キャント・ハイド・ラブ:カーメン・マクレイ | かえるの音楽堂

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088-Cant Hide Love













CAN’T HIDE LOVE : CARMEN McRAE
(1976年)
 カーメン・マクレイは、エラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンと並ぶ大御所ジャズ歌手の1人として長く活躍し、この3人を「ジャズボーカルの御三家」と呼びました。日本ではこの「何とかの御三家」といった言い方が好きで、色々な分野で御三家がいます。それはともかく、この三人のなかでもカーメンは少し地味な存在と見られることが多いです。しかしながら1950年代から1990年代に掛け多くのアルバムを発表しており、その中には1958年録音の「BOOK OF BALLADS(ブック・オブ・バラーズ)」のような名盤を残しており、その実績は決してエラやサラに引けをとりません。「BOOK OF BALLADS(ブック・オブ・バラーズ)」はそのタイトルの通り、バラードを集めて歌っており、多くの曲がストリングス・オーケストラをバックにしっとりと歌っています。スキャットも大胆なアドリブもなく本当にストレートに歌ったアルバムですが、カーメンの代表作の一つと言える作品でした。そしてカーメンが1976年にBlue Noteに残したアルバム「CAN’T HIDE LOVE(キャント・ハイド・ラブ)」は、バックにフュージョン界のスターを従え、ジャズだけでなくR&Bやポップの楽曲を取り上げています。参加ミュージシャンは、ラリー・カールトン(g)、ジョー・サンプル(keyb)、ウィルトン・フェルダー(b)、デイブ・グルーシン(keyb)、ハーヴィー・メイソン(ds)、アーニー・ワッツ(sax)、ブルー・ミッチェル(tp)他と当時のクルセダースのメンバー3人を含め売れっ子フュージョン・ミュージシャンがバックを固めています。

01.CAN’T HIDE LOVE(キャント・ハイド・ラブ)
02.THE MAN I LOVE(ザ・マン・アイ・ラヴ)」
03.ONLY WOMEN BLEED(オンリー・ウィメン・ブリード)」
04.I WISH YOU WELL(アイ・ウィッシュ・ユー・ウェル)」
05.ALL BY MYSELF(オール・バイ・マイセルフ)」
06.MUSIC(ミュージック)」
07.LOST UP IN LOVING YOU(ロスト・アップ・イン・ラヴィング・ユー)」
08.YOU’RE EVERYTHING(ユーア・エヴリシング)
09.WOULD YOU BELIEVE(ウッド・ユー・ビリーヴ)」
10.A CHILD IS BORN(ア・チャイルド・イズ・ボーン)」

 1曲目「CAN’T HIDE LOVE(キャント・ハイド・ラブ)」はアルバム・タイトル曲で、“アース・ウィンド&ファイアー”76年のヒット作です。これはアース・ウィンド&ファイアー好きには堪らないですね。このアルバムの中でも一押しです。ちょっと野太い声質で力強く歌っています。2曲目「THE MAN I LOVE(ザ・マン・アイ・ラヴ)」は、ジョージ・ガーシュイン作曲のスタンダード・ナンバーです。バラードをしっとり歌います。3曲目「ONLY WOMEN BLEED(オンリー・ウィメン・ブリード)」はロックシンガー、アリス・クーパーの75年のヒット曲です。バックでラリーのブルージーなバッキングが聴けます。4曲目「I WISH YOU WELL(アイ・ウィッシュ・ユー・ウェル)」はソウル・シンガー、ビル・ウィザースの76年の曲です。5曲目「ALL BY MYSELF(オール・バイ・マイセルフ)」は、エリック・カルメン作曲で、76年全米2位となったバラード曲です。カーメンのバラード歌唱は定評がありますが、ここでも素晴らしい歌声を聴かせてくれます。バックの演奏も含め本当に感動的です。6曲目「MUSIC(ミュージック)」はシンガー・ソング・ライター、ジェームズ・テイラーの名曲です。7曲目「LOST UP IN LOVING YOU(ロスト・アップ・イン・ラヴィング・ユー)」AORのシンガー・ソング・ライター、ケニー・ランキンの75年の作品です。カーメンはスローなナンバーをしっとりと歌っています。こういった曲がカーメンの真骨頂ですね。8曲目「YOU’RE EVERYTHING(ユーア・エヴリシング)はチック・コリア作のジャズ曲です。9曲目「WOULD YOU BELIEVE(ウッド・ユー・ビリーヴ)」は、サイ・コールマン作のスタンダード曲です。10曲目「A CHILD IS BORN(ア・チャイルド・イズ・ボーン)」はトランペッター、サド・ジョーンズの曲です。ソウルからポップス、スタンダードまでバラエティな選曲のなか、カーメンの幅広い表現力と、完璧な節回し、そして参加しているミュージシャン達の素晴らしいバッキングと、この作品も素晴らしい名盤と言えます。