先日のザ・データマン「サッカー日本代表」の番組について、マニアックなテーマで期待してましたが、中身はちょっと物足りなさを感じざるを得なかったというのが正直な感想です。
今回の番組の骨子をまとめると、
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日本代表はW杯連続出場してて、選手も海外クラブで活躍してるし、日本マジ強ぇ!
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長友とか走りまくりだし、走れるから日本人強ぇんじゃね?
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何か、南アフリカW杯の国別平均走行距離を調べたら、日本がまさかの世界ベスト10だったわ!これ凄すぎ!あとスタミナ調べるのに最大酸素摂取量っていう測定値があるらしく、これが日本の強さの秘密っぽい!
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でも筑波のマラソン先生に聞いたら、サッカーは最大酸素摂取量だけじゃダメらしいよ、それだけ最優先に追求したら使えない選手になる。サッカーは瞬発力やパワーも大事なんだって
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ところで、背が低い選手にテクニック凄い人が多くね?小さい日本人はテクニック良くね?
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そんで別の筑波のサッカー先生に聞いたら、やっぱ小さいとテクニック上手くなりやすいらしいよ。あと体幹鍛えると、そういうアジリティとかテクニック上がるらしいよ!
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だから長友のトレーナーに体幹トレ教えてもらったら、たった2週間で俺アジリティ超上がったんだけど☆
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あと遺伝子も調べてみたら、東大の筋肉先生がACTN3遺伝子っていうの教えてくれたよ。それだと人間は持久系と瞬発系とバランス系の3つに分かれるらしいよ。そんで日本人は持久系の人の割合が30%ぐらい、欧米人の持久系は15%ぐらいらしい。
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さらに立教のサッカー先生に聞いたら、やっぱ持久力だけじゃサッカーはダメで、瞬発力のある持久力(ハイ・インテンシティ・アクティビティ持久力)が大事らしい。そんでその瞬発力ある持久力を鍛えるトレーニングがあって、ヨーヨーテストっていうトレーニングらしい
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だから筑波大サッカー部に行ってヨーヨーテストやってみたらバテバテだったよ。筑波のサッカー部の人たちすげー走ってて、このタイプの持久力は日本代表くらいあるって
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でも筑波のレギュラー陣の遺伝子を調べたら、瞬発力系の遺伝子ばっかりなんだって
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やっぱ、サッカーは瞬発力も持久力も両方大事ってことなんだね!
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ざっくりこういう話の流れ。
番組ストーリーは論文チックにまとめられてましたが、今回わざわざ専門家5人にインタビューを行ったにも関わらず、各テーマの掘り下げ方がずいぶん浅かった印象を受けました。
確かに体幹トレーニングが重要なのはもちろんですが、番組で言われているほどの万能性があるわけじゃないんですよね。「大きい相手と競り合うのには、体幹を強化するだけで十分パーフェクト」みたいな昨今の風潮は、ただの幻想でしかありません。
(今時、大きい選手も体幹トレーニングやってますよ?)
あとサッカーに必要な瞬発力が、走りだけのヨーヨーテストで測定できるみたいなまとめ方も、かなり雑すぎ、テキトーすぎ。本当にサッカーで求められる瞬発力を高めるには、もっと色々なトレーニングが必要ですし、レベルが上がれば日本人に敬遠されがちなウェイトトレーニングも非常に重要。それ以前に「瞬発力=ダッシュ力」みたいな考え方は不十分。サッカーはコンタクトスポーツなんですよ。あれじゃ、東大まで行って石井教授を出した意味がない。
(ちなみに出演した教授・トレーナーらはそれなりのギャラをもらって出演しているので、彼らは番組内容には文句を言える立場にはありません)
あと肝心なところで、今後サッカー日本代表はどうやったら世界トップの国々に勝てるようになるのか?っていう、今、日本サッカーが抱えている最も大きなテーマは完全に無視してるのも、物足りなさを感じた大きな要因。
話のポイントとなった最大酸素摂取量やヨーヨーについては、当ブログ(mixiコミュ)で以前からその効果と限界について紹介しておりましたが、
この番組では、ただ単にお手頃なデータをそれっぽく分析してプレゼンすることが目的になってて、日本のサッカーに対する問題意識みたいなものがあまり見えてこない。
分かりやすく言うと「日本サッカーの現状に満足」するための番組内容。大学の論文・レポートの評価だと、残念ながら「可」か「良」のレベルだと思います。
そういう番組の「軸」とか「意志」とか「ビジョン」っていう観点から鑑みると、フットブレイン(テレビ東京)という番組の良さが引き立ちますね。
せっかくマニアックなテーマで番組作るんなら、次は「優」の番組作りやって欲しいです!
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