本日白洲正子展を鑑賞する為に世田谷美術館を訪問した。

$自由人のアーリーリタイアメント生活

白洲正子は樺山伯爵家次女として生まれ白洲次郎と結婚し、戦後小林秀雄らと親交を深め、文学・骨董の世界へと入った。
昭和43年から各地を旅行し日本各地の寺社を訪ね、その背景の歴史を書き記すと同時に、自身の美意識に基づく神仏像を取り上げ、「西国巡礼」、「十一面観音巡礼」など多くの紀行文の名作を発表した。

彼女自身は画家でも彫刻家でもないが、先達の作品を平易な言葉で紀行文に取り上げ、それを機にそうしたものを人々に再発見させた功績は大きい。

そうした意味では和辻の「古寺巡礼」や亀井の「大和古寺風物詩」に順ずる作品を書き上げたともいえる。

今回の展覧会はそうした彼女が訪問した寺社の名宝が多数出品されている。

まず目に付くのは那智の大滝及び熊野那智大社である(熊野速玉神社古神宝類が出品されている)。
熊野那智大社は現在熊野那智大社別宮飛瀧神社が鎮座しているが、神社といっても本殿も拝殿もなく、滝を直接拝む形となっている。いわば「滝」そのものが御神体となっているのだ。
$自由人のアーリーリタイアメント生活

その後近江の国の神社・仏閣の展示となるが、その中でも白鬚神社が印象に残る。
この神社は琵琶湖の中に鳥居があり、まるで琵琶湖そのものを御神体としている意味では、先の那智大社と共通したものがある。
$自由人のアーリーリタイアメント生活

また京都高山寺開祖の明恵上人に関する展示物も眼をひくものがある。
今回はタイミングがあわず明恵上人樹上座禅像を鑑賞することはできなかったが、以前この絵を見たとき山深い栂尾の地で自然と一体となって修行する上人の姿に感動した記憶がある。
又明恵上人関係では「狗児」の像が展示されており、これは高山寺の開祖・明恵上人が、運慶の嫡男・湛慶につくらせたものといわれているが、これはとても愛らしくて、個人的には今回の展示の中で最も好きなものだ。
$自由人のアーリーリタイアメント生活

ゴールデンウイーク最終日(5/8)までと日数的にはもうあまり余裕はないが、訪問することをお勧めする。