今日は前回の続きの“固定資産税”についてです。

 

所得税、法人税、相続税等の節税対策は様々あるでしょう。

しかし、固定資産税を安くする方法はごく僅か。

 

数少ない対策をして使える特例としては

『住宅用地の特例』。

住宅用地で住宅1戸につき200㎡までは固定資産税評価額が16

最近話題の空き家問題もこの特例がポイントでした。

取壊すとこの特例はなし。皆この恐怖から逃れる為に空き家で放置でした。

 

実はこの特例を行政のミスで受けられず、重い税金に苦しみ滞納。

その後自宅を失った方がいるのはご存じでしょうか?

 

2014年、埼玉県新座市の一戸建ての住宅に対し、27年間にもわたり

固定資産税を過徴収。理由は住宅用地の特例の不適用。

何故か??

 

実はこの夫婦。家を買った翌年に土地を買った稀なケース。

翌年に土地のみ登記をし、行政側は家の存在を知りません。

業者が分譲して売り出す前の事業用地のまま登記したのです。

課税明細書の「地目」の欄は、「非住宅」となっていたのです。

 

本来4万円台の固定資産税が、11万円超の請求。

自営業であったため、事業の借金や住宅ローンもあり返済に困窮。

他の税金も含めると何と約880万円の滞納額に。

内、固定資産税の額は延滞金も含め約320万だったそうです。

しかも年14.6%の延滞金がかなり重い。

320万円の内、約233万円が延滞金でした。

 

そして新座市が公売をしました。

 

しかし購入した不動産業者が固定資産税の重さを不審に思い、

調べたところ過徴収が判明したそうです。

 

でもこの夫婦。すでに家を奪われ民間のアパート暮らしに。

なんとも可哀想な話です。

 

新座市は謝罪。しかし納得いかない点も。

国家賠償請求をしても時効は20年。

27年間の過徴収にも関わらず、返還したのは20年分のみ。

行政側の一方的なミスでも民法どおり

不法行為による賠償請求権の時効は20年。

なかには44年間過徴収の方もいたそうですが、

やっぱり20年分のみの返還。

 

人生を奪われたこの夫婦。しかし返還額はたったの240万円程。

 

「宅地」か「非住宅」か。

現地調査をしていれば防げたミスでしょう。

しかし人手不足で空撮調査です。前年と変化なければミスに気付きません。

 

やはり、頼れるのは己のみ。

 

 

緒方 渉