やはりCMXもつまづいた?「第七の封印」
【5月2日追記】※アマゾンの出版日リストの日付が誤っていたので訂正しました。
先月16日発売のプリンセスGOLD(秋田書店)で、エロイカの新シリーズ「聖ヨハネの帰還」が
始まったが、青池氏の公式サイトや掲示板などを見る限り、
ファンの反応は意外にも静かである。
先日、某オークションサイトで昔のプリンセスの
全員プレゼント景品「108ピース ジグゾーバズル」が
ほんの1,300円で落札されたこともやや驚きだった(自分としては3,000円代程度を見込んでいた)。
そんなこともタイミング的に相まって、
今現在のエロイカファンの熱は全体的に落ち着いている印象を受けた。
エロイカの前回の連載からは2年のブランクがあるし、
新連載が始まったことを知らないファンもいるだろう。
私の個人運営している別サイトも同じようなものだ。
システム入れ替えなどの関係もあって半年以上更新らしい更新をしなかったら、
アクセス数もページランクも下がった。
「ああ、今は動いてないんだ」と思って一度離れたファンすべてが「再開」を
知って舞い戻ってくるまでには、ある程度の時間が必要である。
「第七の封印」で出版サイクルが変わってしまった英語版エロイカ
CMX Manga Webサイトトップページ 。
「クレヨンしんちゃん(臼井儀人/双葉社)」
「ゴーゴーヘブン(山田 圭子/秋田書店)」
「世界でいちばん大嫌い(日高 万里/花とゆめ)」
などが見られる。
ハリウッド映画会社ワーナー・ブラザーズ傘下の「Dc Comic」---- スーパーマン、バッドマンといったアメコミヒーローを抱えるアメリカの漫画出版会社である。
その「DC Comic」内に属する、
日本のマンガ出版部門「CMX MANGA」。
ここが青池保子著「エロイカより愛をこめて」の英語版のライセンスを持つ「From Eroica With Love」シリーズの出版元である。
さてこのCMX出版の「エロイカ」シリーズ、2004年の初出版以来、おおよそ3~4ヶ月のサイクルで英語版エロイカを出版し続けてきた。
2009年5月現在、13巻まで出版済みだ。
ではその待たれる次の14巻はいつ発売なのか…?
英語版エロイカを追っている方はすでにお気づきかと思うが、
実はこれまで発行してきた13巻と、これから出る予定の14巻の出版サイクルが、
いきなり変わってしまっているのである。
オンラインブックストアのAmazon Japanで「From Eroica with Love」発売日 を確認すると一目瞭然だ。
1巻:出版日: 2004/11/1
2巻:出版日: 2005/2/1
3巻:出版日: 2005/5/1
4巻:出版日: 2005/8/1
5巻:出版日: 2005/11/1
6巻:出版日: 2006/2/8
7巻:出版日: 2006/9/13
8巻:出版日: 2007/1/10
9巻:出版日: 2007/5/2
10巻:出版日: 2007/9/12
11巻:出版日: 2007/12/12
12巻:出版日: 2008/3/12
13巻:出版日: 2008/7/1
14巻:出版日: 2009/7/21
15巻:出版日: 2009/11/17(2008年10月時点)→ 2010/3/16 (09/04/30現在)
それでは、その13巻と発売が待たれる次の14巻にまたがっているストーリーはいったい何か?
そう、あの「第七の封印」なのである。
(※「あの」とわざわざつけた理由をご存知ない方は、ぜひ
過去のエントリー『海外エロイカファンが「第七の封印」をさけた理由 』を参照のこと。)
KGBに拉致されたコンピューター技師と「ブラックボックス」を追い、囮とは知らずにノルウェーの
モーラまでやってくるエーベルバッハ少佐は、KGBの「仔熊のミーシャ」にサウナに
閉じ込められ、救助されるがそのままぶっ倒れてしまう。
……というころで13巻が終わっている。
次の14巻では、本物の「ブラックボックス」が向ったギリシャのアテネが舞台になり、
あの“地中海タヌキ”「ヘラクレス」と彼の女たちが登場するシーンが待っている。
以前の記事「海外エロイカファンが『第七の封印』をさけた理由 」では、
「第七の封印」は海外ファンにとって特殊な作品 であり、
北米ではエロイカを「YAOI」のジャンルで売り出している ことを書いた。
そんじゃ英語版では14巻はど~んな展開で訳するの?
CMXはYAOIマンガのエロイカをこれからどういう風に売って行くの?
マーケティングの方向性を変えるの?
YAOI好きで集まってきたファンの反応って……!?
……とドキマギウォッチングしていたところで、見事に出版日が1年延期されたのだ。
まさかこんな分かりやすいことになるとは…。
14巻の発売を延期したCMXの理由(いいわけ)
では、CMX側の出版延期の“理由”を見てみよう。
CMX専用の掲示板「DC Comics Message Boards 」の「CMX Manga」カテゴリーに、
エロイカ14巻の発売延期について、ファンが質問しているスレッドがあったので訳してみた。
http://dcboards.warnerbros.com/web/thread.jspa?threadID=2000166968&tstart=0
- 質問:エロイカは終わってしまったんですか?
- 投稿:2008年9月20日 by XXX
- こんにちは。「エロイカより愛を込めて」シリーズに夢中になっています。
何よりもCMXの編集や翻訳の方々が懸命に作ってくださってる事が嬉しいんです。
だからこそ、14巻の発行が延期されることを知って、
エロイカシリーズがそのまま消えてしまいそうですごく心配です。
このシリーズは出版しなくなってしまったんですか?
そうでないと思いたいのですが、もし中止になったとしても、
せめてこの話(※訳注:「第七の封印」)を完結するところまでは出していただけませんか?
13巻では、クラウスがKGBにサウナに閉じ込められて気絶してしまうところで終わっています。エロイカの話はこの後も続いているので、彼がその後助かることは分かっていますが、それでも結末が未完のこんな宙ぶらりん状態で(出版が)終わってしまうのはとてもつらいです。
14巻が出版されるのかどうなのか、どなたかご存知の方は教えてください。- Re:エロイカは終わってしまったんですか?
- 投稿:2008年10月9日 by fromcmxwithlove
- こんにちは XXXさん
「From Eroica With Love」をお読みいただきありがとうございます!
CMXでは、常に新しい翻訳・出版作品を追加・発売し続けており、
時折、発売予定の調整が必要になってくることがあります。
そのためにすでに出版中の「From Eroica With Love」のような
長編作品などは発売の間隔を開けざるを得ない場合もあります。
でもこの作品は今後も出版しつづけますので、どうかガッカリしないで!
エロイカの次の単行本は2009年の夏を予定しています。
お待ちの間、ぜひCMXの他のマンガをご覧になってみてはいかがでしょうか。
「On Sale」のタブをクリックすれば現在出版中の作品リストをご確認いただけます。
私たちのオススメで気に入られた作品がありましたら、
ぜひこのメッセージボードにコメントしてくださいね!
CMXより愛をこめてRe:エロイカは終わってしまったんですか? 投稿:2009年1月19日 by △△△ ちょっと、7月って? 年に1回の発行になっちゃうの?
もしそうなら葬式気分だわ!Re:エロイカは終わってしまったんですか? 投稿:2009年2月19日 by ○○○ ご心配なく、14巻は現在生産中です。
前の投稿にも書いたように、今年の夏に出されます。
発売日は現在2009年7/15を予定しています。
© DC Comics Message Boards » CMX Manga より
http://dcboards.warnerbros.com/web/thread.jspa?threadID=2000166968&tstart=0
CMXの14巻延期の理由とは
「他の作品との兼ね合いによるスケジュール調整」ということだ。
沢山のタイトルを翻訳・出版する中で、長編ものは優先順位が下がって
スケジュールを遅らせるなどの対象になる場合がある、ということらしい。
なるほど、そうった事情も実際にはあるのだろう。
しかし、なぜあの話のタイミングでなのだろうか。
しかもその上、である。
その次の15巻の出版予定を見ると、
半年前の2008年10月時点では14巻出版の4ヶ月後の2009/11/17だったのが、
今年に入って8ヶ月後の2010/3/16に延期されている。
上記掲示板の投稿レスにあったようにほぼ1年に1冊のペースと化しつつある。
おそらく14巻を発行した後、その売れ行きや読者の反応を見ながら、
ウリの方向性を調整するための期間とも考えられるだろう。
やはりその“スケジュール調整”の中には、
「マーケティング方向性の検討」も含まれている可能性は否めない。
* * * *
さて、さて、いったい全体どんな展開なるのか興味のつきない14巻発売。
…といいつつも、すでに表紙絵は決定されている。…ということは、ちゃんと出版するんだね。
最後にその予定の表紙絵をながめつつ、ドキマギ発売を待とうじゃあないか。
青枠部分:CMXによる英語版14巻表紙 (「From Eroica with Love」©Aoike Yasuko, CMX)
北半球の北米から真夏に出版される本の表紙が白い雪景色だよ!? 涼しいねえ!!
始めは日本語のプリンセスコミックスの表紙と絵を合わせていたけれど、
英語版8巻あたりから独自のセレクションによる絵を使うようになってきたCMX。
面白いね。
やっぱり海外のエロイカ市場の動向には目が離せません。
関連リンク
海外エロイカファンが「第七の封印」をさけた理由