月に何度か必ず届く母からの便り。
郵便ハガキの両面にびっしりと
小さな文字で近況がしたためてある。

私が進学のために京都に来てからだから、
いったい何年経ったのだろう。
独身時代も嫁いでからも途切れることなく届く、母の声。
私と弟のそれぞれに届けられるこのハガキは、
母から私たち姉弟へのコミュニケーションツール。
メールでもLINEでもないアナログ版だ。

でも、このアナログなハガキが、結構じんわりと心に響く。
それはきっと勤勉な母が日々を大切に、懸命に生きる姿が
何気なく書き連ねた日常の断片に見て取れるからだと思う。

今日のハガキにはこうあった。

「市の会報に月3回のギター教室があると書かれていました。
仕事も近ごろは暇なので受けてみようかと思うのですが、
あなたはどう思いますか?」

それは、母が月に一度通っている音楽ボランティアに
役立つのではないか、という考えからだった。

母を見ていると真面目という言葉は、この人のためにあるのだと
いつもしみじみ思う。
いくつになっても勉強、いくつになっても努力。
ちっちゃな母のその内に、いったいどれだけの情熱とパワーが
秘められているのか。
私はいつも我が母の不思議を思う。

尊敬する人物は誰ですか?と問われたら、
間髪入れず「母です」と応えるだろうな、と、
ハガキを読みながらふと思った。
うん、間違いない。
私にとって母は、追いつけそうで追いつけない、
努力の人、なのだ。

季節がいいうちにまた、母を誘って旅に出よう。
きっとまた、旅先でケンカをするのだろうけど(笑)