テレ東・FOOT×BRAIN「栄養学」(8/24放送)のまとめ | サッカーのための筋トレと栄養(since 2010)

サッカーのための筋トレと栄養(since 2010)

15歳以上のサッカー選手向けトレーニング情報

8/24(土)フットブレイン「日本サッカーを育てる栄養学」まとめ
土曜の夜は、フットブレイン!


ゲスト:河村美樹さん(名古屋グランパス専属管理栄養士) 
サッカーのための筋トレと栄養(from mixi)

テーマは「栄養学」。日本が海外の強豪国と互角に戦うには!海外選手に負けない「からだ作り」が急務!そこで希望の光となるのが「食」。食事のとり方1つで、サッカーのプレイが大きく変わる。そこで食でチームを支えるプロフェッショナル、名古屋グランパス専属管理栄養士・河村美紀さんがゲスト。栄養面でクラブの全選手をサポート。食べ物という側面からチームを勝利に導く、栄養学のスペシャリスト。ちなみに河村さんは、週の半分くらいチームに帯同している。

日本代表専属料理人の西芳照氏は2012,5/5放送のFOOT×BRAINにおいて「短期間の海外遠征で選手に食事でストレスを与えずリラックスさせる」ことを第1に考えていると述べていた。

一方、クラブ専属の管理栄養士・料理人には、その役割に大きな違いがある。

クラブの栄養士は「どういう風に食べたら、試合に勝てるのか」ということを重視している。長期間にわたって選手の栄養を管理することでチーム力アップに貢献する。

(都並コメント:昔はそういう食に対する意識が低かったですよ)

現在グランパスでは、全選手が定期的に血液検査を行い、管理栄養士による個別の栄養指導面談を受けている。

例えば玉田圭司選手は、以前に血液検査で貧血気味と診断されたが、管理栄養士の指導により良化した。貧血の原因は主に鉄分不足であり、そこで普段の食事に鉄分が豊富なレバーやレーズンを足すようになったら、その後の血液検査で数値が正常値に戻ったという。

サッカーのための筋トレと栄養(from mixi)

GK高木義成選手との面談では、高木選手は第2ゴールキーパーとして出場するケースが多く、試合前の食事にはスタメン選手以上に気をつかっているという。コンディションのピークを、いかに試合途中に持ってこれるか、という視点に重点を置いてメニュー提案している。

またグランパスでは、寮の食事で1ヶ月の間に、同じメニューを出さないようにしているという。選手を飽きさせない、おかずの美味しさがポイント。
サッカーのための筋トレと栄養(from mixi)


なおグランパスの選手は通常1日に約3500kcalを摂取しているが、管理栄養士の指導の下、具体的な摂取カロリーは個人で調整している。また選手は、食べる順番にこだわりを持っており、まずは野菜から最初に食べている。それは、野菜を最初に食べることで吸収が良くなるからだという。

また河村さんは食堂で選手が食べている様子をチェックし、気になる選手がいれば、呼び出して面談し、今の食事や体調がどうか聞いて、色々アドバイスしている。

(都並コメント:玉田選手みたいに、実際にアドバイスをもらって、数値化されたデータが提示されると、選手はそれを信じてくれて、どんどん自分からアドバイスもらうようになる選手は多い)

河村さん曰く、選手に対して栄養の専門家として栄養アドバイスはするが、実際にそれをやるかどうかは選手次第。栄養指導を実践するかは、プロサッカー選手の判断に任せる、という。

なお名古屋グランパスは、1995年にアーセン・ベンゲル監督(95-96年:名古屋、96-現在:アーセナル)の指示により、Jリーグのクラブとしては初めてクラブ専属の管理栄養士を導入した。
サッカーのための筋トレと栄養(from mixi)


初代管理栄養士の森裕子さんによると、当時は選手に栄養のことを1から10まで指導しなければならなかった。特に選手の食事に対する意識を変えることが、非常に大変だった。

当時は「何を食べても一緒じゃないの?」「好きなものを食べればいいでしょ!」とか言っていた選手も、何人かいたという。

ベンゲル監督は、選手の意識を変えるため、ベンゲルマニュアルを作成。何時に何を食べる、食べてはいけない、試合当日の過ごし方、何時に寝てということまで細かく書いてあったそう。すべては試合に勝つため。

ベンゲルマニュアル
・食事をとる時間
・試合当日の過ごし方
・就寝時間
など細かく記載。生活面を徹底的に管理。

▼Q1.ベンゲルマニュアルで試合前にNGな食べ物は?
→A1.バナナ

今はバナナを食べるのは全然OKで、テニスのシャラポワも試合中に食べている。しかし以前はバナナの繊維質でお腹が緩くなる可能性が心配されていたため、ベンゲル監督時代は試合前にバナナを食べることはNGだったという。

最近では試合前日に、選手へイチゴ大福などの和菓子を出している。試合前日の食事で重要視されるのは、体に取り入れた食べ物をいかに早くエネルギーに変換させるかということ。洋菓子に含まれる脂肪分は消化に時間がかかるため、脂肪分の少ない和菓子が出される。

▼Q2.練習後に選手が毎日食べているものは?
→A2.うめぼし

クエン酸による疲労回復・食欲増進、そして塩分による熱中症予防が目的。グランパスではクラブハウスに梅干しが常備されており、練習後に一粒食べることが奨励されている。

▼Q3.サプリメントを摂るよりも食べた方が良いおすすめの食材は?
→A3.納豆

納豆=たんぱく質。身体作りには欠かせない栄養素である。

川村さん曰く「よくサプリメントというとプロテインというイメージが大きいが、納豆もたんぱく質源ということで、体作りには欠かせない。また骨を強くする効果もある。大豆がいいというのもあるし、納豆は発酵食品なので良いという面もある」

例として、グランパスの玉田選手は、納豆チーズトーストを良く食べている。食パンの上にチーズと納豆を乗せて焼くと、美味しいのだそう。

納豆チーズトースト:チーズと納豆でたんぱく質を多く摂取できる
サッカーのための筋トレと栄養(from mixi)


ピクシー定職:ストイコビッチ監督の好物である鮎が添えられており、キャンプ時の朝食として定番となっている
サッカーのための筋トレと栄養(from mixi)


グランパス味噌汁:特徴は具沢山で、7種類の野菜が使われている。いろいろな食材が入っていることで栄養素を多く摂れ、同時に塩分と水分が両方取れる(特に朝食に重要)。
サッカーのための筋トレと栄養(from mixi)


▼Q4.(番組視聴者からの質問)「GKですが現在身長が166cmと伸び悩んでます。身長を伸ばすために有効な食事はありますか?」by 16歳高校1年(男子)からの質問

→A4.食事面で言うとポイントは3つある。①朝食をしっかり食べる、②練習後の栄養補給としてエネルギーとタンパク質を摂る、③お米をたくさん食べる

「グランパスの選手は背の高い選手が多いが、小学生、中学生のころの食事について聞くと、お腹がすいたら2はい3杯ご飯を食べるという選手がいて、やはりご飯は大事だと思う。」

グランパスGK楢崎選手は、幼少期から胚芽米をよく食べて育ったが、それが高身長に影響したのかもしれない(本人談)。

グランパスが、サッカー少年の試合当日に食べてほしい弁当は、しょうが焼き弁当。
サッカーのための筋トレと栄養(from mixi)


川村さんコメント「小さいときからサッカーをしてる子供じゃなくても食事に興味を持って、周りの保護者も食事って大事なんだな、ってしょくいくしていけば、その子たちがプロになったときに、日本のサッカーが強くなるんじゃないかなと思う」

名古屋グランパスの食育レシピ 勝てる子どもの元気ごはん(川村さん監修)
サッカーのための筋トレと栄養(from mixi)


-----------------------

以上、ざっくりまとめました。

番組の全体的な感想として、栄養摂取の大切さについて、選手や保護者の意識を変えるキッカケとしてとても良い内容だったと思います。

なお個人的にですが「サプリメントを摂るより食べた方がいい食材は納豆」という考え方は適切ではないと考えます。

そもそも納豆1パックに含まれるタンパク質量ってあんまり多くなくて、納豆1パックあたり7.3gぐらいのタンパク質しか入ってないんですよね。さらに板チーズのタンパク質量も1枚あたり4gぐらいで、食パンのタンパク質量は1枚5~8gです。すなわち納豆チーズパンに含まれるタンパク質量は、約16~20gという計算になります。

人間の体が一度に吸収できるタンパク質量が1回の食事で20gぐらいだから、一度の食事として、納豆+チーズ+食パンを食べるのは、かなり良い食事ではありますが、

サッカー選手が1日トータルで摂るタンパク質摂取量を考えた場合、納豆や納豆チーズパンには、それだけでサプリメントを省けるほどの栄養素は全く含まれていません!

そもそもアスリートには1日あたり体重×2~3gのタンパク質摂取が求められるわけで、例えば体重60kgなら1日あたり120~180g、体重75kgなら1日あたり150~225gのタンパク質が必要になります。

つまりサプリメントを摂らないで、通常の食事からこれだけのタンパク質摂取を行うのはかなり難しいのが現実です。

トレーナーの友人ともよく話すのですが、管理栄養士って、残念ながらトレーニングについては知識経験をほとんど持ってないのに、トレーニング上の栄養素の必要性をあまり考慮しないで、毎日の食事管理のみの視点で選手サポートを考えてしまうという傾向というか弱点があるそうです。チーム・選手が勝つために本来あるべき姿は、管理栄養士とトレーナーが協力しあって食事メニュー作りを考えなければならないのに、なんだかそういう部分はチームとしてあんまり重要視されていないのかな、という残念な印象も受けました。

そういう状態が続けばいずれ選手が、トレーナーのアドバイスと管理栄養士のアドバイスの間で板ばさみになってしまうケースも考えられるので、そういうところが改善ポイントとして考えられるんじゃないかなと思いました。

とはいえ、ちゃんと自己管理できる選手は、そういう現実も理解した上で、自分に必要な栄養素を考えて摂っていくもんだと思いますし、やっぱり何より大事なのは「選手の食事に対する意識の向上」なので、読者の皆さんにもそこは十分理解しておいて頂きたいポイントではあります。


(⇒当ブログ目次)