煮物の基本 | たっくのブログ

煮物の基本

こんにちは。今日のブログは煮物の基本です。

「煮物」というのはどの家庭でも作られている料理です。
母の味、妻の味、自分の味、お店の味、それぞれありますね。
そもそもどうして人によって味付けが異なるのでしょうか?

入れている野菜や使っている調味料はそれほど違いがないのに、どうしても同じ味にならない。と思う方も少なくありません。もしくは日々、味が違う。という方もいるでしょう。


和食の世界で言われている煮物の基本があります。
それは「八方地(はっぽうじ)」といわれるもので、
だし汁8醤油1みりん1で煮物は美味しくなると考えられています。
この割合を覚えておけばどんな煮物料理にも対応できることから「八方」とも言われているそうですが、どうでしょうか?みなさん。
できますか?


あ、そうなの?簡単じゃ~ん!
と思いますでしょ。簡単ですよねこれを聞くと。
ではやってみましょう、と実際やってみるとどうでしょうか。

んん…なんか違う…
ほんとかな。
これでいいのかな
今までの煮物と全然味付けが違うんだけど…
大丈夫かな…

この基本をそのままやると
必ずそう思います。
そうです。なんか今までと味付けが違ってしまうのです。
母の味、妻の味、自分の味、お店の味、どれにも当てはまらないような薄いような、濃いような、そんな複雑な心境になります。しかし基本は基本だし…と迷宮入りしてしまう方も少なくありません。


こういった味のバランスをレシピ本や口頭で教えるのはとても難しいことです。
基本は基本でありますが、料理というのはほとんどが応用で成り立っているようなものなのです。
普段自分たちが食べている料理はほとんどが基本を踏まえた応用の料理なのです。
ですから、あらためて基本に戻ると、感覚的に何か物足りなく感じてしまいます。
今の私たちの舌は、そういった意味では鈍感になり、無感覚に近いくらい痺れています。


味の感覚を戻すのはそう容易いことではありません。
今まで好き好んで食べてきた料理を一度見直さなければならないからです。


しかし、私は一つ方法を見つけました。
味の感覚を蘇らせる方法です。

それは「味の記憶」です。
自分が持っている記憶を蘇らせることです。
自分が食べた最も記憶のある煮物料理を思い出してみてください。
それは美味しかったですか?まずかったですか?
どんな味でしたか?
色はどんな色でしたか?
何が入っていましたか?
匂いはどうですか?


こうして思い出していくことにより、体に染みた味付けが少しだけ蘇ります。
蘇らせたあと、自分で作ってみましょう。
その味に近づけるのです。
例えば、色が薄い煮物であれば薄口醤油を使っていたかもしれません。もしかすると白だしを使っていたかもしれません。甘い味付けはみりんだけではなく、砂糖も使っていたかもしれません。濃口醤油も入れていたのかもしれません。だし汁からカツオの香りがしましたか?昆布の香りがしましたか?それともだしの素の味がしましたか?


自分がこれまで作ってきた煮物に対する概念を一度忘れましょう。
出汁は必ず取らなきゃダメだとか、砂糖を入れると太るだとか、余計なことは一度忘れるのです。
とにかく自分が思い出す煮物の味に極力近づけることだけに集中しましょう。


もし、ここで思い出さないのであれば、その味をもう一度食べましょう。
もしくは自分が好きなお店の煮物を食べましょう。
その味をしっかり体に染み込ませ、自分で近づけてみるのです。
それがあなたの基本になります。

あなたが持つ本当の基本なのです。
それを覚えると自然と応用ができてきます。
こういったのが良い、これにはこうしたい、など勝手に応用に行きます。


こういったことはすべての料理の基本になるお話です。
日々の食事をそういった気持ちで味わえば体は記憶します。
記憶したことは忘れません。
しかし、向き合う、受け入れるをきちんと出来ていなければ、記憶は端っこの方へ追いやられます。無いものとされます。もしあなたが美味しい煮物料理を作りたければ一度試してみてください。


毎日食べる食事を楽しく美味しく過ごしましょう。