世界ふしぎ発見でマレーシア特集。 | アジアご飯、とくにマレーシアご飯、時々つぶやき

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2005年から2009年までの4年間、常夏のマレーシアで暮らしていました。2年過ぎた今でも、日本食は「ハレ」の料理でちょっぴりよそよそしく、アジア飯のほうが「ケ=日常」のご飯で、ホッとします。私にとっての食とは、味わいながら、みんなとつながることです。

先週土曜に放映された「世界ふしぎ発見」で、マレーシアが特集されました。

ずっとテンションあがりっぱなし。この不景気の時代で、よくお金をかけて、よく情報収集し、よく取材されてるなぁと感じました。たった1時間の番組で、マラッカ王族、ニョニャ文化、燕の巣、マレー系結婚式、ランカウイリゾート、ナマコ石鹸、ヒンドゥー教徒のお祭り、リタイア後のセカンドホーム、エアアジアの格安航空まで、うまくつなげて編集してるんですもの。すごい。

さて、ふしぎ発見で特集されていた、ヒンドゥー教徒のお祭りタイプーサム。マレーシア滞在中に見に行ったので、ご紹介。このお祭り、本国であるインドでは危険すぎると中止されているのですが、マレーシアではクアラルンプールとペナンの2か所で公然と行われています。

舞台はバトゥケイブ。クアラルンプール市内から車で30分ほどのヒンドゥー教徒の聖地です。黄金に輝いている像は、シバ神の息子でガネーシャの弟である、ムルガイ神。
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神さまが飾られている洞窟に続く階段は272段(左奥に見える場所)。急だし、1段1段の高さがまちまちで、かなり疲れます。

これがカバディとよばれる山車。
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チェーンのフックが生身の背中にひっかけられています。

頭の上に運んでいるのは、ミルクの壺。
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このミルクは階段を上り、ヒンドゥー教の神にささげるもの。みんな裸足。

背中にひっかけているのはライム。
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赤ちゃんの頭が黄色なのはターメリックの粉。
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普段口にしているミルク、ライム、ターメリックは、神さまと深いつながりがあるんですね。

このタイプーサム、写真やテレビで見ると猛烈に痛そうで怖いのだけど、実際にこの場にじぶんがいるとすごく自然なんです。これ、ほんと不思議。背中に針が突き刺さっていたり、唇に巨大ピアスのようなものがついていたり、頬を鉄の小さな棒が貫通していたりするのだけど、それが痛そうにみえない。

あきらかに普段とは違う空気なんです。
磁場が違う、というような感じ。

濃厚に漂うお香の匂い、噛みタバコのようにくちゃくちゃされる葉っぱ。これらに人々をトリップさせたり、空気を変えたりする効能があるみたいで、見てる方も、歩いている方も、平然と、淡々としています。

ここからは聞いた話しなのですが、
洞窟で神に捧げものをした時点で、ヒンドゥーのお坊さんが人々のトリップを解くらしいんです。たいてい手をたたいたり、背中をたたいたり、名前を呼んだりすれば我にかえるのに、ある男性が、なかなか返ってこない。名前を呼んでも、背中をたたいても、ゆらゆらといつまでも揺れている。

するとひとりの人がこう叫んだ。「おい、あいつの携帯に誰か電話をしてくれ!」「おっ、分かった!オレがやる!」。

そして、彼の携帯電話のメロディが鳴った。
ピロピロリン。
すると、彼はハッと我に返って、携帯電話の通話ボタンを押して「ハロー!」と答えたとか。

携帯の電波が現世にもどるため信号になったというのが、なんとも不思議な逸話でありました。

さて、このバトルケイブ、階段を上らなくていいように2012年にロープウェイを開設する予定があるらしい。そうなったら、タイプーサムのお祭りはどうなっちゃうんだろう。すこし心配。