたかはよくわからない。


芭猿以外の私服の描写はしなかったけど十ニ支一年では司馬くんがオシャレさんだと思う。

犬飼はセンスはまぁまぁいいけどバリエーションは少ないイメージ(失礼)


タイトルの「唐草SUNDAY」ってのはてきとーです←