漆黒の暗闇 | アジアご飯、とくにマレーシアご飯、時々つぶやき

アジアご飯、とくにマレーシアご飯、時々つぶやき

2005年から2009年までの4年間、常夏のマレーシアで暮らしていました。2年過ぎた今でも、日本食は「ハレ」の料理でちょっぴりよそよそしく、アジア飯のほうが「ケ=日常」のご飯で、ホッとします。私にとっての食とは、味わいながら、みんなとつながることです。

先週末、ランカウイ島でマングローブ林のなかをカヤックでめぐるツアーに参加した。スタートは15時。終了は22時の夜のツアーだった。

 

あぁ…本当に、すっごく、すっごくよかった。街頭ひとつない、自然の闇が体をしっとりと包んでくれた。それがとっても気持ちよかった。

 

わたしは夜が好きなんだなぁとしみじみ思う。ピカーンと晴れた空を見上げていると、新しいこと始めなきゃ!と前向きな気持ちになるけど、闇夜に浮かび上がる真黒な山の影を見ていると、お母さんのお腹の中に座っていた頃のような、やさしくて、いとおしい気持ちを思い出す。そして、暗闇の自然のなかに身を委ねていると、愛する人の腕のなかに包まれたような、このまま時が止まって欲しくて、泣きたくなるような気持ちになる。

 

空を見上げると、プラネタリウムよりも美しいキラキラ光る星。流れ星も見えた。そして、両側にマングローブ林の生える川に目をこらせば、水中でキラキラと光る夜光虫が輝いている。ボートの走る水しぶきの中で、キラキラとまたたく光。それはまるで空の星が降ってきたような神秘的で、強い美しさ。

 

自然の美しさは、果てしない。ひっそりとたたずんでいるのに、圧倒的な美しさを携えている。そして自然の黒は、心をぎゅっと包む、やさしい色だった。