トランプ大統領で株価急騰の理由 | 森本FP事務所のQ&Aブログ

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資産運用・保険・住宅ローンの疑問・質問にお答えしています。

【質問】  35歳・会社員の女性です。
現在、投資信託を使った長期投資に取り組んでいます。


先日のアメリカ大統領選挙は、トランプ候補が僅差で当選しました。
開票当日は、日経平均株価は乱高下し、その後大きく上昇しています。

いったい何が起きているのでしょうか?

長期計画で運用していくので、一喜一憂しないつもりですが、もしよければ解説お願いします。
 

【回答】  ご質問にお答えします。
米大統領選挙は、今月8日に行われ、日本時間の9日午後に大勢が判明しました。

9日の日経平均株価は、終値で16251円まで下落しましたが、現時点で18000円台まで上昇しています。
 

いったい何が起きているのか。


事の発端は、トランプ次期大統領が当選確実後に、巨額の減税とインフラ投資をぶち上げたことにあります。
 

米上下両院とも共和党が過半数を維持し、議会と政権のねじれも解消されたため、その政策が実現するのではないかとの思惑から、米国債の金利が上昇し始めました。


減税とインフラ投資の財源は、米国債の増発に頼ることになる、そして米国債の金利は上昇する、という見立てです。
 

その後、米国の投資家は、新興国やアジアで運用していた資金を引き揚げ、金利上昇を見据えた米ドル運用に切り替える動きもあります。


米ドルが買われ、円など他通貨は売られる流れです。


他に、日本は、米軍基地の経費負担増を求められ、財政が悪化するのではないか、との見立ても、円安の流れを加速させているかもしれません。


現在は、日銀の「金融緩和」により、ほぼゼロ金利で資金を取れる状況ですが、あくまでこれは、お金を貸す話であって、お金をあげる話ではありません。


お金をあげる「財政出動」の判断ができるのは、日本政府です。


今は、一定の秩序が保たれていますが、仮に日本政府が、米国に巨額の資金を提供することなどになれば、国の借金問題は、より深刻化し、日本国債の金利が急上昇、悪いインフレに向かうシナリオもありえます。


そのような状況で、なぜ株高なのかですが、これは海外の機関投資家が日本株を一定割合組み入れる方針を採っているからです。
 

例えば、米国の年金基金が日本株を5%組み入れると決めていれば、円安になると、日本株が米ドルベースで割安になります。


そして5%に近づくよう機械的に買い増しが行われ、円ベースの日本株は値上がりします。


昔は、円安になると、輸出企業の業績改善が見込まれ株高になると説明されることが多かったのですが、最近は必ずしも正しくない見方のようです。


今回、特に何が言いたいかというと、世界の経済はつながっているということです。


米国での出来事から、歯車のように国内の資産価格も変動します。


単純に日経平均の値動きを見るだけでなく、そこから世界経済とのつながりを読み解くことが長期投資においては大事です。